グローバル早期臨床試験推進のための大学病院ネットワーク構築の基盤整備研究

文献情報

文献番号
200916003A
報告書区分
総括
研究課題名
グローバル早期臨床試験推進のための大学病院ネットワーク構築の基盤整備研究
課題番号
H19-臨研(機関)・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
大橋 京一(大分大学 医学部附属病院臨床薬理センター)
研究分担者(所属機関)
  • 内田 英二(昭和大学 医学部第二薬理学)
  • 白尾 国昭(大分大学 医学部臨床腫瘍医学)
  • 野元 正弘(愛媛大学 大学院医学系研究科病態治療内科学)
  • 笹栗 俊之(九州大学 大学院医学研究院臨床薬理学)
  • 野口 隆之(大分大学 医学部(麻酔科学))
  • 中野 重行(大分大学 医学部創薬育薬医学)
  • 熊本 俊秀(大分大学 医学部脳・神経機能統御講座(内科学第3))
  • 森 宣(大分大学 医学部附属病院放射線部・放射線科)
  • 武山 正治(大分大学 医学部附属病院薬剤部)
  • 江島 伸興(大分大学 医学部情報科学)
  • 小手川 勤(大分大学 医学部臨床薬理学)
  • 森本 卓哉(大分大学 医学部附属病院臨床薬理センター)
  • 上村 尚人(大分大学 医学部創薬育薬医学、米国メルク研究所臨床薬理部)
  • 今井 浩光(大分大学 医学部臨床薬理学)
  • 須崎 友紀(大分大学 医学部附属病院総合臨床研究センター)
  • 稲野 彰洋(大分大学 医学部創薬育薬医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究基盤整備推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
70,065,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では日本国内で臨床薬理専門施設を持ち、臨床薬理学教育と研究実績を豊富に持つ6大学病院が共同してネットワークを形成し、アジア(韓国、中国等) と連携しながら、アジア臨床試験ネットワークを構築する。これによりグローバル早期臨床試験を推進するための基盤整備を行い、実際にグローバル早期臨床試験を遂行し、実施上の問題点を抽出する。同時に治験中核病院として、求められる機能の整備・充実をはかる。
研究方法
国内外との共同試験実施に即応できる一元化された事務局を持ち、起こりうる有害事象に対して迅速かつ適切に対応できる機能を持ち、早期臨床試験が実施可能な施設(Clinical Trial Unit)を有する総合臨床研究センターを大分大学医学部附属病院に設置し、企業治験のみならず、臨床研究も支援、実施できる体制を整える。臨床薬理学専門家を有し、臨床試験に積極的に取り組んでいる全国の6大学附属病院が協力して、「グローバル早期臨床試験推進のための大学病院ネットワーク(J-CLIPNET)」を設立し、早期臨床試験の推進活動を行う。
結果と考察
平成19年に大分大学を中心として、臨床薬理学専門施設を持つ6大学病院による「グローバル早期臨床試験を推進するための大学病院ネットワーク(J-CLIPNET )を設立した。グローバル早期臨床試験を実施するために、人材育成、施設間の情報共有システムを実施し基盤整備に努めた。平成20年度よりJ-CLIPNETとして日米共同の患者対象第1相試験を開始し、21年度に完遂した。大分大学医学部附属病院では早期臨床試験が実施可能な臨床試験専用病棟(クリニカル・トライアルユニット)を有する総合臨床研究センターを設置した。治験を含む臨床研究を医学部、附属病院を挙げて推進する体制を整えつつあり、治験中核病院として求められる目標をほとんど達成した。韓国・中国の大学とも連携を実現できたこと、6大学で共有しうる研修システムが稼動できたこと、そして具体的に国際共同治験を実施できたことは、本研究事業による大きな成果である。
結論
本研究事業によって、治験中核病院として求められている機能をほぼ満たすことができた。大分大学病院では総合臨床研究センターの設置が実現し、グローバル早期臨床試験をはじめとして、POC試験等が具体的に稼働している。さらに、臨床薬理の専門家を有した国内6大学病院の連携によるJ-CLIPNETを設立し、実際にグローバル早期臨床試験を実施した。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-12-16
更新日
-

文献情報

文献番号
200916003B
報告書区分
総合
研究課題名
グローバル早期臨床試験推進のための大学病院ネットワーク構築の基盤整備研究
課題番号
H19-臨研(機関)・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
大橋 京一(大分大学 医学部附属病院臨床薬理センター)
研究分担者(所属機関)
  • 内田 英二(昭和大学 医学部第二薬理学)
  • 白尾 国昭(大分大学 医学部臨床腫瘍医学)
  • 野元 正弘(愛媛大学 大学院医学系研究科病態治療内科学)
  • 笹栗 俊之(九州大学 大学院医学研究院臨床薬理学)
  • 野口 隆之(大分大学 医学部(麻酔科学))
  • 中野 重行(大分大学 医学部創薬育薬医学)
  • 熊本 俊秀(大分大学 医学部 脳・神経機能統御講座(内科学第3))
  • 森 宣(大分大学 医学部附属病院放射線部・放射線科)
  • 武山 正治(大分大学 医学部附属病院薬剤部)
  • 江島 伸興(大分大学 医学部情報科学)
  • 小手川 勤(大分大学 医学部臨床薬理学)
  • 森本 卓哉(大分大学 医学部附属病院臨床薬理センター )
  • 今井 浩光(大分大学 医学部臨床薬理学)
  • 上村 尚人(大分大学 医学部創薬育薬医学、米国メルク研究所臨床薬理部)
  • 須崎 友紀(大分大学 医学部附属病院総合臨床研究センター)
  • 稲野 彰洋(大分大学 医学部創薬育薬医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究基盤整備推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究ではグローバル早期臨床試験を我が国で積極的に行える体制整備を行うため、臨床薬理専門施設を持つ大分大学を中心とした国内6大学病院ネットワーク(J-CLIPNET)を形成し、アジア(韓国、中国等) と連携しながらアジア臨床試験ネットワークを構築する。これによりグローバル早期臨床試験を推進するための基盤整備を行い、実際にグローバル早期臨床試験を遂行し、実施上の問題点を抽出する。同時に治験中核病院として求められる機能の整備・充実をはかる。
研究方法
本研究では、J-CLIPNETを形成しアジアの施設とも連携を行う。グローバル早期臨床試験に対応した組織のインフラ整備を行う。J-CLIPNET組織を基礎にした人材育成を行う。大分大学では医学部・附属病院を挙げて治験を含む臨床研究の推進に取り組む体制を整備する。早期臨床試験が実施可能な病棟(Clinical Trial Unit)を設置し、臨床試験倫理審査・管理体制の整備、データマネジメントの整備、生物統計支援体制の整備、臨床研究実施体制整備を進める。
結果と考察
平成19年にJ-CLIPNETを設立し、グローバル早期臨床試験を実施するため人材育成、施設間の情報共有システムを実施し基盤整備を推進した。平成20年度よりJ-CLIPNETとしてグローバル早期臨床試験を開始し完遂した。韓国臨床試験ネットワークKoNECT、中国、ライデン大学CHDRと連携を結ぶことでアジア臨床試験ネットワークが形成された。大分大学医学部附属病院ではClinical Trial Unitを有する総合臨床研究センターを設置した。治験を含む臨床研究を医学部・附属病院を挙げて推進する体制を整えつつあり、治験中核病院として求められる目標をほとんど達成した。
結論
大分大学は、治験中核病院として求められている機能をほぼ満たすことができた。総合臨床研究センターの設置を実現させ、グローバル早期臨床試験やPOC試験等が具体的に稼働している。さらに、J-CLIPNETを設立し実際にグローバル早期臨床試験を実施した。韓国・中国・オランダの大学連携が実現し、データマネジメントの共有化が実現しつつある。臨床試験担当者を養成するフェローシップ制度を稼動させ人材育成に成果をあげつつある。今後はこれらの体制整備をさらに進め、我が国におけるグローバル早期臨床試験の充実を図り、臨床研究の質の向上に寄与したい。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200916003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
日本国内で臨床薬理学の専門知識・教育体制を有する6大学病院による早期臨床試験推進ネットワークを構築し、早期臨床試験推進のインフラを整備した。この活動は、韓国、中国に大きな反響があり、今後のグローバル開発戦略として重視されるアジアとの連携体制の確立に至った。また、実際にグローバル早期臨床試験を遂行し、我が国の早期臨床試験推進に貢献した。
臨床的観点からの成果
大分大学医学部・附属病院を挙げて治験を含む臨床研究の推進に取り組む体制を構築するため、総合臨床研究センターを新設した。本センター内には国立大学病院初の臨床試験専用のクリニカルトライアルユニット(CTU)を新設し、早期臨床試験のインフラを整備し、難治性呼吸器疾患患者を対象にグローバル早期臨床試験を完遂した。平成21年度日本医師会治験促進センターで高く評価された。また、NEDOプロジェクトの中で、世界初となる静脈並びに経口投与によるカセット・マイクロドーズ臨床試験を完遂し、内外に高く評価された。
ガイドライン等の開発
国際共同治験の推進が図られているが、ヒトで有効性を持つことを確認し、医薬品開発の方針を決定するためのPOC(proof of concept)試験などのグローバル早期臨床試験を我が国で積極的に行える体制を整えることが極めて重要であるとの観点から本研究を遂行してきた。この成果が「新たな治験活性化5カ年計画の中間見直し」に反映され、グローバル早期臨床試験推進が組み込まれることになった。
その他行政的観点からの成果
治験中核病院として治験を含む臨床研究の実績を提示し、中核・拠点医療機関ベースライン調査データ作りに貢献した。また、グローバル早期臨床試験推進の6大学病院ネットワークは韓国では国が主導する臨床試験ネットワーク(KoNECT)の見本となり、日韓中の臨床試験推進協力関係を結ぶことに貢献した。
その他のインパクト
本研究について市民レベルにまで広く周知してもらうために、日本語並びに英語のホームページ(www.j-clipnet.jp/、www.j-clipnet.jp/english/)を作成・公開した。また、主として外国企業に対して周知活動を行うために、英語のプロモーションDVDを作成した。また、一般市民を対象として「くすりをよく知ろう」と題した市民公開講座を開催し、治験の啓発を行った。さらに、国際共同治験推進会議を計4回実施し、我が国の国際共同治験の推進に大きく寄与した。

発表件数

原著論文(和文)
38件
原著論文(英文等)
29件
その他論文(和文)
47件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
48件
学会発表(国際学会等)
17件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
熊谷雄治、大橋京一、高田寛治
アカデミアにおけるClinical Research/Trial Centerはどうあるべきか-各国の現状をふまえた提言-将来への提言
臨床薬理 , 38 (2) , 77-80  (2007)
原著論文2
大橋京一
国際共同治験-グローバル早期臨床試験の推進-
臨床薬理 , 39 (2) , 68-70  (2008)
原著論文3
内田英二、栗原千絵子
オランダの被験者保護法制について:倫理審査体制を中心に
臨床評価 , 36 (2) , 367-374  (2008)
原著論文4
大橋京一他
国際共同治験推進会議 in Tokyo-見直そう国際共同治験のあり方と方向性-
臨床評価 , 37 (2) , 378-470  (2010)
原著論文5
大橋京一他
早期臨床試験国際会議 in Beppu-なぜ今、早期臨床試験なのか?-
臨床評価 , 39 (2) , 325-384  (2011)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-