早老症のエビデンス集積を通じて診療の質と患者QOLを向上する全国研究

文献情報

文献番号
202211065A
報告書区分
総括
研究課題名
早老症のエビデンス集積を通じて診療の質と患者QOLを向上する全国研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21FC1016
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
横手 幸太郎(国立大学法人千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 竹本 稔(国際医療福祉大学 医学部)
  • 中神 啓徳(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 健康発達医学)
  • 窪田 吉孝(千葉大学医学部附属病院 (形成・美容外科))
  • 小崎 里華(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 遺伝診療センター遺伝診療科)
  • 茂木 精一郎(群馬大学大学院医学系研究科皮膚科学)
  • 谷口 俊文(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院・感染制御部)
  • 井原 健二(国立大学法人大分大学医学部)
  • 金子 英雄(岐阜県総合医療センター 小児療育内科)
  • 渡邊 一久(名古屋大学医学部附属病院 老年内科)
  • 谷口 晃(奈良県立医科大学 医学部)
  • 松尾 宗明(佐賀大学 医学部)
  • 忍足 俊幸(千葉大学大学院医学研究院眼科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
5,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
早老症は、全身に老化徴候が早発・進展する疾患の総称である。その代表例としてWerner症候群(以下WSと略)、Hutchinson-Gilford Progeria症候群(以下HGPSと略)やRothmund-Thomson症候群(以下RTSと略)が知られる。WSは思春期以降に発症し、がんや動脈硬化のため40歳半ばで死亡し、国内推定患者数は約700~2,000名、世界の報告の6割を日本人が占める。平成21~25年度の難治性疾患克服研究事業により診断基準改訂と世界初のWS診療ガイドラインが作成され、平成26年度重症度分類の作成、平成26年5月指定難病に指定された。平成29年度には診療ガイドライン、重症度分類を改訂し、令和2年には診療ガイドラインを英文誌に公表した。HGPSは1~2歳時に早老徴候が出現、10歳代でほぼ全例が死亡する重篤な小児疾患である。平成25年度に施行した全国調査により我が国で6名の患者が新規に同定され平成29年度には世界初のHGPS診断基準が作成、令和元年4月指定難病に指定された。RTSは特徴的な皮膚所見が乳児期から認められ骨格異常や癌腫を合併する。平成30年に施行した全国調査により10名の患者を同定、診断基準を改定した。さらに早老症の実態を明らかにすべく難治性疾患実用化研究として推進されている早老症レジストリ研究と連携してきた。これらを真の患者予後改善へつなげるためには研究の継続とさらなる新しい発展が必要不可欠である。本研究は早老症のエビデンス集積を通じて診療の質および患者QOL向上に貢献することを目的とする。
研究方法
本研究組織は全国各地域の大学や国立研究センターに在籍する分担研究者と研究協力者によって構成される。これらのメンバーがWSとHGPSに加えて、その他の早老症(RTS)、Atypical WS(aWS)などの症例集積を継続的に実施するとともに、主要なエビデンスを収集、相互に協調し診断基準や診療ガイドラインの作成・改訂や重症度分類の作成、検証を行う。また、臨床研究中核病院である千葉大学医学部附属病院の臨床試験部に設置された「早老症レジストリ」事務局において症例の登録とフォローアップを継続、指定難病患者データベース構築を続行する。さらに本研究の成果(症例情報)をベースとして採択されたAMED「再生医療実現拠点ネットワークプログラム(疾患特異的iPS細胞の利活用促進・難病研究加速プログラム)」(早老症疾患特異的iPS細胞を用いた老化促進メカニズムの解明を目指す研究(研究開発代表者))および「老化メカニズムの解明・制御プロジェクト/個体・臓器老化研究拠点」(早老症に立脚したヒト老化病態の解明とその制御への応用(研究開発分担者))の研究推進を支援する。併せてHGPS、RTSの患者・家族会設立とWSの同会活動支援を継続する。
結果と考察
WS研究:疾患認知度の向上、診断基準、診療ガイドラインの普及・啓蒙のための活動の一環として第65回日本糖尿病学会、第33回日本老年学会総会、第95回日本生化学会、脳心血管抗加齢研究会においてシンポジウムの機会を得て講演を行った。また適切な医療の向上のため患者会と連携しweb患者会に複数回に渡って参加し要望の把握を行なっている。患者会の声に応えて患者用の「ウェルナー症候群ハンドブック」の英文化とウェルナー症候群ホームーページの英文化を行った。加えて、ウェルナー症候群の診療経験のある医療機関より承諾を得て当該機関のリスト化を行い患者の医療機関選定の際に役立てるべくホームページへ掲載予定である。また、ウェルナー症候群患者における悪性腫瘍サーベイランスのストラテジ-を作成している。
HGPS研究:HGPSの日本における患者調査と新薬Zokinvy(ロナファルニブ)の国内承認に向けた協議を製造元会社と行なった。HGPSは日本国内で10例、世界的に350~400人の患者が報告されており希少である。HGPSや関連疾患の診療経験を把握する為全国の医療機関にアンケート調査を実施しHGPSの診療経験29名、HGPS疑い11名、他のラミノパチー4名、その他14名が把握された。これを踏まえ詳細な実態調査を行う予定である。
RTS研究: RTSの認知度を高め早期診断・早期介入を可能にするため全国調査による本邦のRTSの特徴を参考にしRTSの診療ガイドラインを作成した。RTS診療ガイドラインは日本小児遺伝学会の学会承認を得た。さらに市民公開講座を開催し、一般市民における理解の向上をはかっている。
結論
早老症の総合的な診療ガイドライン作成の試みは国際的に見ても皆無である。欧米の診療拠点との連携もあり、国際共同研究へと発展させることができる。現在の早老症の実態を明らかにし、厚生労働省の施策の一つである「難病対策」に貢献することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2024-04-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-04-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202211065Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,500,000円
(2)補助金確定額
7,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,421,328円
人件費・謝金 2,118,797円
旅費 293,210円
その他 936,665円
間接経費 1,730,000円
合計 7,500,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-01-15
更新日
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