文献情報
文献番号
202211058A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性脂質異常症に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21FC1009
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
斯波 真理子(大阪医科薬科大学 循環器センター)
研究分担者(所属機関)
- 石橋 俊(自治医科大学 医学部 )
- 横山 信治(中部大学大学 応用生物学部 )
- 島野 仁(筑波大学 医学医療系)
- 横手 幸太郎(国立大学法人千葉大学 大学院医学研究院)
- 武城 英明(東邦大学 医学部)
- 山下 静也(地方独立行政法人りんくう総合医療センター)
- 塚本 和久(帝京大学 医学部)
- 池脇 克則(防衛医科大学校 抗加齢血管内科)
- 後藤田 貴也(杏林大学 医学研究科)
- 土橋 一重(山梨大学 大学院総合研究部小児科 )
- 藤阪 智弘(大阪医科薬科大学 循環器内科)
- 竹上 未紗(国立循環器病研究センター 予防医学・疫学情報部)
- 関島 良樹(信州大学 医学部)
- 石垣 泰(岩手医科大学 医学部内科学講座糖尿病・代謝・内分泌内科分野)
- 岡崎 啓明(自治医科大学 医学部)
- 野原 淳(石川県立中央病院 遺伝診療科)
- 小山 信吾(山形大学 医学部)
- 稲垣 恭子(日本医科大学 医学部)
- 尾野 亘(京都大学 大学院医学研究科 )
- 小関 正博(大阪大学 大学院医学系研究科)
- 代田 浩之(順天堂大学 大学院医学研究科)
- 若林 徹治(自治医科大学 医学部)
- 中村 公俊(熊本大学 大学院生命科学研究部 小児科学講座)
- 三井田 孝(順天堂大学 大学院医学研究科)
- 川尻 剛照(加賀市医療センター 診療部)
- 南野 哲男(香川大学医学部循環器・腎臓・脳卒中内科)
- 岡崎 佐智子(冨田 佐智子)(東京大学 保健・健康推進本部)
- 和田 淳(国立大学法人岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学)
- 小倉 正恒(千葉大学 大学院医学研究院)
- 吉田 博(東京慈恵会医科大学 医学部)
- 片岡 有(国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
- 多田 隼人(金沢大学附属病院 循環器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
指定難病である家族性高コレステロール血症(FH)(ホモ接合体)、LCAT欠損症、シトステロール血症、タンジール病、原発性高カイロミクロン血症、脳腱黄色腫症、無βリポタンパク血症、家族性低βリポタンパク血症1(ホモ接合体)の8疾患を中心に、昨年度成果を継承し、難病診療体制の構築、診断精度の向上、診療ガイドライン策定を、学会横断的オールジャパン体制で目指す。またレジストリ研究(PROLIPID研究)を発展させ難病患者の前例登録を目指すとともに、難病等患者データベースの利活用、さらには逆にPROLIPID研究の成果を還元する(臨床像や資料実態、予後に関するデータの解析・報告)。研究班独自のホームページ(HP)の機能拡充や患者会との連携、学会シンポジウム等での発表を通じて情報発信・普及啓発を行い、難病患者の予後改善に繋げる。Web形式の市民公開講座の開催や関連学会HPとのリンク、さらには研究班公式SNSを通じて正しい情報発信を行う。小児慢性特定疾患と成人難病との齟齬がある家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体を始め、その他疾患についても移行期医療の推進を目指し、疫学研究を継続するとともに都道府県とも連携し移行期医療支援体制整備事業の円滑な遂行に寄与する。
研究方法
1.難病診断精度の向上
各疾患の担当責任者は病原性遺伝子変異情報の取りまとめを行うとともに診断のための遺伝学的検査(パネル解析)の共同開発を目指す。また診断・治療に必須だが未保険収載ゆえに非専門医が実施しにくい項目を明確化し、保険収載に向けた解決策を講じる。難病医療水準の向上を図るとともに、次期診断基準・や臨床調査個人票の改定時期を見据えた改善案を準備するとともに関連学会と連携しながら診療ガイドラインの策定を目指す。
2. 難病疫学研究
本研究班で扱う疾患は頻度が低く、患者の自然予後を含む実態把握が不十分なためPROLIPIDに全疾患のレジストリを登録する。難病等患者データベースを利活用し、登録患者の実態把握を実施し、診療体制の強化施策や疾患啓発、移行期医療推進に役立てる。
3. 診療提供体制の構築/普及啓発
前期研究班により開設された班独自のHPを発展させ、非専門医向けの日本語総説や患者向けの療養上の注意点のまとめを定期的にアップデートする。またweb形式の問い合わせ窓口を設置する。学会横断的オールジャパン体制を活用し、各学会の市民公開講座やシンポジウムで班員が疾患啓発を毎年行う。FHについては難治性家族性高コレステロール血症患者会と「高コレステロール血症患者の集い」を毎年共催する(web形式も考慮)。また令和4年度にはシトステロール血症患者の集いを開催する(web形式も考慮)。
4. 移行期医療推進
脳卒中循環器病対策基本法の施⾏に伴い、小児慢性特定疾病と成人指定難病の該当疾患が異なる2疾患について移行医療支援を行う。研究班において担当疾患全てにおいて現状の課題を整理し各都道府県と協議し対応する。
各疾患の担当責任者は病原性遺伝子変異情報の取りまとめを行うとともに診断のための遺伝学的検査(パネル解析)の共同開発を目指す。また診断・治療に必須だが未保険収載ゆえに非専門医が実施しにくい項目を明確化し、保険収載に向けた解決策を講じる。難病医療水準の向上を図るとともに、次期診断基準・や臨床調査個人票の改定時期を見据えた改善案を準備するとともに関連学会と連携しながら診療ガイドラインの策定を目指す。
2. 難病疫学研究
本研究班で扱う疾患は頻度が低く、患者の自然予後を含む実態把握が不十分なためPROLIPIDに全疾患のレジストリを登録する。難病等患者データベースを利活用し、登録患者の実態把握を実施し、診療体制の強化施策や疾患啓発、移行期医療推進に役立てる。
3. 診療提供体制の構築/普及啓発
前期研究班により開設された班独自のHPを発展させ、非専門医向けの日本語総説や患者向けの療養上の注意点のまとめを定期的にアップデートする。またweb形式の問い合わせ窓口を設置する。学会横断的オールジャパン体制を活用し、各学会の市民公開講座やシンポジウムで班員が疾患啓発を毎年行う。FHについては難治性家族性高コレステロール血症患者会と「高コレステロール血症患者の集い」を毎年共催する(web形式も考慮)。また令和4年度にはシトステロール血症患者の集いを開催する(web形式も考慮)。
4. 移行期医療推進
脳卒中循環器病対策基本法の施⾏に伴い、小児慢性特定疾病と成人指定難病の該当疾患が異なる2疾患について移行医療支援を行う。研究班において担当疾患全てにおいて現状の課題を整理し各都道府県と協議し対応する。
結果と考察
難病診断精度の向上に向けて、本分野指定難病に関する遺伝子パネル解析を遂行し、新規原因変異の同定など多くの成果を挙げた。また、難病情報センターの疾患に関する解説(病気)の更新作業を全8疾患について行った。難病疫学研究としてはレジストリ研究(PROLIPID研究)を継続・発展させ症例の集積を進め、目標である合計1,000例に到達した(令和4年度末時点で合計1,135例の登録)。新たに難病指定された家族性低βリポタンパク血症1(ホモ接合体)に関してのレジストリ追加作業も終了した。診療提供体制の構築/普及啓発に向けて、研究班HPのアップデートを行い、医療従事者だけでなく一般からの問い合わせにも対応した窓口を開設し運用を開始した。研究班SNSページ(Facebook)をを用いて情報の普及に貢献した。また、関連学会でのシンポジウム開催、患者会での講演などを通じて診療体制の構築に寄与した。本分野移行期医療に関する総説を執筆し発表した。
結論
本分野におけるレジストリ―研究の推進は、国内のみならず海外での難病医療に従事する医師への貴重な情報を提供する貴重な資源となりうる。また、研究班HPでの問い合わせ窓口やSNSページ運用により、医療従事者のみならず患者やその家族への情報発信さらには問い合わせなどにも対応可能となり、必要な人に必要な情報を提供することが可能となった。本分野における移行期医療の課題が明確となり、今後アポA1欠損症の難病指定に向けて必要な活動を継続する。
公開日・更新日
公開日
2024-04-04
更新日
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