筋ジストロフィーの標準的医療普及のための調査研究

文献情報

文献番号
202211055A
報告書区分
総括
研究課題名
筋ジストロフィーの標準的医療普及のための調査研究
課題番号
21FC1006
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
松村 剛(国立病院機構大阪刀根山医療センター 脳神経内科)
研究分担者(所属機関)
  • 青木 正志(国立大学法人東北大学 大学院医学系研究科 神経内科)
  • 粟野 宏之(神戸大学大学院医学研究科 小児科学)
  • 池田 真理子(谷口 真理子)(藤田保健衛生大学病院 遺伝カウンセリング室)
  • 石垣 景子(東京女子医科大学 小児科)
  • 石崎 雅俊(熊本再春荘病院 神経内科)
  • 尾方 克久(独立行政法人国立病院機構東埼玉病院)
  • 貝谷 久宣(医療法人和楽会)
  • 木村 公一(東京大学 医科学研究所)
  • 久留 聡(国立病院機構鈴鹿病院)
  • 小林 道雄(国立病院機構あきた病院 脳神経内科)
  • 小牧 宏文(国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科)
  • 砂田 芳秀(川崎医科大学 医学部神経内科学)
  • 諏訪園 秀吾(独立行政法人国立病院機構沖縄病院 脳・神経・筋疾患研究センター )
  • 高田 博仁(独立行政法人 国立病院機構 青森病院 脳神経内科)
  • 高橋 正紀(大阪大学大学院 医学系研究科 機能診断科学)
  • 谷口 雅彦(旭川医科大学 消化器病態外科学分野)
  • 中島 孝(独立行政法人国立病院機構新潟病院 脳神経内科)
  • 中村 昭則(国立病院機構まつもと医療センター神経内科)
  • 西野 一三(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第一部)
  • 橋本 大哉(名古屋市立大学病院 臨床研究開発支援センター)
  • 日野 博文(浅草病院)
  • 藤野 陽生(大阪大学 大学院連合小児発達学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
21,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
筋ジストロフィーでこれまでに構築された専門医療機関や臨床研究のネットワーク、患者登録、研究班、学会・研究会と連携し、全国で標準的医療と円滑な移行医療を実践するための医療支援ネットワークの核として機能し、必要な調査・研究、ガイドライン改訂、アウトリーチ活動を行う。具体的には、①「デュシェンヌ型筋ジストロフィー診療ガイドライン2014」を改訂する。遺伝・生殖医療、麻酔について専門家の参加により実用性の高い内容とする。②肢帯型筋ジストロフィー診療の手引きを作成する。③顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーの主観的臨床評価尺度FSHDHIの日本語版作成・検証作業をおこなう。患者登録や患者グループと連携して顔面肩甲上腕型の実態調査を行う。④遺伝学的診療に関わるアンケート調査で、従来よりも生殖医療に積極的意見が多かったことから、生殖医療に関わる課題の把握と疾患専門家と生殖医療・遺伝医療専門家、当事者とのコミュニケーション円滑化を図る。⑤在宅療養の安定と質向上には介護者の健康管理が必須で、ジストロフィノパチー変異保有者では発症リスクにも注意が必要である。患者会や関係機関と連携し、心理支援体制を整備しつつ周知活動や実態調査を行う。⑥神経筋疾患のHALの長期有効性評価を行う。⑦立位支援電動車椅子の自立支援効果や介助負担軽減効果を評価する。⑧COVID-19パンデミック発生後、神経筋疾患関連の情報提供をしており、適宜追加・更新する。世界筋学会による推奨作成に参加し国際的な情報提供にも務める。COVID-19による影響についてWeb調査やワクチンの有効性、罹患者のデータ集積などエビデンス収集を行なうと共に、データ解析結果をフィードバックする。⑨患者登録について、2020年に開始した顔面肩甲上腕型を含む登録疾患の周知活動により登録を促進する。眼咽頭筋型など他疾患の登録準備を進める。登録データ解析による疫学・自然歴情報・医療課題の解明や、患者登録を活用した実態調査や二次調査、参加者リクルートなど臨床研究に活用する。⑩全国レベルでの医療支援:医療機関を対象に困難症例に対する相談窓口を設置、関連学会や研究班・機関と連携し対応することで医療支援と伴に課題を把握する。⑪アウトリーチ活動:ホームページのコンテンツ充実、関連職種セミナー、市民公開講座、学会・活動等により患者・市民、関連職種、医療関係者に情報提供、地域の実情に合わせた医療支援体制構築・専門医療機関との連携を支援する。COVID-19パンデミックの状況も踏まえWebセミナーなどの活用を図る。
研究方法
デュシェンヌ型筋ジストロフィー診療ガイドラインの改定を行う。肢帯型筋ジストロフィー画像診断アルゴリズムを作成する。顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー主観的臨床評価尺度(FSHDHI)の日本語版の妥当性評価を行う。生殖医療セミナー、介護者健康管理セミナーを行う。HALの長期有効性評価を行う。起立支援型電動車椅子の評価を行う。COVID-19の情報提供、罹患者調査を行う。
結果と考察
ガイドライン改訂作業は現在進行中。肢帯型画像診断アルゴリズムは日本神経学会の承認を得て、学会・研究班HPで公開した。診断能力向上に寄与することが期待される。FSHDHIは患者登録も活用し66名の患者から協力を得て実施、信頼性・妥当性を確認できた。今後臨床研究や治験への応用が期待できる。疾患専門医と生殖医療・遺伝専門医、当事者なども集い意見交換を行った。PGT-Mの対象拡大が見込まれ、専門医として参加することが求められる中で、重要な機会となっている。介護者健康管理セミナーは患者も参加して行った他、患者会でもオンラインセミナーが行われた。日常診療でも介護者から健康相談や受診を受けることが見られるようになっている。HAL®長期有効性データについては191例でデータ集積中。COVID-19罹患者調査では。筋ジストロフィーがCOVID-19の増悪因子となる可能性は低いものの、心機能低下や積極的排痰困難による二次性肺炎リスクなどが懸念された。HPコンテンツの随時改訂、難病情報センターコンテンツ改訂、中枢神経障害の研究会などを実施した。
結論
筋ジストロフィーの標準的医療普及に必要な活動を継続しており、本症の抱える諸課題を見据えた活動を継続していく。

公開日・更新日

公開日
2024-04-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202211055Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
24,800,000円
(2)補助金確定額
23,980,000円
差引額 [(1)-(2)]
820,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,779,641円
人件費・謝金 2,675,379円
旅費 2,207,148円
その他 10,656,795円
間接経費 2,661,637円
合計 23,980,600円

備考

備考
自己資金 598円、利息2円

公開日・更新日

公開日
2024-01-19
更新日
-