エコーガンによる低侵襲の胎児期遺伝子治療:胎児腹腔内への非ウイルス性ベクター注入と胎児肝母体外超音波照射による遺伝子機能発現の出生前是正

文献情報

文献番号
200913003A
報告書区分
総括
研究課題名
エコーガンによる低侵襲の胎児期遺伝子治療:胎児腹腔内への非ウイルス性ベクター注入と胎児肝母体外超音波照射による遺伝子機能発現の出生前是正
課題番号
H20-活動・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
千葉 敏雄(国立成育医療センター 臨床研究開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 梅澤 明弘(国立成育医療センター研究所 生殖医療研究部)
  • 松本 洋一郎(東京大学大学院 工学系研究科)
  • 桝田 晃司(東京農工大学大学院 共生科学技術研究部)
  • 三木 基弘(アロカ株式会社 メディカルシステム技術部)
  • 宮本 義孝(名古屋大学大学院 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(活動領域拡張医療機器開発研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
28,215,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は,胎児ないし新生児期の治療成績・予後を改善するために,安全・低侵襲性に施行しうる出生前の治療システム・機器を開発することにある.具体的には,1) たとえ一過性にせよ,その効果を発現しうる目的遺伝子の賦与された非ウイルス性ベクターを,2) 母体体外からの超音波照射にて標的臓器である胎児肝に集積して破砕し,標的細胞(肝細胞・造血幹細胞)内に導入する.前年度は,各要素課題とその周辺技術の研究開発を進めた.本年度は,これらの技術を基盤とし,より生体に近いモデルでの検証を行った.
研究方法
実験は,各要素課題とその周辺技術に対して行った.以下に主要となる課題を示す.A) 超音波ナビゲーション技術の開発:生体応用可能な直径10ミクロン以下の微小気泡を用いた検証.B) 超音波遺伝子導入技術(in vitro)の開発:細胞への低い遺伝子導入効率の原因究明とその改善法の検証.C) 胎仔肝への超音波併用遺伝子導入手技(in vivo)の開発:子宮内マウス胎仔の肝へのマイクロバブル/GFPプラスミドを用いた遺伝子導入の基礎検証.
結果と考察
A) 10ミクロン以下の微小気泡を用い,体外から超音波照射によって生じる音響放射力により,流路内のカプセルの挙動(補足および誘導)を制御できることを示した.B) 高強度,長時間超音波照射により,遺伝子導入率の向上が確認された.さらに,遺伝子の高分子ミセル化を行うことにより,プラスミドDNAの分解を抑制できるため,より超音波照射による遺伝子導率が向上した.C) 子宮内マウス胎仔の肝に対して,マイクロバブルとDNAプラスミドとの併用による遺伝子導入率の向上が確認された.今後は,高分子キャリア併用,もしくは標的指向性をin vivo条件下で賦与した場合の検証を進めてゆく.
結論
本年度は,各研究課題における要素技術(超音波ナビゲーション/超音波遺伝子導入)を基盤として,より生体に近いモデルでの検証を進め,有意の成果を得た.次年度は,実際の疾患モデルへの応用,および本システムの完成に取り組む.

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
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