文献情報
文献番号
202211046A
報告書区分
総括
研究課題名
プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班
研究課題名(英字)
-
課題番号
20FC1054
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
高尾 昌樹(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 病院臨床検査部)
研究分担者(所属機関)
- 山田 正仁(国家公務員共済組合連合会 九段坂病院)
- 水澤 英洋(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)
- 中垣 岳大(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
- 佐々木 真理(岩手医科大学 医学部)
- 齊藤 延人(東京大学医学部附属病院)
- 岩崎 靖(愛知医科大学 加齢医科学研究所 神経病理部門)
- 坪井 義夫(福岡大学 医学部脳神経内科学教室)
- 北本 哲之(東北大学 大学院医学系研究科)
- 濱口 毅(金沢大学附属病院神経内科)
- 佐藤 克也(長崎大学医歯薬総合研究科第一内科)
- 大平 雅之(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 臨床検査部)
- 細矢 光亮(公立大学法人福島県立医科大学 医学部 小児科学講座)
- 長谷川 俊史(山口大学大学院医学系研究科 小児科学分野)
- 酒井 康成(九州大学大学院 医学研究院 成長発達医学分野(小児科学))
- 野村 恵子(熊本大学病院 小児科)
- 柴田 敬(岡山大学 小児神経科)
- 鈴木 保宏(大阪府立母子保健総合医療センター 小児神経科)
- 高橋 琢理(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
- 中道 一生(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
- 三浦 義治(東京都立駒込病院 脳神経内科)
- 船田 信顕(がん・感染症センター東京都立駒込病院病理科)
- 雪竹 基弘(国際医療福祉大学 福岡保険医療学部)
- 阿江 竜介(自治医科大学医学部)
- 鈴木 忠樹(国立感染症研究所 感染病理部)
- 原田 雅史(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
- 三條 伸夫(東京医科歯科大学医学部付属病院)
- 王子 聡(埼玉医科大学総合医療センター 脳神経内科)
- 高橋 和也(国立病院機構 医王病院 統括診療部)
- 中原 仁(慶應義塾大学医学部内科学教室(神経))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
37,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
指定難病のプリオン病、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)、進行性多巣性白質脳症(PML)の研究班(H31-R1)を継続し、各関連学会に所属する専門家から構成される研究班とし、新知見による早期診断等の指針改定、重症度・バイオマーカー・治療実態・感染予防・自然歴の検討、サーベイランスによるデータベース構築、診療ガイドライン(GL)改定等により医療水準向上を目的に調査研究を実施した。
研究方法
3疾患の分科会に分科会長を設定され、これにより強固な体制により分化会間の連携も推進し、各分担研究者が研究期間最終年の目標を目指し研究を遂行することができた。また、研究班全体で掲げてきたガイドライン作成を完遂させるべくマイルストーンに沿って研究を行った。
結果と考察
以下の成果を得た:①プリオン病:「プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究班」、「プリオン病の早期診断基準の作成を目指した新たなエビデンス創出とその検証に用いる遺伝性プリオン病未発症例の臨床調査と画像・生体材料の収集」(AMED)で構築された研究成果と連携し、臨床病態、疫学的、感染予防の観点からの解析を行い、新規プリオン病の覚知、画像変化の背景病理、無症候例の感染率、確定例の臨床症候、生体試料による診断法評価などを行った。本年度も病理解剖リソース構築が継続され多くの症例が追加された。AMED班とも連携が継続された。また、リソース構築に関して病理解剖に関する法的問題点を整理をした。今年度までに得られた知見を反映させ、ガイドライン(GL)の改定作業が完了した。関連学会シンポジウム、ワークショップ、臨床病理カンファレンス、各病院でのカンファレンスなどで、臨床医、検査技師へ診断、感染性、トピックスに関しての啓発活動を継続した。ホームページの修正、up dateを継続し、市民公開講座、プリオンケアマニュアル等情報公開も継続した。②亜急性硬化性全脳炎(SSPE):新規発症者数も少ないことから、前年度までに検討された調査方法に基づき、一次、二次調査が遂行された。適切な診断のための、脳脊髄液麻疹抗体価の基準指針の評価など、本年度までに検討されていた内容を反映させ、ガイドラインの改訂作業が完了した。また、データベース構築へむけた全国調査も施行された。「プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究班」と連携し、例年通り合同班会議で報告された。SSPE分科会を中心に、SSPEに馴染みの少ない医師へも含めた啓発活動やホームページの修正などが継続された。③進行性多巣性白質脳症(PML):診断のための髄液によるウイルス解析を継続して行うことができ、本年度も診断支援を順調に継続した。PMLサーベイランス委員会に定期開催により、登録されたPMLを考慮される症例の診断、確定等をWeb会議による体制を安定して維持することができた。病理診断支援も適切に施行した。治療薬に関連が考慮されるPMLの検討を行った。
結論
プリオン病、SSPE、PMLという3疾患の難病に関して、3年間の最終年度として適切に研究を遂行できたものである。プリオン病は早期かつ適切な診断、サーベイランス、新規病態の解明、解剖献体でのプリオン病の発見など多くの知見を得た。SSPEに関しては、あらためて日本での実態調査を行うことで、様々な問題点などを抽出、確認できた。PMLについてはサーベイランス、診断支援体制の確立と、治療関連のPMLというあらたな病態の増加を確認した。以上、3疾患の難病医療への支援を継続できたものと考慮された。
公開日・更新日
公開日
2024-04-11
更新日
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