極細径内視鏡用高機能中空ファイバの製作

文献情報

文献番号
200912041A
報告書区分
総括
研究課題名
極細径内視鏡用高機能中空ファイバの製作
課題番号
H20-ナノ・若手-010
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
岩井 克全(仙台高等専門学校 情報ネットワーク工学科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,639,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高エネルギー伝送ならびに滅菌工程に耐える超細径中空ファイバが実現できれば、歯科内視鏡の低侵襲治療の高効率化が可能である。本研究では、①無機材料が内面にコートされた銀中空ファイバを用いる、②外径0.17 mm、内径0.1 mmの細径中空ファイバとして機能する、③製作法が単純で、低コスト化が可能の特長を有する。技術課題は、超細径中空ファイバへの平滑な銀膜の形成技術、無機ガラス材料の一様成膜技術、ならびに先端封止技術である。平成21年度は無機薄膜形成技術の開発で、内径0.1 mm、長さ10 cm、Er:YAG透過率60%の超細径無機薄膜内装銀中空ファイバの製作を目標とする。
研究方法
無機薄膜の成膜に液相法を用いる。中空ファイバの内径が細いと流速が変化し、内面に不均一な膜が形成される。そこで通常用いる内径0.7 mmの接続チューブを内径0.53 mmと0.25 mmの2段階接続に改良し、接続点の送液速度の変動を抑え、均一な無機薄膜の形成を行う。また最適膜厚の成膜に、高濃度の無機溶液を用いるため、溶液の粘度で流速が変化する。そこで送液系を循環させ、上・下から溶液に力を加える手法を用いた。成膜条件は、①濃度38 wt%、②送液速度は10 cm/min、③乾燥工程は、窒素ガス100 ml/minを流しながら、1時間室温乾燥を行った。
結果と考察
内径0.1 mm、長さ10 cmの無機薄膜内装銀中空ファイバの可視-近赤外波長帯における損失波長スペクトルの測定を行った。明確な干渉ピークが観察されることから、ファイバ内に均一な無機薄膜が形成されていると思われる。波長1.7 mmで透過率64%と低損失であり、Er:YAGレーザ光を高効率に伝送できると思われる。内装光学膜の膜厚に対するEr:YAGレーザ光 (HE11モード)の伝送損失の結果から、成膜した無機薄膜の膜厚0.27 μmは、Er:YAGレーザ光伝送に有効な光学膜厚であることを確認した。
結論
内径0.1 mm、長さ10 cmのEr:YAGレーザ用超細径無機薄膜内装銀中空ファイバの製作を行い、目標を達成できた。Er:YAGレーザ光の伝送に最適な光学膜厚を有する一様な無機薄膜内装銀中空ファイバの製作条件が明らかになり、歯科内視鏡用内径0.1 mm無機薄膜内装銀中空ファイバの製作が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-