文献情報
文献番号
202211036A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性血管炎の医療水準・患者QOL向上に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20FC1044
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
針谷 正祥(東京女子医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 田村 直人(順天堂大学 医学部 膠原病内科)
- 河野 肇(帝京大学 医学部)
- 猪原 登志子(伊藤 登志子)(京都府立医科大学 附属病院臨床研究推進センター)
- 駒形 嘉紀(杏林大学 医学部 腎臓・リウマチ膠原病内科)
- 杉山 斉(川崎医療短期大学)
- 坂東 政司(自治医科大学 内科学講座 呼吸器内科学部門)
- 藤井 隆夫(和歌山県立医科大学附属病院 リウマチ・膠原病科)
- 石津 明洋(北海道大学大学院保健科学研究院)
- 川上 民裕(東北医科薬科大学医学部)
- 菅野 祐幸(信州大学 医学部 病理組織学講座)
- 高橋 啓(東邦大学 医学部)
- 宮崎 龍彦(岐阜大学医学部附属病院病理部)
- 中岡 良和(国立研究開発法人国立循環器病センター 研究所血管生理学部)
- 石井 智徳(東北大学病院 臨床研究推進センター)
- 内田 治仁(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 CKD・CVD地域連携包括医療学講座)
- 杉原 毅彦(聖アリアンナ医科大学 医学部)
- 新納 宏昭(九州大学病院 免疫 膠原病 感染症内科)
- 吉藤 元(京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学)
- 渡部 芳子(川崎医科大学 医学部)
- 要 伸也(学校法人杏林学園 杏林大学 医学部 腎臓・リウマチ膠原病内科)
- 天野 宏一(埼玉医科大学 医学部)
- 和田 隆志(国立大学法人 金沢大学 )
- 佐田 憲映(高知大学 医学部)
- 土橋 浩章(香川大学 医学部 血液・免疫・呼吸器内科学)
- 長坂 憲治(東京医科歯科大学医学部)
- 南木 敏宏(東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野)
- 古田 俊介(千葉大学医学部)
- 坪井 直毅(藤田医科大学 医学部)
- 廣村 桂樹(群馬大学大学院医学系研究科内科学講座腎臓・リウマチ内科学)
- 樋口 智昭(東京女子医科大学 医学部内科学講座膠原病リウマチ内科学分野リウマチ性疾患先進的集学医療寄附研究部門)
- 土屋 尚之(筑波大学 医学医療系 分子遺伝疫学研究室)
- 中村 好一(自治医科大学 地域医療学センター公衆衛生学部門)
- 佐伯 圭吾(奈良県立医科大学 医学部 疫学・予防医学講座)
- 前嶋 康浩(東京医科歯科大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
27,690,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
難治性血管炎疾患の医療水準の向上や患者のQOL向上等により、研究開発推進の司令塔として難病・小児慢性特定疾病対策の推進に貢献することが目的である。
研究方法
以下の8指定難病を主な対象とした。高安動脈炎(TAK), 巨細胞性動脈炎(GCA), 結節性多発動脈炎(PAN), 顕微鏡的多発血管炎(MPA), 多発血管炎性肉芽腫症(GPA), 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA), 悪性関節リウマチ(MRA), バージャー病(TAO)。4分科会を設置して研究を実施した。
結果と考察
1)領域横断分科会: オンライン市民公開講座に6コンテンツを追加した。診療実態に関するアンケート調査結果を論文化した。Vasculitis Pregnancy Registry (V-PREG)研究に参加し、患者会と協力のもとで患者向けハンドアウトの日本語版を作成した。新規検査および治療の開発状況について収集した情報を研究班ウエブサイトに掲載した。ANCA関連血管炎(AAV)診療ガイドライン作成のシステマティックレビュー結果を論文化した。
2)臨床病理分科会:今年度は5件の依頼症例に対し血管炎病理診断コンサルテーションを実施した。GCAの大動脈炎病変の特徴、AAVの上気道生検組織の特徴、PANと皮膚動脈炎の病理組織の人工知能による鑑別、FFPE切片を用いた血管壁免疫グロブリン沈着の検出方法の最適化に関する研究を進めた。ウエブ版血管炎病理アトラスを英文論文化した。
3)大型血管炎臨床分科会:TAK、GCAの難病情報センターの通知改訂と重症度分類改訂を提案した。TAK、GCA、TAOの診断基準ならびに重症度分類の修正希望を厚生労働省へ提出した。TAOの診断基準の修正案を日本循環器学会/日本血管外科学会合同ガイドライン末梢動脈疾患ガイドライン(2021年改訂版)に掲載した。大型血管炎の前向き研究には191例が、後ろ向き研究には311例が登録され、本邦のGCAの臨床的特徴・治療反応性論文報告した。2022年米国リウマチ学会・欧州リウマチ会議GCA分類基準を日本人コホートに適用した際の感度は82.0%、特異度は96.9%であった。TAK(投稿中)、TAO(論文化)の臨床調査個人票を解析した。大型血管炎の心臓血管手術症例に関する症例登録研究ではTAK68例、GCA4例が登録された。大型血管炎の全国疫学調査結果を論文化した。TAK女性患者と妊娠・出産の実態調査を実施し、51症例、69妊娠のうち66妊娠(95.7%)で生産児が得られた(投稿準備中)。「AMED難治性疾患実用化研究事業難治性血管炎診療のCQ解決のための多層的研究」班との共同研究として、大型血管炎の寛解基準と治療目標、治療目標達成に向けた治療戦略を論文発表した。「小児発症高安動脈炎の子どもと親のためのガイドブック」をウエブ出版した。「小児リウマチ疾患トシリズマブ治療の理論と実際」(メディカルレビュー社・監修 伊藤秀一/森雅亮)を2023年3月27日刊行した。
4)中・小型血管炎臨床分科会:AAV診療ガイドライン改訂では令和5年4月に「ANCA関連血管炎診療ガイドライン2023」を発刊した。中・小型血管炎5疾患の指定難病の通知および臨床調査個人票の改定案を厚生労働省に提出した。PANの全国疫学調査で患者数は2200人と推計され、男女比は1:1.4、診断時の平均年齢は51.8歳であった。RemIRIT研究データベースを解析し、リツキシマブによるMPA・GPAの寛解導入率71%、重症感染症の関連因子を論文報告した。2022年米国リウマチ学会・欧州リウマチ会議AAV分類基準と厚生労働省診断基準を比較し、論文化した。AAVのゲノム解析を進め、疾患フェノタイプと関連するバリアントが同定された。
5)RADDAR-J [22]:TAK、GCA、MPA、GPA、EGPAの5疾患について、難病プラットフォームを用いた【RADDAR-J [22]】を令和2年度から開始し、206例が登録された。難病のゲノム医療推進に向けた全ゲノム解析」班でAAVの全ゲノム解析を48例実施した。
6)医師主導治験(AMED班との共同研究):MPAおよびGPAに対するトシリズマブの有効性、安全性、薬物動態に関する医師主導治験(研究開発代表者 針谷正祥)と協力して、医師主導治験を実施した。
3年度目の研究活動もCOVID-19の影響を大きく受け、主にオンラインでの会議を主体に、個々の分科会中心の活動となったが、過去2年度の成果をまとめる形での論文発表を数多く行うことができた。
2)臨床病理分科会:今年度は5件の依頼症例に対し血管炎病理診断コンサルテーションを実施した。GCAの大動脈炎病変の特徴、AAVの上気道生検組織の特徴、PANと皮膚動脈炎の病理組織の人工知能による鑑別、FFPE切片を用いた血管壁免疫グロブリン沈着の検出方法の最適化に関する研究を進めた。ウエブ版血管炎病理アトラスを英文論文化した。
3)大型血管炎臨床分科会:TAK、GCAの難病情報センターの通知改訂と重症度分類改訂を提案した。TAK、GCA、TAOの診断基準ならびに重症度分類の修正希望を厚生労働省へ提出した。TAOの診断基準の修正案を日本循環器学会/日本血管外科学会合同ガイドライン末梢動脈疾患ガイドライン(2021年改訂版)に掲載した。大型血管炎の前向き研究には191例が、後ろ向き研究には311例が登録され、本邦のGCAの臨床的特徴・治療反応性論文報告した。2022年米国リウマチ学会・欧州リウマチ会議GCA分類基準を日本人コホートに適用した際の感度は82.0%、特異度は96.9%であった。TAK(投稿中)、TAO(論文化)の臨床調査個人票を解析した。大型血管炎の心臓血管手術症例に関する症例登録研究ではTAK68例、GCA4例が登録された。大型血管炎の全国疫学調査結果を論文化した。TAK女性患者と妊娠・出産の実態調査を実施し、51症例、69妊娠のうち66妊娠(95.7%)で生産児が得られた(投稿準備中)。「AMED難治性疾患実用化研究事業難治性血管炎診療のCQ解決のための多層的研究」班との共同研究として、大型血管炎の寛解基準と治療目標、治療目標達成に向けた治療戦略を論文発表した。「小児発症高安動脈炎の子どもと親のためのガイドブック」をウエブ出版した。「小児リウマチ疾患トシリズマブ治療の理論と実際」(メディカルレビュー社・監修 伊藤秀一/森雅亮)を2023年3月27日刊行した。
4)中・小型血管炎臨床分科会:AAV診療ガイドライン改訂では令和5年4月に「ANCA関連血管炎診療ガイドライン2023」を発刊した。中・小型血管炎5疾患の指定難病の通知および臨床調査個人票の改定案を厚生労働省に提出した。PANの全国疫学調査で患者数は2200人と推計され、男女比は1:1.4、診断時の平均年齢は51.8歳であった。RemIRIT研究データベースを解析し、リツキシマブによるMPA・GPAの寛解導入率71%、重症感染症の関連因子を論文報告した。2022年米国リウマチ学会・欧州リウマチ会議AAV分類基準と厚生労働省診断基準を比較し、論文化した。AAVのゲノム解析を進め、疾患フェノタイプと関連するバリアントが同定された。
5)RADDAR-J [22]:TAK、GCA、MPA、GPA、EGPAの5疾患について、難病プラットフォームを用いた【RADDAR-J [22]】を令和2年度から開始し、206例が登録された。難病のゲノム医療推進に向けた全ゲノム解析」班でAAVの全ゲノム解析を48例実施した。
6)医師主導治験(AMED班との共同研究):MPAおよびGPAに対するトシリズマブの有効性、安全性、薬物動態に関する医師主導治験(研究開発代表者 針谷正祥)と協力して、医師主導治験を実施した。
3年度目の研究活動もCOVID-19の影響を大きく受け、主にオンラインでの会議を主体に、個々の分科会中心の活動となったが、過去2年度の成果をまとめる形での論文発表を数多く行うことができた。
結論
本研究課題の実施を通して、難治性血管炎疾患の医療水準および患者のQOLの更なる向上に寄与することができた。
公開日・更新日
公開日
2024-04-03
更新日
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