文献情報
文献番号
202211034A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性小児消化器疾患の医療水準向上および移行期・成人期のQOL向上に関する研究
課題番号
20FC1042
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
田口 智章(学校法人福岡学園 福岡医療短期大学)
研究分担者(所属機関)
- 田尻 達郎(九州大学 医学研究院)
- 窪田 満(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 総合診療部)
- 桐野 浩輔(国立成育医療研究センター 臨床研究センター データサイエンス部門 上級専門職)
- 松藤 凡(聖路加国際大学 聖路加国際病院)
- 中島 淳(横浜市立大学 大学院医学研究科 肝胆膵消化器病学)
- 武藤 充(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
- 金森 豊(国立成育医療研究センター 小児外科系専門診療部科外科)
- 家入 里志(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 小児外科学分野)
- 小幡 聡(福岡大学 医学部外科学講座 呼吸器・乳腺内分泌・小児外科)
- 黒田 達夫(慶應義塾大学 医学部)
- 内田 恵一(三重県立総合医療センター 小児外科)
- 松本 主之(岩手医科大学医学部 内科学講座消化器内科消化管分野)
- 加藤 聖子(九州大学大学院医学研究院 生殖病態生理学)
- 木下 義晶(新潟大学大学院医歯学総合研究科小児外科)
- 浅沼 宏(慶應義塾大学 医学部)
- 宮田 潤子(秋吉 潤子)(九州大学 大学病院)
- 虫明 聡太郎(近畿大学医学部奈良病院 小児科)
- 新井 勝大(国立成育医療研究センター 消化器科)
- 水落 建輝(久留米大学医学部小児科)
- 虻川 大樹(宮城県立こども病院 総合診療科)
- 工藤 孝広(順天堂大学 小児科)
- 文野 誠久(京都府立医科大学 小児外科学)
- 臼井 規朗(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪母子医療センター 小児外科)
- 奥山 宏臣(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 小児成育外科学)
- 和田 基(東北大学大学院医学系研究科小児外科学分野)
- 加治 建(久留米大学医学部 小児外科)
- 松浦 俊治(九州大学 医学研究院)
- 永田 公二(九州大学 大学病院)
- 藤野 明浩(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 小児外科系専門診療部 外科)
- 野坂 俊介(独立行政法人 国立成育医療研究センター 放射線診療部 放射線診断科)
- 深堀 優(久留米大学 医学部)
- 井上 幹大(藤田医科大学 小児外科)
- 越永 從道(日本大学 医学部)
- 藤代 準(東京大学 医学部附属病院)
- 渕本 康史(国立成育医療研究センター(臓器・運動器病態外科部外科))
- 廣瀬 龍一郎(福岡大学 医学部外科学講座 呼吸器・乳腺内分泌・小児外科)
- 尾花 和子(埼玉医科大学小児外科)
- 掛江 直子(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 研究開発監理部 生命倫理研究室)
- 吉住 朋晴(九州大学 大学院)
- 松本 公一(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 小児がんセンター)
- 盛一 享徳(国立成育医療研究センター 研究所 小児慢性特定疾病情報室)
- 北岡 有喜(独立行政法人国立病院機構京都医療センター 医療情報部)
- 小林 徹(国立成育医療研究センター データサイエンス部門)
- 小田 義直(九州大学大学院 医学研究院 形態機能病理学)
- 義岡 孝子(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 病理診断部)
- 増本 幸二(筑波大学 医学医療系 臨床医学域 小児外科)
- 米倉 竹夫(近畿大学 医学部 奈良病院)
- 上野 豪久(大阪大学医学系研究科 小児成育外科)
- 大賀 正一(国立大学法人九州大学 医学研究院成長発達医学分野)
- 猪股 裕紀洋(熊本大学 大学院 医学薬学研究部)
- 岡 暁子(福岡歯科大学 口腔歯学部)
- 清水 俊明(順天堂大学 医学部)
- 中村 友彦(地方独立行政法人長野県立病院機構長野県立こども病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
27,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
小児期から移行期・成人期にまたがる希少難治性消化管疾患では、治療に難渋して長期的な経過を辿る症例が多く、患者のQOLが長期にわたり著しく脅かされている。これらの疾患に対し適切な医療政策を施行していくためには、実態と問題の把握と診断基準や診療ガイドラインの整備、小児期・移行期・成人期を包括した診療体制の構築が必要である。
研究方法
疾患ごとに研究グループを構築し、疾患の状況に応じた問題設定を行い作業を進める。同時に疾患横断的なグループによる情報提供や検証を行い、研究の質の向上を図った。
結果と考察
ヒルシュスプルング病類縁疾患(指定難病99,100,101・小慢)
CIIPの除外診断項目の充実を図るため、遺伝子診断に関して文献検索を行った。成人CIIP/CIPO領域では、国内症例の臨床状況をまとめて投稿中である。
MMIHSの遺伝子診断に関して、既存の疾患概念と遺伝子変異に関連した疾患群との関連性、遺伝子診断を行うメリットを検討した
isolated hypoganglionosisの早期診断後の治療に関していくつかの治療法を全国施設から提案していただき、その効果判定と有効性を議論し今後の治療プロトコールについて検討した。
ヒルシュスプルング病(指定難病91・小慢)
ガイドライン作成へ向けたSCOPE, CQを作成しSRを行いガイドライン推奨文を作成した。今後ガイドラインの完成により治療の標準化がすすむ予定である。
乳幼児巨大肝血管腫(指定難病95・小慢)
診療ガイドライン改訂を目的に、システマティック・レビューを進めた。その結果、成人期発症例や成人化後の増悪例に関しては報告が増えていた。これを元に2023年の診療ガイドラインに併載した。
非特異性多発性小腸潰瘍症(指定難病290・小慢)
医療水準向上、および、移行期・成人期のQOL向上を目指し、本症の新診断基準を作成し、患者データベースの充実化を図り、小児期から成人期への移行期支援ガイドを作成した。
難治性下痢症(指定難病・小慢 未指定混在)
平成26年度からの小児難治性下痢症に関する調査研究に始まり、診断指針の策定と出版、および情報公開を行うという目的が達成された。また、「難治性乳児下痢症およびその他の難治性下痢症」を小慢の対象とするための道筋を日本小児栄養消化器肝臓学会の活動として継続することとした。
総排泄腔遺残症・外反症・MRKH症候群(指定難病292,293・小慢)
新規レジストリ構築、学会や研究会を通じて診療科間の情報共有、患者会・市民公開講座などの啓発活動などについて成果をあげている。
仙尾部奇形腫(小慢)
長期予後に関する全国アンケート調査を完了し、2023年の学会での公表に向けての準備中である。
短腸症(小慢)
短腸症を含む腸管不全患者の実態調査を行った。その結果、短腸症患者全体の治療成績の向上には、ガイドラインなどによる治療の標準化や専門施設(センター)による診療支援体制の制度化などが必要であることが判明。移行期成人期も問題が多いので、指定難病再申請をすすめる。
腹部リンパ管疾患(リンパ管腫の一部は指定難病・小慢、しかし「腹部リンパ管腫」としては未認定)
厚労省健康局難病対策課と相談の結果、難病指定の承認を得られなかったことの経緯として新規でなく修正申請していたことの問題が判明。来年度以降、症例調査研究データのまとめ等を元に指定難病に再申請する予定である。
胃食道逆流症(未指定)
現状調査の成果を英文論文化した。また、方向性と課題について慎重に議論を重ねた結果、小慢の指定を目指すこととなり、「難治性GERDの定義(診断基準案)」と「GERDの診断基準」案についてあえて重心を除外しない方針となり、小慢への申請を行う。
先天性食道閉鎖症(未指定)
長期経過での問題点が抽出され、その結果、小慢の指定を目指すべきと結論し、申請書の項目を埋めるための準備を行った。また日本小児外科学会ガイドライン委員会と協力して、ガイドライン作成にも協力していくこととした。
高位・中間位鎖肛(未指定)
研究班の調査により、は小児期から移行期・成人期に至りQOLを大きく左右する便失禁、下着汚染などが思春期以降も継続することが判明。これらの結果から、小慢の申請を行う。更に、移行期・成人期の状況も考慮し指定難病申請も検討する。
CIIPの除外診断項目の充実を図るため、遺伝子診断に関して文献検索を行った。成人CIIP/CIPO領域では、国内症例の臨床状況をまとめて投稿中である。
MMIHSの遺伝子診断に関して、既存の疾患概念と遺伝子変異に関連した疾患群との関連性、遺伝子診断を行うメリットを検討した
isolated hypoganglionosisの早期診断後の治療に関していくつかの治療法を全国施設から提案していただき、その効果判定と有効性を議論し今後の治療プロトコールについて検討した。
ヒルシュスプルング病(指定難病91・小慢)
ガイドライン作成へ向けたSCOPE, CQを作成しSRを行いガイドライン推奨文を作成した。今後ガイドラインの完成により治療の標準化がすすむ予定である。
乳幼児巨大肝血管腫(指定難病95・小慢)
診療ガイドライン改訂を目的に、システマティック・レビューを進めた。その結果、成人期発症例や成人化後の増悪例に関しては報告が増えていた。これを元に2023年の診療ガイドラインに併載した。
非特異性多発性小腸潰瘍症(指定難病290・小慢)
医療水準向上、および、移行期・成人期のQOL向上を目指し、本症の新診断基準を作成し、患者データベースの充実化を図り、小児期から成人期への移行期支援ガイドを作成した。
難治性下痢症(指定難病・小慢 未指定混在)
平成26年度からの小児難治性下痢症に関する調査研究に始まり、診断指針の策定と出版、および情報公開を行うという目的が達成された。また、「難治性乳児下痢症およびその他の難治性下痢症」を小慢の対象とするための道筋を日本小児栄養消化器肝臓学会の活動として継続することとした。
総排泄腔遺残症・外反症・MRKH症候群(指定難病292,293・小慢)
新規レジストリ構築、学会や研究会を通じて診療科間の情報共有、患者会・市民公開講座などの啓発活動などについて成果をあげている。
仙尾部奇形腫(小慢)
長期予後に関する全国アンケート調査を完了し、2023年の学会での公表に向けての準備中である。
短腸症(小慢)
短腸症を含む腸管不全患者の実態調査を行った。その結果、短腸症患者全体の治療成績の向上には、ガイドラインなどによる治療の標準化や専門施設(センター)による診療支援体制の制度化などが必要であることが判明。移行期成人期も問題が多いので、指定難病再申請をすすめる。
腹部リンパ管疾患(リンパ管腫の一部は指定難病・小慢、しかし「腹部リンパ管腫」としては未認定)
厚労省健康局難病対策課と相談の結果、難病指定の承認を得られなかったことの経緯として新規でなく修正申請していたことの問題が判明。来年度以降、症例調査研究データのまとめ等を元に指定難病に再申請する予定である。
胃食道逆流症(未指定)
現状調査の成果を英文論文化した。また、方向性と課題について慎重に議論を重ねた結果、小慢の指定を目指すこととなり、「難治性GERDの定義(診断基準案)」と「GERDの診断基準」案についてあえて重心を除外しない方針となり、小慢への申請を行う。
先天性食道閉鎖症(未指定)
長期経過での問題点が抽出され、その結果、小慢の指定を目指すべきと結論し、申請書の項目を埋めるための準備を行った。また日本小児外科学会ガイドライン委員会と協力して、ガイドライン作成にも協力していくこととした。
高位・中間位鎖肛(未指定)
研究班の調査により、は小児期から移行期・成人期に至りQOLを大きく左右する便失禁、下着汚染などが思春期以降も継続することが判明。これらの結果から、小慢の申請を行う。更に、移行期・成人期の状況も考慮し指定難病申請も検討する。
結論
本研究班では、それぞれの疾患の置かれた状況に応じた着実な進捗を果たすことができた。また、今年度までの研究成果により、役割を終了できると判断された疾患群として「難治性下痢症」と「胃食道逆流症」が抽出された。
今後の申請として、指定難病は「短腸症」「腹部リンパ管腫」が再申請をめざし、小慢は「胃食道逆流症」「先天性食道閉鎖症」「高位・中間位鎖肛」が申請をめざして準備をすすめることになった。
今後の申請として、指定難病は「短腸症」「腹部リンパ管腫」が再申請をめざし、小慢は「胃食道逆流症」「先天性食道閉鎖症」「高位・中間位鎖肛」が申請をめざして準備をすすめることになった。
公開日・更新日
公開日
2024-04-04
更新日
-