文献情報
文献番号
202211032A
報告書区分
総括
研究課題名
IgG4関連疾患の診断基準並びに診療指針の確立を目指す研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20FC1040
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
中村 誠司(九州大学 大学院歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座 顎顔面腫瘍制御学分野)
研究分担者(所属機関)
- 岡崎 和一(関西医科大学 香里病院)
- 神澤 輝実(地方独立行政法人東京都立病院機構 東京都立駒込病院)
- 正宗 淳(東北大学大学院医学系研究科)
- 川 茂幸(松本歯科大学 歯学部内科学)
- 妹尾 浩(京都大学大学院 医学研究科)
- 田中 篤(帝京大学 医学部)
- 岩崎 栄典(慶應義塾大学 医学部)
- 児玉 裕三(神戸大学 大学院医学研究科 )
- 井戸 章雄(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
- 仲瀬 裕志(札幌医科大学 医学部)
- 菅野 敦(自治医科大学 医学部)
- 高橋 裕樹(札幌医科大学 医学部)
- 内田 一茂(高知大学 医学部)
- 吉藤 元(京都大学 大学院医学研究科 )
- 坪井 洋人(筑波大学 医学医療系)
- 田中 良哉(産業医科大学 医学部 )
- 正木 康史(金沢医科大学 医学部血液免疫内科学)
- 高比良 雅之(金沢大学 附属病院)
- 赤水 尚史(和歌山県立医科大学 医学部)
- 川野 充弘(金沢大学 附属病院)
- 梅原 久範(市立長浜病院 診療局)
- 笠島 里美(今井 里美)(金沢大学 医薬保健研究域保健学系)
- 松井 祥子(富山大学 保健管理センター)
- 半田 知宏(京都大学 大学院医学研究科)
- 佐藤 康晴(岡山大学 学術研究院保健学域)
- 佐藤 啓(愛知医科大学 医学部)
- 能登原 憲司(倉敷中央病院 病理診断科)
- 石川 秀樹(京都府立医科大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
26,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本邦から新しい疾患概念として提唱されたIgG4関連疾患(IgG4-RD)を8領域に分類し、診断基準の確立、重症度分類・疾患活動性指標・寛解基準の新規策定、患者レジストリによる大規模かつ正確な情報収集、全国頻度調査による正確な患者数の把握、診療ガイドラインの作成、社会への啓発活動を行うことにより、「難治性疾患診療の標準化」や「難病の医療費助成」の遂行に貢献することを目的とした。
研究方法
1)関連8領域における分科会と全体班会議等により、改訂包括診断基準と各臓器疾患診断基準の検証と改訂、診療ガイダンスの作成を行った。
2)疾患の標準的治療法の確立のために全国調査を行い、重症度分類・疾患活動性指標・寛解基準の検討と策定を行った。
3)実態調査を目的としたレジストリ制度を構築するとともに、症例登録数を増やした。
4)関連学会やAMED難病実用化研究事業とも連携し、予後因子の抽出などを開始した。
5)市民公開講座のオンデマンド配信、ホームページの作成、患者の会設立等により、社会への啓発活動を行った。
2)疾患の標準的治療法の確立のために全国調査を行い、重症度分類・疾患活動性指標・寛解基準の検討と策定を行った。
3)実態調査を目的としたレジストリ制度を構築するとともに、症例登録数を増やした。
4)関連学会やAMED難病実用化研究事業とも連携し、予後因子の抽出などを開始した。
5)市民公開講座のオンデマンド配信、ホームページの作成、患者の会設立等により、社会への啓発活動を行った。
結果と考察
①IgG4関連疾患(包括疾患名)について
2020年に改訂された包括診断基準は検証が進められ、多施設での前向きの検証を進めた。
②自己免疫性膵炎について
自己免疫性膵炎(AIP)臨床診断基準2018の検証を進めた。
③IgG4関連硬化性胆管炎について
IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2020の検証と改訂に関するアンケート調査を行い、結果に基づきWGを立ち上げる予定とした。
④IgG4関連涙腺・唾液腺炎について
2020年に改訂したIgG4関連涙腺・唾液腺炎(IgG4-DS)診断基準の有用性・改善点について解析を進めた。
⑤IgG4関連腎臓病について
IgG4関連腎臓病の長期予後調査を多施設共同で行った。
⑥IgG4関連呼吸器疾患について
2022年改訂IgG4関連呼吸器疾患診断基準を作成した。
⑦IgG4関連循環器疾患および動脈周囲炎・後腹膜線維症
平成30年に提唱されたIgG4関連大動脈周囲炎/動脈周囲炎および後腹膜線維症の旧診断基準の有用性について.新診断基準に追加する項目を検討した。
⑧IgG4関連神経・内分泌疾患について
⑴ IgG4関連下垂体炎、IgG4関連肥厚性硬膜炎、IgG4関連甲状腺炎の診断基準・重症度分類(案)を作成した。
⑵ IgG4関連疾患(内分泌神経領域)診療ガイドライン作成に関する質問表の内分泌神経領域分科会案を作成した。
⑨IgG4関連眼疾患について
⑴ IgG4関連眼疾患診断基準の改訂について討議し、公表に向けて最終案を作成した。
⑵ 診療ガイダンスの作成に関し、眼疾患に関する項目とその解説文について最終形を確認した。
⑶ 疾患活動性指標に関して、眼疾患分科会に関連する内容につき討議した。
⑩その他
⑴IgG4関連疾患診療ガイダンスの作成
IgG4関連疾患を専門としていない医師が日常診療の中でこの疾患を疑い、診断ならびに治療方針決定のために専門家への紹介が必要か否かを検討する際に役立つガイドとして、推奨文を38項目作成し、専門家の意見を聞きながら解説文を最終的に確定する作業を進めた。
⑵重症度分類、疾患活動性指標、寛解基準の検討と策定に向けたワーキンググループを開催し、8領域の各分科会にて各領域についてのすり合わせを行い、疾患別の診断基準の改訂を進めた。
⑶患者レジストリの参加施設は64施設となり、登録患者数も800例(令和5年3月31日時点)と、目標登録数(500例)を大きく上回った。検体数(血液)も270例と数多くのサンプルが収集されており、患者レジストリを用いた5つのゲノム・臨床研究も進めた。
(4)ゲノム活用ファンドを活用し、京都大学ゲノム医学センターおよびAMED(國土班)と連携して患者サンプルを収集し、患者レジストリの臨床データと結合して、IgG4関連疾患の予後因子解明を進めた。
(5) 難病情報センターとリンクした一般向けホームページ作成の他、患者の会の設立・患者の会ホームページの作成等を行い、社会への啓発を行った。今後はパンフレットを作成する予定とした。
2020年に改訂された包括診断基準は検証が進められ、多施設での前向きの検証を進めた。
②自己免疫性膵炎について
自己免疫性膵炎(AIP)臨床診断基準2018の検証を進めた。
③IgG4関連硬化性胆管炎について
IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2020の検証と改訂に関するアンケート調査を行い、結果に基づきWGを立ち上げる予定とした。
④IgG4関連涙腺・唾液腺炎について
2020年に改訂したIgG4関連涙腺・唾液腺炎(IgG4-DS)診断基準の有用性・改善点について解析を進めた。
⑤IgG4関連腎臓病について
IgG4関連腎臓病の長期予後調査を多施設共同で行った。
⑥IgG4関連呼吸器疾患について
2022年改訂IgG4関連呼吸器疾患診断基準を作成した。
⑦IgG4関連循環器疾患および動脈周囲炎・後腹膜線維症
平成30年に提唱されたIgG4関連大動脈周囲炎/動脈周囲炎および後腹膜線維症の旧診断基準の有用性について.新診断基準に追加する項目を検討した。
⑧IgG4関連神経・内分泌疾患について
⑴ IgG4関連下垂体炎、IgG4関連肥厚性硬膜炎、IgG4関連甲状腺炎の診断基準・重症度分類(案)を作成した。
⑵ IgG4関連疾患(内分泌神経領域)診療ガイドライン作成に関する質問表の内分泌神経領域分科会案を作成した。
⑨IgG4関連眼疾患について
⑴ IgG4関連眼疾患診断基準の改訂について討議し、公表に向けて最終案を作成した。
⑵ 診療ガイダンスの作成に関し、眼疾患に関する項目とその解説文について最終形を確認した。
⑶ 疾患活動性指標に関して、眼疾患分科会に関連する内容につき討議した。
⑩その他
⑴IgG4関連疾患診療ガイダンスの作成
IgG4関連疾患を専門としていない医師が日常診療の中でこの疾患を疑い、診断ならびに治療方針決定のために専門家への紹介が必要か否かを検討する際に役立つガイドとして、推奨文を38項目作成し、専門家の意見を聞きながら解説文を最終的に確定する作業を進めた。
⑵重症度分類、疾患活動性指標、寛解基準の検討と策定に向けたワーキンググループを開催し、8領域の各分科会にて各領域についてのすり合わせを行い、疾患別の診断基準の改訂を進めた。
⑶患者レジストリの参加施設は64施設となり、登録患者数も800例(令和5年3月31日時点)と、目標登録数(500例)を大きく上回った。検体数(血液)も270例と数多くのサンプルが収集されており、患者レジストリを用いた5つのゲノム・臨床研究も進めた。
(4)ゲノム活用ファンドを活用し、京都大学ゲノム医学センターおよびAMED(國土班)と連携して患者サンプルを収集し、患者レジストリの臨床データと結合して、IgG4関連疾患の予後因子解明を進めた。
(5) 難病情報センターとリンクした一般向けホームページ作成の他、患者の会の設立・患者の会ホームページの作成等を行い、社会への啓発を行った。今後はパンフレットを作成する予定とした。
結論
8領域の分科会活動と年2回の班会議、ワーキンググループによる議論を経て、3年目における包括的研究および各分科会領域における研究の進捗状況は概ね予定通りであったが、重症度分類、疾患活動性指標、寛解基準および診療ガイダンスについては現在作成中であり、令和5年度を目処に完了させる予定とした。
公開日・更新日
公開日
2024-04-03
更新日
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