蛋白質セラピー法と中性子捕捉療法による難治性がん治療法開発

文献情報

文献番号
200912028A
報告書区分
総括
研究課題名
蛋白質セラピー法と中性子捕捉療法による難治性がん治療法開発
課題番号
H21-ナノ・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
松井 秀樹(国立大学法人 岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 宮武 伸一(大阪医科大学 脳神経外科学)
  • 小野 公二(京都大学 原子炉実験所)
  • 井口 東郎(独立行政法人 国立病院機構四国がんセンター 臨床研究部)
  • 富澤 一仁(熊本大学大学院 医学薬学研究部)
  • 伊達 勲(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科)
  • 西木 禎一(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科)
  • 妹尾 昌治(株式会社ビークル研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
42,459,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
これまでに我々が開発した蛋白質セラピー法を応用・高機能化し、ガン細胞に特異的に標的化され、しかも高効率に細胞内導入できる機能を有する中性子捕捉療法(BNCT)に用いるボロン(ホウ素)製剤を開発する。本研究全体では、開発したホウ素製剤の機能を脳腫瘍または肺癌・悪性中皮腫モデル動物で実証するとともに、それらの生体内薬物動態の測定や小動物を使った安全性試験を行い、臨床試験への橋渡しを行うことを目的とする。
研究方法
ホウ素剤開発では、ホウ素のイオン集合体BSH (Na2B12H11SH)に膜透過性ペプチドを結合させて細胞導入効率を飛躍的に高めたBSHペプチドと、ナノカプセル内部にBSHを封入し、抗体で標的化した抗体付加型ナノカプセルBSH(イムノリポソーム)の2種類を作製する。作製したホウ素製剤を培養腫瘍細胞や脳腫瘍モデル動物に投与し、中性子照射を行い効果を実証していく。
結果と考察
本年度、悪性脳腫瘍を特異的に標的化した抗体付加型ナノカプセル(イムノリポソーム)の作製に成功した。また、開発する新規ホウ素製剤を評価する腫瘍モデル動物の作製を検討した。一方で、BNCTに用いる京都大学原子炉実験所で開発中のサイクロトロン中性子源の物理および生物特性を検証し、中性子照射の試験研究が開始できる準備が整った。次年度は、このリポソームにホウ素化合物を封入し、BNCTへの応用を目指すとともに、引き続き、培養腫瘍細胞を導入して新規腫瘍動物モデルの検討を行う。
結論
平成22年度は、開発した新規ホウ素製剤を培養腫瘍細胞で評価、さらに腫瘍モデル動物へ投与し、経時的な薬理学的体内ホウ素分布測定を行っていく。燃料交換・総点検のため長期間運転を停止していた原子炉が平成22年度6月より再稼働されることになり、再稼働後、BNCTの試験研究を進めていく予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-12-01
更新日
-