糖尿病関連血管病(動脈硬化・足病変)の早期診断・治療のための高感度分子イメージングプローブの開発

文献情報

文献番号
200912027A
報告書区分
総括
研究課題名
糖尿病関連血管病(動脈硬化・足病変)の早期診断・治療のための高感度分子イメージングプローブの開発
課題番号
H21-ナノ・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
佐治 英郎(京都大学 大学院薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小野 正博(京都大学 大学院薬学研究科 )
  • 天滿 敬(京都大学 大学院薬学研究科 )
  • 河嶋 秀和(京都大学 大学院医学研究科 )
  • 上田 真史(京都大学 大学院医学研究科)
  • 塩見 雅志(神戸大学 医学部附属動物実験施設)
  • 関 育也(日本メジフィジックス株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
49,442,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
糖尿病性血管病に由来する動脈硬化は心筋梗塞を高頻度に引き起こし、さらに、下肢切断に至る糖尿病足病変は患者の生命予後・QOLを著しく低下させる。従って、これらに対する適切な治療法選択のために、高精度な診断法の開発が急務である。本研究の目的は、動脈硬化及び炎症の発生・進展の分子機構を標的として、病態生理学的観点と製剤学的観点からプローブ設計を行い、炎症の存在・進展範囲・活動性のみならず、微細な動脈硬化巣の不安定性を高感度で検出・評価しうる核医学分子イメージングプローブの開発を行い、糖尿病性炎症による合併症の高精度診断・治療に資することにある。
研究方法
本研究では、1.病態生理学的観点から動脈硬化の発生・進展・不安定化に密接に関わる分子として酸化LDLおよびリゾリン脂質受容体(G2A)を、さらに感染症の炎症反応における白血球の浸潤に密接に関わる分子として、Formyl Peptide Receptor (FPR)を選択し、これらを標的とする分子イメージングプローブを設計・開発する。また、2.製剤学的な観点から、生体内代謝耐性化技術および分子電荷制御によるインビボ標的指向性技術を構築すると共に、プローブ内に複数の放射性同位元素(RI)を導入するシグナル増幅法と高効率の標識法を設計することで高感度画像化を目指す。
結果と考察
ホモロジーモデリングと標的タンパク質とのドッキングシュミレーションを利用することにより、酸化LDL、G2A、FPRそれぞれに対する複数の分子プローブ候補化合物を設計するとともに、それらの標品化合物の合成に成功した。さらにその一部についてはRI標識にも成功し、飽和実験または阻害実験により標的親和性を見出した。また、高感度分子プローブ開発を目的として、ペプチドやタンパク質の標識試薬として有効な18FSFBの迅速one-pot合成に成功した。さらに、分子プローブ候補化合物のインビボ評価のための感染症モデル動物も確立することができた。
結論
糖尿病性血管病に由来する炎症、および、動脈硬化巣の不安定性を高感度で検出しうる核医学分子イメージングプローブの開発の可能性が示された。平成22年度以降は、インビトロ・インビボ評価に基づく分子設計の最適化、複数RI標識部位の導入・生体内DDSの最適化による高感度化、モデル動物を用いたインビボ研究による有効性評価を行っていく予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-