シュガーチップと糖鎖固定化金ナノ粒子を用いたウイルス性疾患の超早期検査・診断法の開発

文献情報

文献番号
200912026A
報告書区分
総括
研究課題名
シュガーチップと糖鎖固定化金ナノ粒子を用いたウイルス性疾患の超早期検査・診断法の開発
課題番号
H21-ナノ・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
隅田 泰生(国立大学法人鹿児島大学 大学院理工学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 奥野 寿臣(兵庫医科大学病原微生物学教室学)
  • 石田 秀治(岐阜大学応用生物学部食品生命科学課程)
  • 有馬 直道(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科  附属難治ウイルス病態制御研究センター)
  • 馬場 昌範(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科  附属難治ウイルス病態制御研究センター)
  • 岡本 実佳(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科  附属難治ウイルス病態制御研究センター)
  • 梶川 浩太郎(東京工業大学 大学院総合理工学研究科)
  • 坪内 博仁(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 健康科学専攻 人間環境学講座 )
  • 牟田 健一((株)モリテックス システム機器部・部長)
  • 児玉 崇((株)トラスト・(株)ニート 代表取締役)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
29,743,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、10 μlほどの少量サンプルを用いて、PCRで検出できない低濃度のウイルスや、疾患のバイオマーカーを超早期に検出・診断可能な先端医療技術の開発を行うことを目的とする。対象として、蔓延性が高く、我国だけでなく世界的な問題になっているヘルペスウイルス(HSV)、BおよびC型肝炎ウイルス(HBV、HCV)、エイズウイルス(HIV)、南九州に多い成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)を選び、喫緊の課題を解決する。さらに、ウイルスの選択的除去や新薬開発のためのスクリーニング技術にも応用する。糖鎖は生命現象に必須の役割を持つが、一方で各種ウイルスが細胞へ吸着する際にレセプター分子として使用される。これを逆手にとり、本技術では糖鎖との特異的結合相互作用をナノテクノロジーの技術を用いて測定することを基盤としている。
研究方法
硫酸化糖鎖やシアル酸含有糖鎖などは化学合成し、それら糖鎖を独自のリンカー分子を介して金に固定化し、シュガーチップ(SC)及び糖鎖固定化金ナノ粒子(SGNP)を調製した。多チャンネルファイバー型局在表面プラズモン共鳴測定装置(LSPR)の感度向上のために、SGNPの大きさと感度向上の関係の理論計算を主として行った。ウイルスの超高感度検出と選択的除去法ならびに治療薬開発のためのスクリーニング技術の開発のために、各ウイルスの結合糖鎖をアレイ型シュガーチップを用いたSPRイメージング法によって決定し、その糖鎖を固定化したSGNPを調製して超高感度分析を行った。また、ウイルス濃縮技術を自動化するために、初年度にウイルス自動濃縮機(ロボット)を試作し、インフルエンザウイルスを対象として試行を始めた。
結果と考察
HCVの類縁ウイルスであるBVDV(牛下痢ウイルス)、加熱し感染性を無くしたHIV 、感染細胞上清のHTLV-1についてはそれぞれの結合糖鎖を決定した。BVDVについては、決定した糖鎖を固定化したSGNPを調製して超高感度分析を行った。HCV、HBVについては初年度にインターフェロンまたは抗ウイルス薬を基本とした治療を行った患者検体を集積し、2年度にBVDVやHSVの結果を直ちに応用できる体制を構築した。
結論
H21年度は本研究事業を当初の研究計画通り進捗させることができ、得られた成果の基づき次年度の開発研究を遂行する。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-