難治性血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究

文献情報

文献番号
202211023A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究
課題番号
20FC1031
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
秋田 定伯(医療法人 城内会)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 了(国家公務員共済組合連合会 斗南病院 )
  • 三村 秀文(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 力久 直昭(おゆみの中央病院 形成外科)
  • 大須賀 慶悟(大阪医科薬科大学 放射線診断学教室)
  • 田中 純子(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
  • 小関 道夫(岐阜大学 医学部附属病院)
  • 森本 哲(自治医科大学 医学部とちぎ子ども医療センター(小児科))
  • 掛江 直子(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 研究開発監理部 生命倫理研究室)
  • 康 勝好(埼玉県立小児医療センター 血液腫瘍科)
  • 木下 義晶(新潟大学大学院医歯学総合研究科小児外科)
  • 神人 正寿(和歌山県立医科大学 皮膚科)
  • 藤野 明浩(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 小児外科系専門診療部 外科)
  • 杠 俊介(国立大学法人信州大学医学部形成再建外科学教室)
  • 野村 正(神戸大学医学部附属病院 形成外科)
  • 野崎 太希(聖路加国際大学 聖路加国際病院)
  • 石川 耕資(北海道大学 大学院医学研究院)
  • 長濱 通子(国立大学法人神戸大学 皮膚科)
  • 川上 善久(福岡市立こども病院 形成外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
16,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、おもに形成外科疾患であるリンパ管腫症/ゴーハム病(277), 巨大リンパ管奇形(頚部顔面病変)(278), 巨大静脈奇形(頚部口腔咽頭びまん性病変)(279), 巨大動静脈奇形(頚部顔面又は四肢病変)(280)を研究対象とするが、循環器疾患であるクリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群(281)を対象として、小児科、放射線科、皮膚科、小児外科及び疫学・統計解析、生命・研究倫理の専門家で構成したオールジャパン体制で、水準向上、QOL向上を目指す。平成21-23年度難治性血管腫・血管奇形研究班(佐々木班)、平成24-25年度、平成26-28年度同研究班(三村班)、平成21-23年リンパ管腫研究班(藤野班)、平成24-25年度リンパ管腫症研究班(小関班)、平成24-25年度小児期からの消化器系希少難治性疾患研究班(田口班)の分担研究である腹部リンパ管腫研究、肝血管腫・血管奇形について相互協力のもと疾患概念の形成を含む現状把握と啓発、普及、患者に貢献することを目的とする。
研究方法
ガイドライン改訂作業はMinds診療ガイドライン作成マニュアル2017に沿って開始した。改訂作業チームの組閣として統括委員会、作成グループ、システマティックレビューの担当者を決定した。作業グループは形成外科グループ、放射線科・神経血管内治療科グループ、皮膚科グループ、小児科グループ、小児外科グループの5つの領域に分かれて作業を進めた。統括委員会会議、統括委員会と作成グループ長による合同会議、さらにシステマティックレビューリーダーを加えた会議を定期的に開催し、作業の進捗に関して討議を行い、作業を進めた。クリニカルクエスチョンにおける用語は、日本医学会医学用語辞典Web版、Minds診療ガイドライン作成マニュアル2017重要用語集に準じた。それらにない医学用語については、ガイドライン用語集検討会議にて投票および審議により決定し、用語・略語一覧に追加した。「希少難治性脈管異常(脈管系腫瘍・脈管奇形)疾患」レジストリ作成について、本研究班が取り扱っている、希少難治性脈管異常(脈管系腫瘍・脈管奇形)疾患について、前向き、永続的なレジストリシステムを構築する。症例登録を開始し、データ収集体制を構築する。
結果と考察
「希少難治性脈管異常(脈管系腫瘍・脈管奇形)疾患」レジストリ作成
レジストリに研究分担者の機関より症例が登録され、既に511例の症例データが蓄積されている(2020年12月8日現在)。本レジストリでは希少難治例を中心に臨床個人情報、疾患に関わるデータが収集されている。EDCに入力された。収集された情報は、患者からの情報が主であり、疾患名などの見直しが開始となった。
2020年4月よりガイドライン改訂作業を開始した。まず、改訂作業を行うための組閣を行い、統括委員会のもと、領域別の作業グループ、システマティックレビューチームを構成した。定期的な会議を開催し、作業手順などを確認して、実際の作業を進めた。2017年度版のガイドラインを検証し、スコープの設定、CQの設定を行った。2022年度の主な作業はシステマティックレビューの結果をもとに各CQに対して推奨文の作成を行った。また総説に関しても改訂原稿の草案作成を行った。それらを元にガイドライン全体の草案をとりまとめ、パブリックコメントを募集した。頂いた意見を検討し、反映させたものを最終として、また関係諸団体等の承認を受け、2023年3月に公開した。クリニカルクエスチョンにおける用語、引用文献を全体として統一した形で推奨文・推奨作成の経過を作成した。本疾患に罹患する患者や家族、医療従事者に対してのよりわかりやすい情報提供になりうるものと考えられる。小児慢性特定疾病と指定難病の整合性整備、トランジション体制の整備のためには、診療の質を担保するガイドラインの整備が必須である。今年度はガイドライン改訂を完遂することができ、大きな成果となった。
結論
本領域の診療ガイドライン作成(改訂)、疾患データベース(レジストリ)の充実化、市民公開講座開催、他厚労科研研究班・AMED研究班との連携、患者・市民参画などのstakeholder参加型の問題解決手法により、有効で効果的な難病対策を行政と共にアカデミアが協調していくことの重要性が示されている。
 今後とも永続的な研究継続が必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2024-04-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-04-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202211023B
報告書区分
総合
研究課題名
難治性血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究
課題番号
20FC1031
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
秋田 定伯(医療法人 城内会)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 了(国家公務員共済組合連合会 斗南病院 形成外科)
  • 三村 秀文(聖マリアンナ医科大学 医学部 )
  • 力久 直昭(おゆみの中央病院 形成外科)
  • 大須賀 慶悟(大阪医科薬科大学 放射線診断学教室)
  • 田中 純子(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
  • 小関 道夫(岐阜大学 医学部附属病院)
  • 森本 哲(自治医科大学 医学部)
  • 掛江 直子(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 研究開発監理部 生命倫理研究室)
  • 康 勝好(埼玉県立小児医療センター 血液腫瘍科)
  • 木下 義晶(新潟大学大学院医歯学総合研究科小児外科)
  • 神人 正寿(和歌山県立医科大学 医学部)
  • 藤野 明浩(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 小児外科系専門診療部 外科)
  • 杠 俊介(国立大学法人信州大学医学部形成再建外科学教室)
  • 野村 正(神戸大学医学部附属病院 形成外科)
  • 野崎 太希(聖路加国際大学 聖路加国際病院)
  • 石川 耕資(北海道大学 大学院医学研究院)
  • 長濱 通子(国立大学法人神戸大学 皮膚科)
  • 川上 善久(福岡市立こども病院 形成外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「血管腫・血管奇形・リンパ管奇形診療ガイドライン2017」の改訂版の策定を行う。本研究関連疾患の患者数について、診療報酬記録(以下レセプト)データ解析によって、2018-2020年における患者数推計を行うことを目的とする。新しい「リンパ管腫症の診断基準および重症度分類」を作成することが目的とした。リンパ管奇形は、脈管異常の国際分類であるInternational Society for the Study of Vascular Anomalies(ISSVA)分類において、Lymphatic malformations(LMs)とされている。いわゆるリンパ管腫(リンパ管奇形)、リンパ管腫症、ゴーハム病、リンパ管拡張症等はオーバーラップしており、症例の画像検査、病理学的特徴を参考に、各疾患群に分類した後に、バイオマーカーについても検討する。こうして、疾患の特徴と病態を理解し、正確に鑑別することは的確な治療に結び付けることが出来る。さらに本研究班で取り扱う「希少難治性脈管異常(脈管系腫瘍・脈管奇形)疾患」については、患者数などの疫学情報や臨床的特徴、予後など長期的な疾患登録システムが無いのが現状である。こうした疾患に対し、永続的なデータベースが今後必要であると考え、「難病プラットフォーム」事業の中で、新たな疾患レジストリを作成することとする。
研究方法
ガイドライン改訂作業はMinds診療ガイドライン作成マニュアル2017に沿って開始した。
 クリニカルクエスチョンにおける引用文献は、文献管理ソフトで一元的に管理し、AMA第11版スタイルとして出力することで表記スタイルを統一した。「希少難治性脈管異常(脈管系腫瘍・脈管奇形)疾患」レジストリ作成について、疾患について、前向き、永続的なレジストリシステムを構築する。症例登録を開始し、データ収集体制を構築する。
 
結果と考察
改訂ガイドラインについて
1.領域ごとに2017年版のガイドラインスコープの検証を行い、新たな重要臨床課題を提起し、スコープを作成した。
2.Clinical Question(CQ)に関して継続すべきもの、改訂するもの、削除するもの、新たに設けるものを決定した。38個のCQを設定した。
3.38個のCQに対してキーワードを設定し文献検索を図書館協会に依頼した。
4.文献検索の結果をもとにシステマティックレビューを行った。
5.システマティックレビューの結果をもとに推奨文の作成を行った。
6. 総説の草案作成を行った。
7.最終化の作業としてガイドライン草案をまとめ
パブリックコメントを募集した。
8.パブリックコメントの意見を反映させ、関係諸
団体等の承認を受け、ガイドライン完成に至り、公
開した。結果は、研究班ホームページに公開し、
download1可能としている。https://issvaa.jp/
難病プラットフォームのレジストリ本体のデータについては本研究班が一括管理し、Tableau systemによって匿名化された情報をアウトプットするまで責任を持つ。二次調査は、別途作成された疾患毎のレジストリ(Tableau systemもしくはREDCap)の中に、さらに詳細な調査データと、画像診断、病理診断などの大容量データを主治医が入力する。付随するAMEDなどの実用化研究班はクラウド上に保存された、これらのデータの管理、および臨床サンプルの保存などを管理し、データ、サンプルより得た情報(画像診断、病理結果、遺伝子情報)は追加データとして、レジストリに戻すことで他の研究者がデータシェアリングとして閲覧可能となる。本研究班では主にガイドライン作成を中心目標として、レビュー及び症例レジストレーション構築を進めている厚労科研田口班の黒田チームと綿密に連携し、双方からの情報を統合して研究を進めている。肝巨大血管腫・血管奇形の症例レジストリの構築が黒田チームで進められている本疾患の長期経過を知る上で必要であり、成人期の情報を収集するためには秋田班チームの中心をなす、形成外科・放射線科他の成人医療チームとの連携が不可欠であり今後も協力を続ける。今後も継続して行われることとなっている。
結論
本領域の診療ガイドライン作成(改訂)、疾患データベース(レジストリ)の充実化、市民公開講座開催、他厚労科研研究班・AMED研究班との連携、患者・市民参画などのstakeholder参加型の問題解決手法により、有効で効果的な難病対策を行政と共にアカデミアが協調していくことの重要性が示されている。
 今後とも永続的な研究継続が必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2024-04-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-04-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202211023C

成果

専門的・学術的観点からの成果
横断的観点から希少疾患である脈管奇形(血管奇形、リンパ管奇形)の疫学調査、疾患診断基準、重症度検討を行い、ガイドライン作成(改訂第Ⅱ版)実施し、協会けんぽからの診療録(レセプト)データからの指定難病患者数の推定を行い、レジストリ作成し経年的変化と全国的な分布を検討し今後の臨床研究、治験基盤データに供する。
臨床的観点からの成果
 クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群に対する弾性着衣(ストッキング)の長期間(6か月)観察について全データ(20症例)の収集修了データ固定しており、今後解析し、臨床的有効性について報告する。
RADDAR-J(難病プラットフォーム)準拠当班難病レジストリについて 通し更に、AMED研究班とのレジストリ連携、治験リクルート共同利用を検討した。
ガイドライン等の開発
血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管奇形・リンパ管腫症診療ガイドライン2022を2023年3月31日に完成発行した。本疾患概念を明らかにし、診断基準、重症度、治療方法、疫学の基盤となった。
その他行政的観点からの成果
難病検討委員会での難病検討の基板的データを提供しており、本研究班で検討の後、各専門学会での承認後、患者会などの参画を経て、提言しようとしている。横断的専門領域に拡大する希少疾患について行政に診断基準、対応施設ネットワーク構築のための基礎的・学術的資源を提供している。
その他のインパクト
世界に稀な横断的研究体制をとっており、疾患概念の設立からかかわっており、英文化ガイドラインも前回2017年度版に引き続き作成予定である。 レジストリデータ、関連AMED研究とともに、本領域を世界的にリード推進する体制が整いつつある。横断的専門家と患者会、学会、行政と一体となった問題解決型研究体制である。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
101件
その他論文(和文)
52件
その他論文(英文等)
36件
学会発表(国内学会)
162件
学会発表(国際学会等)
49件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
指定難病の追加提言
その他成果(普及・啓発活動)
23件
市民公開講座、学会でのシンポジウム、ホームページ作成、PPI会議開催

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2024-04-03
更新日
-

収支報告書

文献番号
202211023Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
21,840,000円
(2)補助金確定額
21,840,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,035,542円
人件費・謝金 1,060,104円
旅費 4,236,917円
その他 5,469,674円
間接経費 5,040,000円
合計 21,842,237円

備考

備考
自己資金 2,237円のため

公開日・更新日

公開日
2023-11-22
更新日
-