超高感度電気化学イメージング技術を応用したヒト生殖細胞クオリティー診断装置の開発

文献情報

文献番号
200912025A
報告書区分
総括
研究課題名
超高感度電気化学イメージング技術を応用したヒト生殖細胞クオリティー診断装置の開発
課題番号
H21-ナノ・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
阿部 宏之(山形大学 大学院理工学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 末永 智一(東北大学 大学院環境科学研究科)
  • 吉野 修(東京大学 医学部)
  • 藤本 晃久(東京大学 医学部)
  • 浜谷 敏生(慶応義塾大学 医学部)
  • 横尾 正樹(秋田県立大学 生物資源科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
40,752,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究事業は、超高感度電気化学イメージング技術を応用した「臨床対応型生殖細胞品質診断装置」を開発し、呼吸活性を指標とする独創的発想に基づくヒト生殖細胞クオリティー診断法の開発を目的とする。今年度は、走査型電気化学顕微鏡をベースにヒト生殖細胞に応用可能な細胞呼吸測定システムを開発し、その有効性を検証するために、(1) 生殖細胞呼吸測定システムの開発、(2) 呼吸測定システムの有効性・安全性の検証、(3) ヒト生殖細胞への応用研究(探索的臨床試験)を実施した。
研究方法
高感度マイクロ電極を開発するために、電極走査方式における検知電極に許容される電流値の評価を検討し、許容される検知電極のサイズを酸素還元電流値の上限で規定する方法を考案し数式化した。種々の受精卵培養液を用いてマウス胚の呼吸量を測定し、マイクロ電極の測定感度に対す培養液組成の影響を調べた。走査型電気化学顕微鏡をベースに、高感度マイクロ電極、非侵襲測定液、多検体プレートなどの要素技術をシステム化した「細胞呼吸測定装置」を製作した。「細胞呼吸測定装置」を用いて、ウシ胚及びヒト胚(余剰胚)の呼吸量を測定した。
結果と考察
単一受精卵の呼吸計測に有効である実用上の検知電極のサイズ(直径)は2-5 mmに相当し、このサイズのマイクロ電極を作製するためには電解エッチング法と熱封止法が有効であることが示された。また、ヒト受精卵の培養に用いられているHTF培地を基本とする培地組成が高感度呼吸測定に有効であった。「細胞呼吸測定装置」を用いてウシ胚の発生過程における呼吸量変化を解析した結果、この装置はミトコンドリア呼吸活性を高感度・非侵襲的に計測できる装置であることが示された。不妊治療における臨床応用を目的に、ヒト余剰胚の呼吸量を測定した結果、桑実胚から胚盤胞にかけて呼吸量の増加が確認された。本年度は3年計画の初年度として、(1)細胞呼吸測定技術及び装置の開発(工学系)、(2)測定装置の有効性・安全性の検証(生物系)、(3)探索的臨床研究(医学系)のセクションに分かれて研究を行い、各セクションにおいて十分な研究成果が得られた。
結論
本年度の研究により、マイクロ電極や非侵襲測定液など呼吸測定装置開発のための要素技術を開発に成功するとともに、ミトコンドリア呼吸機能解析に対する電気化学イメージング技術の有効性とヒト胚への応用の可能性が示めされた。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-