文献情報
文献番号
202211012A
報告書区分
総括
研究課題名
副腎ホルモン産生異常に関する調査研究
課題番号
20FC1020
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 奉延(慶應義塾大学 医学部 小児科学教室)
研究分担者(所属機関)
- 田邉 真紀人(福岡徳洲会病院 心療内科・内分泌・糖尿病内科)
- 成瀬 光栄(医療法人医仁会武田総合病院 内分泌センター)
- 鈴木 貴(東北大学 大学院医学系研究科)
- 柴田 洋孝(大分大学 医学部内分泌代謝・膠原病・腎臓内科講座)
- 山田 正信(群馬大学医学部 内分泌代謝内科学)
- 武田 仁勇(浅ノ川総合病院 糖尿病内分泌センター)
- 曽根 正勝(聖マリアンナ医科大学 内科学)
- 宗 友厚(川崎医科大学 医学部 )
- 西山 充(高知大学 教育研究部医療学系臨床医学部門)
- 佐藤 文俊(東北大学 大学院医学研究科)
- 田島 敏広(自治医科大学 医学部)
- 棚橋 祐典(市立稚内病院 小児科)
- 石井 智弘(慶応義塾大学 医学部)
- 上芝 元(東邦大学 医学部)
- 方波見 卓行(聖マリアンナ医科大学 内科学)
- 大月 道夫(東京女子医科大学 医学系研究科)
- 栗原 勲(慶應義塾大学 医学部)
- 高橋 克敏(公立昭和病院 代謝内科)
- 田辺 晶代(国立研究開発法人国立国際医療研究センター 糖尿病内分泌代謝科)
- 西本 紘嗣郎(埼玉医科大学国際医療センター泌尿器腫瘍科)
- 齋藤 淳(横浜労災病院 内分泌糖尿病センター)
- 前田 恵理(秋田大学 大学院医学系研究科)
- 向井 徳男(旭川赤十字病院 小児科)
- 鹿島田 健一(東京医科歯科大学 大学院 医歯学総合研究科 )
- 天野 直子(さいたま市立病院 小児科)
- 高瀬 圭(東北大学 医学系研究科)
- 小川 佳宏(九州大学 大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
12,150,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の最終目的は、副腎ホルモン産生異常の全国レベルでの診療体制の構築と患者QOLの向上である。すなわち、21水酸化酵素欠損症、先天性リポイド副腎過形成症、P450オキシドレダクターゼ欠損症、アルドステロン合成酵素欠損症、その他の副腎皮質酵素欠損症、先天性副腎低形成症、カーニー複合、ACTH不応症、原発性アルドステロン症、潜在性(サブクリニカル)副腎性Cushing症候群、アジソン病、褐色細胞腫・パラガングリオーマ、両側副腎皮質大結節性過形成、副腎偶発種、副腎クリーゼ、副腎ホルモン産生異常を対象とする。 具体的には全国実態調査の実施と解析、診断基準・診療ガイドライン・診断の手引きの作成・改訂、レジストリの継続と活用、文献収集を含めた新規のエビデンス創出、遺伝子診断システムの継続運用、国民・患者に対する副腎ホルモン産生異常の普及と啓発、等を行う。
研究方法
21水酸化酵素欠損症:追加予後調査を解析し、移行期医療の状況、成人期の合併症と治療内容の関連、同胞に対する出生前診断・治療の有無について解析する。先天性リポイド副腎過形成症:昨年度作成したクリニカルクエスチョンを推敲する。またエビデンス取集のために前向き観察研究を設定する。アルドステロン合成酵素欠損症:診断基準を作成する。先天性副腎低形成症:診断基準・重症度分類のために論文および患者情報を収集する カーニー複合:改訂した診断基準・重症度分類の啓発を目的に学会発表する。また疾患レジストリのシステムを構築する。ACTH不応症:文献を収集し、さらに全国調査を行う。原発性アルドステロン:稀なサブタイプの実態調査を行う。またラジオ波焼却術を実施する。潜在性(サブクリニカル)副腎性Cushing症候群:2012年12月~2016年11月診断例と2005年8月~2012年11月診断例を臨床的に比較検討する。アジソン病:全国実態調査を行う。褐色細胞腫・パラガングリオーマ:診断ガイドラインの改定に向け、文献を抽出する。またレジストリシステムを再構築する。両側副腎皮質大結節性過形成:レジストリ登録症例を用いて、発見の契機、臨床症状を検討する。副腎偶発種:コンセンサスステートメントの作成を開始する。副腎クリーゼ:本研究班内で行った成人における調査結果を検討・解析する。副腎ホルモン産生異常:単一遺伝子病による副腎ホルモン産生異常の遺伝子診断システムを継続運用する。さらに、国民・患者を対象とした副腎ホルモン産生異常の普及と啓発を行う。本研究は慶應義塾大学医学部倫理委員会承認番号20170131)のもとに行った。
結果と考察
21水酸化酵素欠損症:(24.1±11.7歳)における診療科は小児科66%、内科29%であった。先天性リポイド副腎過形成症:クリニカルクエスチョンを10個のバックグラウンドクエスチョンと11個のクリニカルクエスチョンに整理した。診療実態の把握、合併症の罹患率、リスク因子の解明を目的とした前向き観察研究を計画した。アルドステロン合成酵素欠損症:診断基準を新たに作成し、日本小児内分泌学会の承認を得た。先天性副腎低形成症:診断基準・重症度分類のための論文および国内の患者の臨床情報を収集した。カーニー複合:改訂した診断基準・重症度分類の啓発を目的として、第55回日本小児内分泌学会学術集会で口頭発表した。疾患レジストリに登録された患者数は0名であった。ACTH不応症:文献を収集した。全国調査を行い、15例の患者がいることを把握した。原発性アルドステロン症:稀なサブタイプ3家系を確認した。手術希望や手術適応がない場合の代替治療としてラジオ波焼却術が保険適応された。潜在性(サブクリニカル)副腎性Cushing症候群:近年の診断例で早期診断に関する顕著な予後改善はなかった。アジソン病:「成人発症の原発性副腎皮質機能低下症(アジソン病)における先天性原発性副腎皮質機能低下症の責任遺伝子解析と自己抗体測定:全国規模の疫学調査」を慶應義塾大学医学部倫理委員会に再申請した。褐色細胞腫・パラガングリオーマ:レジストリにより336例を登録した。両側副腎皮質大結節性過形成:レジストリ登録47症例中、サブクリニカルCushing症候群39例、顕性Cushing症候群8例であった。副腎偶発種:日本内分泌学会の臨床最重要課題として診療ガイドラインの作成に着手した。副腎クリーゼ:本研究班内で行った成人における調査結果を検討・解析中である副腎ホルモン産生異常:単一遺伝子病による副腎ホルモン産生異常の遺伝子診断システムを継続運用した。市民公開講座をweb開催した。以上のように、副腎ホルモン産生異常に関し多くの知見を得た。
結論
副腎ホルモン産生異常に関し、多くの知見が得られた。
公開日・更新日
公開日
2024-04-02
更新日
-