文献情報
文献番号
202211006A
報告書区分
総括
研究課題名
キャッスルマン病、TAFRO症候群、類縁疾患の診療ガイドラインの策定や更なる改良に向けた国際的な総意形成を踏まえた調査研究
課題番号
20FC1014
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
川上 純(国立大学法人長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科先進予防医学共同専攻)
研究分担者(所属機関)
- 古賀 智裕(国立大学法人長崎大学 病院)
- 住吉 玲美(長崎大学病院 臨床研究センター)
- 有馬 和彦(国立大学法人長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 公衆衛生学)
- 佐藤 俊太朗(国立大学法人長崎大学 病院 臨床研究センター)
- 青木 定夫(新潟薬科大学 薬学部)
- 中村 直哉(東海大学 医学部)
- 井出 眞(高松赤十字病院 血液内科)
- 水木 満佐央(大阪大学 医学部附属病院)
- 正木 康史(金沢医科大学 血液免疫内科学)
- 石垣 靖人(金沢医科大学 総合医学研究所)
- 山田 壮亮(金沢医科大学 医学部 臨床病理学)
- 金子 祐子(慶應義塾大学 医学部)
- 矢野 真吾(東京慈恵会医科大学 腫瘍・血液内科)
- 澤 直樹(虎の門病院分院 腎センター内科)
- 佐藤 康晴(岡山大学大学院保健学研究科 学術研究院保健学域)
- 岩城 憲子(国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
6,923,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
キャッスルマン病、TAFRO症候群、類縁疾患を包括する診療ガイドラインの作成、新たな指定難病としてのTAFRO症候群の申請、キャッスルマン病とTAFRO症候群の診療情報の難病プラットフォームへの登録、キャッスルマン病患者会との協働、キャッスルマン病とTAFRO症候群の研究における国際協調と国際的なガイドラインの編纂を研究目的とする。そのために以下の4項目:項目1.診療ハード(地域中核病院、中央病理診断センター、中央病態解析センター)の連携強化、項目2.診療情報の難病プラットフォームへの登録、項目3.難病における国際協調、項目4.ガイドライン作成や患者会との協働を掲げ、研究を遂行した。
研究方法
項目1.診療ハード(地域中核病院、中央病理診断センター、中央病態解析センター)の連携強化
項目2.診療情報の難病プラットフォームへの登録
難治性疾患実用化研究事業 統合レジストリを活用したキャッスルマン病・TAFRO症候群における精密医療基盤の構築を目指す実用化研究班(課題管理番号::22ek0109589h0001)との協働のもと、難病プラットフォームに統合する作業に着手し、登録を開始した(難病プラットフォーム:キャッスルマン病、TAFRO 症候群、類縁疾患の診療ガイドラインの策定や更なる改良に向けた国際的な総意形成を踏まえた調査研究【RADDAR-J[77]】)。中央病理診断センターは中央病理診断の運用を評価した。中央病態解析センターは項目3.について、国際キャッスルマン病研究ネットワーク(Castleman Disease Collaborative Network:CDCN)とのデータの国際間比較を担当した。
項目3.難病における国際協調
CDCNとの情報共有をScientific Advisary Board(SAB)ミーティング(WEB)ミーティングで行った。
項目4.ガイドライン作成や患者会との協働
TAFRO症候群の診療ガイドライン第一版の完成を目指し、また、患者会との協働で開催する患者会員参加型の医療講演会は、令和4年度もWEB形式での開催を計画した。
項目2.診療情報の難病プラットフォームへの登録
難治性疾患実用化研究事業 統合レジストリを活用したキャッスルマン病・TAFRO症候群における精密医療基盤の構築を目指す実用化研究班(課題管理番号::22ek0109589h0001)との協働のもと、難病プラットフォームに統合する作業に着手し、登録を開始した(難病プラットフォーム:キャッスルマン病、TAFRO 症候群、類縁疾患の診療ガイドラインの策定や更なる改良に向けた国際的な総意形成を踏まえた調査研究【RADDAR-J[77]】)。中央病理診断センターは中央病理診断の運用を評価した。中央病態解析センターは項目3.について、国際キャッスルマン病研究ネットワーク(Castleman Disease Collaborative Network:CDCN)とのデータの国際間比較を担当した。
項目3.難病における国際協調
CDCNとの情報共有をScientific Advisary Board(SAB)ミーティング(WEB)ミーティングで行った。
項目4.ガイドライン作成や患者会との協働
TAFRO症候群の診療ガイドライン第一版の完成を目指し、また、患者会との協働で開催する患者会員参加型の医療講演会は、令和4年度もWEB形式での開催を計画した。
結果と考察
項目1.診療ハード(地域中核病院、中央病理診断センター、中央病態解析センター)の連携強化
項目2.診療情報の難病プラットフォームへの登録
難病プラットフォームへの登録は令和4年度末までに50例が登録されている。中央病理診断センターは診断困難例の病理診断を担当し、令和4年度は12例を新たに実施した。中央病態解析センターは項目3.について、CDCNが提案したキャッスルマン病を腫脹リンパ節領域数で分類する新たな基準案の本邦症例での適合を評価した。
項目3.難病における国際協調
全国から442例のデータを収集した。275名においてデータセットが揃っており、それでは、TAFRO徴候は103名(37.%%)に認めたが、腫脹リンパ節領域数とTAFRO徴候には有意な関連はなかった。リンパ節病理分類においても、特に形質細胞型と硝子血管型の陽性率において、米国と日本で顕著な差異を認めた。以上を令和4年12月12日のCDCN SABミーティング(WEB)ミーティングで提示し、現状では継続審議となっている。
項目4.ガイドライン作成や患者会との協働
TAFRO症候群の診療ガイドライン第一版の完成を目指し、令和5年2月4日の班会議において、暫定的に、①から⑩のCQを提示した。そこでは、①から⑩の内容は妥当であるが、①から④と⑩は背景疑問、⑤から⑨を前景疑問に対するCQとすることも提案され、現在、考察中である。患者会との医療講演会(完全WEB、Zoom)は、令和4年11月5日に実施した。患者会からの要望に応じた講演内容とパネルディスカッションを重視し、非常に好評であった。この双方向性の活動はガイドラインにも反映可能であり、製薬企業の関心も惹き、令和4年11月5日には2社が参加した。以上より、研究目的に掲げた目標は、令和4年度中に達成されたと考えられる。
項目2.診療情報の難病プラットフォームへの登録
難病プラットフォームへの登録は令和4年度末までに50例が登録されている。中央病理診断センターは診断困難例の病理診断を担当し、令和4年度は12例を新たに実施した。中央病態解析センターは項目3.について、CDCNが提案したキャッスルマン病を腫脹リンパ節領域数で分類する新たな基準案の本邦症例での適合を評価した。
項目3.難病における国際協調
全国から442例のデータを収集した。275名においてデータセットが揃っており、それでは、TAFRO徴候は103名(37.%%)に認めたが、腫脹リンパ節領域数とTAFRO徴候には有意な関連はなかった。リンパ節病理分類においても、特に形質細胞型と硝子血管型の陽性率において、米国と日本で顕著な差異を認めた。以上を令和4年12月12日のCDCN SABミーティング(WEB)ミーティングで提示し、現状では継続審議となっている。
項目4.ガイドライン作成や患者会との協働
TAFRO症候群の診療ガイドライン第一版の完成を目指し、令和5年2月4日の班会議において、暫定的に、①から⑩のCQを提示した。そこでは、①から⑩の内容は妥当であるが、①から④と⑩は背景疑問、⑤から⑨を前景疑問に対するCQとすることも提案され、現在、考察中である。患者会との医療講演会(完全WEB、Zoom)は、令和4年11月5日に実施した。患者会からの要望に応じた講演内容とパネルディスカッションを重視し、非常に好評であった。この双方向性の活動はガイドラインにも反映可能であり、製薬企業の関心も惹き、令和4年11月5日には2社が参加した。以上より、研究目的に掲げた目標は、令和4年度中に達成されたと考えられる。
結論
上述の4つの項目に関する研究は順調に進捗している。これらの活動により、①臨床実地で臨床医が診療に苦慮しているTAFRO症候群対する診療ガイドラインの作成・公開と指定難病への申請 ②世界最大規模のキャッスルマン病、TAFRO症候群、類縁疾患における質が高いコホートの構築 ③診断困難症例に対するリンパ節病理診断の補助 ④患者会員参加型の医療講演会を介しての疾患理解の啓蒙と社会貢献 ⑤CDCNと国際的な重要臨床課題を共有しレジストリとリポジトリの整備も含めた国際共同研究基盤の醸成 が大いに期待される。
公開日・更新日
公開日
2024-04-02
更新日
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