ベーチェット病に関する調査研究

文献情報

文献番号
202211004A
報告書区分
総括
研究課題名
ベーチェット病に関する調査研究
課題番号
20FC1012
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
岳野 光洋(日本医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 広畑 俊成(帝京大学医学部・内科学)
  • 中村 晃一郎(埼玉医科大学皮膚科)
  • 後藤 浩(東京医科大学 医学部 眼科学講座)
  • 田中 良哉(産業医科大学 医学部 第1内科学講座)
  • 黒沢 美智子(順天堂大学医学部)
  • 菊地 弘敏(帝京大学  医療共通教育研究センター)
  • 水木 信久(横浜市立大学 大学院医学研究科 視覚器病態学)
  • 永渕 裕子(聖マリアンナ医科大学  内科学(リウマチ・膠原病・アレルギー内科))
  • 井上 詠(東海大学医学部 総合診療学系健康管理学)
  • 山口 賢一(聖路加国際病院 Immuno-Rheumatology Center)
  • 久松 理一(学校法人杏林学園 杏林大学 医学部消化器内科学)
  • 土橋 浩章(香川大学 医学部 血液・免疫・呼吸器内科学)
  • 蕪城 俊克(自治医科大学附属さいたま医療センター 眼科)
  • 南場 研一(北海道大学大学病院)
  • 桐野 洋平(横浜市立大学 医学部)
  • 長沼 誠(関西医科大学 内科学第三講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
6,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「ベーチェット病(BD)診療ガイドライン2020」をBD診療に関わる医師、患者含めた一般国民になどを通じて普及する。また、ガイドライン作成過程で、推奨治療のエビデンスの確立、非典型例の診断、適切な疾患活動性・重症度分類の確立、日本発の妊娠、移行期医療のデータなど課題が明らかになったが、本研究ではAMED研究と連携して、難病プラットフォームを基盤にした全国規模のB病のレジストリを構築し、新たなエビデンスを集積することにより、その解決を目指す。これらの研究成果はBD研究班ホームページ、オンラインでの患者交流会などを通じて情報を提供し、また、国民の関心事の高いCOVID-19感染症に関する情報も合わせて提供する。
研究方法
1.BD診療ガイドライン2020の普及:講演会、学術集会での発表、web公開、国際誌報告による国内外に周知する。運用上の問題点を検討し、次期改定に生かす。
2. 全国規模のレジストリの構築: AMED研究「BDの病態解明および治療法開発を目的とした全国レジストリの構築」(研究代表者 水木信久)と連携し、難病プラットフォームを基盤にしたBD患者レジストリを構築する。
3. 疾患活動性、重症度評価の確立:患者の全般的、病変別の疾患活動性指標、重症度評価をレジストリ登録患者データ、文献的資料に基づき作成する。
4. 患者への情報提供・交流研究班ホームページ、インターネット診療相談、オンライン患者交流会により患者と双方向性の情報交換を行う。
結果と考察
1.BD診療ガイドライン2020の普及:関連する国内外の学術集会、講演会、研究会で発表したほか、皮膚粘膜、神経、腸管に続き血管病変ガイドラインを国際誌に報告した。また、さらなる普及と実用性を検討するため、guideline-practice gapをはかるquality indicatorの開発を目指している。運用上の問題となるコルヒチンの公知申請を進めた。
2.全国規模のレジストリの構築:AMED研究と連携し、難病プラットフォームを基盤にしたBD患者レジストリに約300例が登録された。関連研究により国際的には汎用されるBDCAFが日本人患者にも適用できること, 口腔潰瘍の存在が完全寛解の阻害因子であり、かつ、眼病変、特殊型病変の再燃リスクになることを明らかにした。
4.眼病変の活動性:先に開発したBehҫet’s Disease Ocular Attack Score (BOS24)で、一時点の評価とし、半年間の累計値による眼活動性スコア(BOS24-6M)を眼病変活動性指標として定めた。
5.皮膚粘膜症状の活動性:口腔内アフタ、外陰部潰瘍、毛嚢炎様皮疹/ざ瘡様皮疹、結節性紅斑様皮疹あるいは血栓性静脈炎の病変別スコアおよび疼痛を各10点とし、50点満点の重症度スコアが提唱された。
6.腸管病変の重症度分類;腹痛、腹部圧痛、消化管出血3項目にCRP、内視鏡所見を合わせた複合的評価に基づいた重症度案を作成し、実症例でその妥当性を検証した。
7.神経病変:治療アルゴリズムに従って、急性型神経ベーチェット病と慢性進行型神経ベーチェット病の仮重症度分類基準を作成した。
8.血管病変:主要治療薬であるグルココルチコイド(ステロイド)、免疫抑制薬およびTNF阻害薬の適応、外科手術および血管内治療の適応をレジストリで検討し、重症度案を作成する方針とした。
9.疫学の動向:2015年の難病法施行後、認定基準が重症度基準のStageⅡ以上となり、臨床調査「個人表のStageⅠ患者登録が減り、軽症者の動向が把握できなくなった。レジストリにその代替を期待したい。
10.新規薬剤:アプレミラストの治療成績を国際共同試験のサブ解析、実臨床データ、メタ解析などで多角的に検討し、口腔潰瘍以外にも有望であることを示した。
11.広報活動:研究班ホームページで研究成果、COVID関連情報を公開し、個別のインターネット診療相談を継続した。
結論
「BD診療ガイドライン2020」を学会発表、国際誌報告などによりかなり普及したが、さらなる普及と実用性を検討するため、guideline-practice gapをはかるquality indicatorの開発を目指している。主治療薬であるコルヒチンの保険適用のための公知申請の目途が立った。疾患活動性、重症度評価につき病変ごとに案を作成し、今後、AMED研究と連携した難病プラットフォームのBDレジストリで検証することとしたほか、同様に臨床的諸課題の解決を目指す。これらの研究成果やCOVID-19関連情報はホームページやオンライン交流会を通じて、患者を含む国民に還元していく。

公開日・更新日

公開日
2024-04-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-04-02
更新日
2024-04-11

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202211004B
報告書区分
総合
研究課題名
ベーチェット病に関する調査研究
課題番号
20FC1012
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
岳野 光洋(日本医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 広畑 俊成(帝京大学医学部・内科学)
  • 中村 晃一郎(埼玉医科大学皮膚科)
  • 後藤 浩(東京医科大学 医学部 眼科学講座)
  • 田中 良哉(産業医科大学 医学部 第1内科学講座)
  • 黒沢 美智子(順天堂大学医学部)
  • 菊地 弘敏(帝京大学  医療共通教育研究センター)
  • 水木 信久(横浜市立大学 大学院医学研究科 視覚器病態学)
  • 永渕 裕子(聖マリアンナ医科大学  内科学(リウマチ・膠原病・アレルギー内科))
  • 井上 詠(東海大学医学部 総合診療学系健康管理学)
  • 山口 賢一(聖路加国際病院 Immuno-Rheumatology Center)
  • 久松 理一(学校法人杏林学園 杏林大学 医学部消化器内科学)
  • 土橋 浩章(香川大学 医学部 血液・免疫・呼吸器内科学)
  • 蕪城 俊克(自治医科大学附属さいたま医療センター 眼科)
  • 南場 研一(北海道大学大学病院)
  • 桐野 洋平(横浜市立大学 医学部)
  • 石ヶ坪 良明(横浜市立大学 医学部)
  • 長沼 誠(関西医科大学 内科学第三講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「ベーチェット病(BD)診療ガイドライン2020」をBD診療に関わる医師、患者含めた一般国民になどを通じて普及する。また、ガイドライン作成過程で、推奨治療のエビデンスの確立、非典型例の診断、適切な疾患活動性・重症度分類の確立、日本発の妊娠、移行期医療のデータなど課題が明らかになったが、本研究ではAMED研究と連携して、難病プラットフォームを基盤にした全国規模のBDレジストリを構築し、新たなエビデンスを集積することにより、その解決を目指す。これらの研究成果はBD研究班ホームページ、オンラインでの患者交流会などを通じて情報を提供し、また、国民の関心事の高いCOVID-19感染症に関する情報も合わせて提供する。
研究方法
1.BD診療ガイドライン2020の普及:講演会、学術集会での発表、web公開、国際誌報告による国内外に周知する。運用上の問題点を検討し、次期改定に生かす。
2. 全国規模のレジストリの構築:AMED研究「BDの病態解明および治療法開発を目的とした全国レジストリの構築」(研究代表者 水木信久)と連携し、難病プラットフォームを基盤にしたBD患者レジストリを構築する。
3. 疾患活動性、重症度評価の確立:患者の全般的、病変別の疾患活動性指標、重症度評価をレジストリ登録患者データ、文献的資料に基づき作成する。
4. 患者への情報提供・交流研究班ホームページ、インターネット診療相談、オンライン患者交流会により患者と双方向性の情報交換を行う。
結果と考察
1.BD診療ガイドライン2020の普及:国内外の関連する学術講演会などで報告したほか、皮膚粘膜、腸管、神経、血管の病変ごとに英文化し、国際誌に報告した。また、患者を含めた国民にもホームページや講演会などを通じて普及に努めた。また、さらなる普及と実用性を検討するため、guideline-practice gapをはかるquality indicatorの開発を目指している。運用上の問題となるコルヒチンの公知申請を進めた。
2.全国規模のレジストリの構築:AMED研究(研究代表者 横浜市大眼科 水木信久)の難病プラットフォームを基盤にした全国規模のBDレジストリ研究と連携し、今年度までに約300例を登録した。関連研究により国際的には汎用されるBDCAFが日本人患者にも適用できること, 口腔潰瘍の存在が完全寛解の阻害因子であり、かつ、眼病変、特殊型病変の再燃リスクになることを明らかにした。
3.眼科分科会:先に開発したBOS24で、一時点の評価とし、半年間の累計値による眼活動性スコア(BOS24-6M)を眼病変活動性指標として定めた。Guidelines-practice gapに関する重点調査項目を抽出した。
5.皮膚粘膜分科会:口腔内アフタ、外陰部潰瘍、毛嚢炎様皮疹/ざ瘡様皮疹、結節性紅斑様皮疹あるいは血栓性静脈炎の病変別スコアおよび疼痛を各10点とし、50点満点の重症度スコアを提唱した。
6.腸管病変の重症度分類;腹痛、腹部圧痛、消化管出血3項目にCRP、内視鏡所見を合わせた複合的評価に基づいた重症度案を作成し、実症例でその妥当性を検証した。
7.神経分科会:神経病変の活動性指標としての血清IL-6の役割を検討した。治療アルゴリズムに従って、急性型神経BDと慢性進行型神経BDの仮重症度分類基準を作成した。
8.血管分科会: BD血管病変独自の重症度分類の作成のため、主要治療薬であるグルココルチコイド、免疫抑制薬およびTNF阻害薬の適応、外科手術および血管内治療の適応をレジストリで検討する方針とした。
9.疫学の動向:2015年の難病法施行後、認定基準が重症度基準のStageⅡ以上となり、臨床調査個人表のStageⅠ患者登録が減り、軽症者の動向が把握できなくなった。レジストリにその代替を期待したい。
10.新規薬剤:アプレミラストの治療成績を国際共同試験のサブ解析、実臨床データ、メタ解析などで多角的に検討し、口腔潰瘍以外にも有望であることを示した。
11.広報活動:研究班ホームページで研究成果、COVID関連情報を公開し、個別のインターネット診療相談を継続した。
結論
「BD診療ガイドライン2020」を学会発表、国際誌報告などによりかなり普及したが、さらなる普及と実用性を検討するため、guideline-practice gapをはかるquality indicatorの開発を目指す。主治療薬であるコルヒチンの保険適用のための公知申請の目途が立った。疾患活動性、重症度評価につき病変ごとに案を作成し、今後、AMED研究と連携した難病プラットフォームのBDレジストリで検証することとした。これらの研究成果やCOVID-19関連情報はホームページやオンライン交流会を通じて、患者を含む国民に還元した。

公開日・更新日

公開日
2024-04-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2024-04-02
更新日
2024-04-12

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202211004C

収支報告書

文献番号
202211004Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,970,000円
(2)補助金確定額
8,969,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,233,108円
人件費・謝金 2,519,402円
旅費 178,158円
その他 969,148円
間接経費 2,070,000円
合計 8,969,816円

備考

備考
自己資金816円

公開日・更新日

公開日
2023-11-24
更新日
-