老年者の口腔衛生とQOLに関する研究

文献情報

文献番号
199700590A
報告書区分
総括
研究課題名
老年者の口腔衛生とQOLに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
奥田 克爾(東京歯科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 安孫子宜光(日本大学松戸歯学部)
  • 石川烈(東京医科歯科大学)
  • 岡田宏(大阪大学)
  • 古賀敏比古(九州大学)
  • 村山洋二(岡山大学)
  • 野口俊英(愛知学院大学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 長寿科学総合研究事業
研究開始年度
平成8(1996)年度
研究終了予定年度
平成10(1998)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医学の進歩、社会環境の整備などに伴い、我が国の急激な超高齢化は、ある意味ではさまざまな健康の歪みを生み出している。高齢者の歯周病による歯の喪失によっておきてくる口腔の健康の破綻、さらにはそれに波及するQuality of Lifeの低下を予防することは、歯科医学の急務な研究課題である。私共研究班は、慢性の日和見感染症である歯周病の早期診断、再発のない治療さらには予防への指針作りを目標としている。また高齢者の歯周病のリスクファクターについても解析することを目的としている。
研究方法
歯周病原菌の付着因子や白血球抵抗因子のクローニングを行いその病原性を解析した。 歯周病原性細菌の感染を防止するヒト型単クローン抗体を開発し、その働きを調べた。
歯周病と糖尿病ならびに骨粗鬆症との関連性を解析した。また高齢者の歯周病がどのようにして進行してしまうのかサイトカインの動態などによって調べた。
結果と考察
歯周病原性細菌の付着因子である線毛抗原遺伝子を明らかにし、この遺伝子を組み込んだDNAワクチンの開発をスタートしている。また歯周病原菌の白血球抵抗性莢膜抗原をクローニングし、この遺伝子をノックアウトすると病原性が低下することを明らかにし、その病原的意義を明らかにした。
歯周組織を構成する線維芽細胞は、グルコース濃度に強く影響を受けることから、糖尿病の影響を受けて歯周病が進行することを明らかにした。また骨粗鬆症も歯周病のリスク因子であることを示すことができた。
高齢者の歯周病の進行がはやいのは、炎症性サイトカインのmRNAの発現が強いことに起因するという成績を得た。
結論
歯周病は老年者を中心とした歯の喪失を導きQOLの低下をもたらす疾患であることを確認した。
歯周病原菌の病原性因子について分子生物学的解析を行った。
歯周炎病原菌の付着・定着阻止に働く受身免疫として用いる安全な特異抗体を作製することに成功した。
糖尿病、骨粗鬆症など全身性疾患と歯周病との関連性を明らかにすることができた。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)