循環器病におけるゲノム・オミックス研究の有用性・必要性の評価のための研究

文献情報

文献番号
202209048A
報告書区分
総括
研究課題名
循環器病におけるゲノム・オミックス研究の有用性・必要性の評価のための研究
課題番号
22FA1019
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
小室 一成(国立大学法人東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 森田 啓行(東京大学医学部付属病院循環器内科)
  • 野村 征太郎(東京大学大学院医学系研究科 循環器内科学)
  • 小寺 聡(東京大学 医学部附属病院 循環器内科)
  • 鎌谷 洋一郎(東京大学新領域創成科学研究科)
  • 伊藤 薫(理化学研究所生命医科学研究センター 循環器ゲノミクス・インフォマティクス研究チーム)
  • 猪原 匡史(国立研究開発法人国立循環器病研究センター 病院 脳神経内科)
  • 黒田 敏(富山大学 大学院医学薬学研究部(医学))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
4,616,000円
研究者交替、所属機関変更
該当せず

研究報告書(概要版)

研究目的
循環器病におけるゲノム・オミックス研究に関するシステマティックレビューをおこない、その有用性・必要性を評価する。わが国で今後、循環器病におけるゲノム・オミックス研究をどのような戦略で推進すべきか、その判断の基礎となるデータをまとめる。
研究方法
システマティックレビュー
(倫理面への配慮)既に公表された論文・文献を用いたシステマティックレビュー研究であり、個人情報やゲノム情報の取り扱いはなく、倫理上の問題はない。
結果と考察
各分野(下記1)~6))の循環器病におけるゲノム・オミックス研究に関するシステマティックレビューをおこない、その有用性・必要性を評価した。
1) 心筋症などの単一遺伝子疾患の原因変異
2) 心筋梗塞など多因子疾患のSNPs
3) 薬効、薬剤副作用と関連する遺伝要因
4) 心筋細胞のシングルセルオミックス解析
5) 脳卒中など脳血管疾患と関連する遺伝要因
6) 医療経済評価
診療現場への実装、病態に基づいた新規治療法開発など様々な観点から、循環器病におけるゲノム・オミックス研究をどのような戦略で推進すべきか考察した。
結論
循環器病の発症・進行には遺伝的要因が関与している。遺伝子変化-循環器病の関係性は「心筋梗塞などcommon diseaseへの罹患しやすさは複数のcommon variantに規定される」「心筋症など単一遺伝子疾患は遺伝子変異によって惹起される」という従来の仮説を超越した複雑系である。全国各施設間でデータシェアリングをおこない遺伝子変異-臨床経過の関係性をデータベース化すること、一般人口集団バイオバンクを利活用してゲノム疫学研究を推進しpolygenic risk scoringを組み込んだ包括的リスク判定アルゴリズムを確立すること、それらの妥当性、有用性をリアルワールド、臨床現場で検証することが精密医療の実現に向けての課題である。また、実際に患者が有する遺伝子(ゲノム)変化を「源流」とするダウンストリーム病態を解明し、その知見に基づいて治療のターゲット分子を見出し、さらに新しい治療法を開発する、いわゆる機能ゲノム学functional genomics研究の推進は循環器病研究の発展におおいに貢献すると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2023-07-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-07-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202209048C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ヒトゲノム解析研究だけではなく、実際に患者が有する遺伝子(ゲノム)変化を「源流」とするダウンストリーム病態を解明し、その知見に基づいて治療のターゲット分子を見出し、さらに新しい治療法を開発する、いわゆる機能ゲノム学functional genomics研究推進の必要性に関しても明らかにした。
臨床的観点からの成果
遺伝子診断の診療現場への実装を見据えて、その基礎データを整備するためのゲノム・オミックス研究の有用性・必要性に関する網羅的議論をおこない、各分野での強みを把握し、今後の課題に関しても洗い出しをおこなった。
ガイドライン等の開発
本研究成果を受けて、「循環器病におけるゲノム・オミックス研究の推進に関する提言」(研究報告書 様式A(8)別添)を発出、その中で、「循環器病ゲノム・オミックス研究」は臨床的有用性・必要性がきわめて高く、優先順位の高い研究課題であることを強調した。
その他行政的観点からの成果
2022年7月29日 循環器病対策推進協議会において、研究代表者 小室一成が「心血管病におけるゲノム研究・オミックス研究の有用性・必要性について」資料を供覧し、議論をおこなった。
その他のインパクト
該当なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
森田啓行「循環器疾患における臨床研究・橋渡し研究」心臓 2022; 54(10): 1108-1116
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
小室一成「心血管病におけるゲノム研究・オミックス研究の有用性・必要性について」 (2022年7月29日 循環器病対策推進協議会において発表)
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-06-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
202209048Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,000,000円
(2)補助金確定額
6,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,733,880円
人件費・謝金 0円
旅費 607,120円
その他 275,000円
間接経費 1,384,000円
合計 6,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2023-09-14
更新日
-