循環器救急疾患に対する救急医療現場の連携推進のための課題抽出と専門医間の連携構築を目指したガイドブックの作成

文献情報

文献番号
202209046A
報告書区分
総括
研究課題名
循環器救急疾患に対する救急医療現場の連携推進のための課題抽出と専門医間の連携構築を目指したガイドブックの作成
課題番号
22FA1017
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
野口 輝夫(国立研究開発法人国立循環器病研究センター 病院)
研究分担者(所属機関)
  • 飯原 弘二(国立研究開発法人国立循環器病研究センター 病院)
  • 坂本 哲也(帝京大学 医学部 救急医学講座)
  • 荻野 均(東京医科大学病院 心臓血管外科学分野)
  • 小林 欣夫(国立大学法人千葉大学 大学院医学研究院)
  • 松丸 祐司(国立大学法人筑波大学 医療系脳神経外科脳卒中予防・治療学(寄付)講座)
  • 岩間 亨(岐阜大学 大学院医学系研究科脳神経外科分野)
  • 堀江 信貴(広島大学 脳神経外科)
  • 北園 孝成(九州大学大学院医学研究院)
  • 菊地 研(獨協医科大学 医学部)
  • 松尾 龍(九州大学 大学院医学研究院)
  • 的場 哲哉(九州大学・大学病院)
  • 石津 智子(筑波大学 循環器内科)
  • 榎本 由貴子(岐阜大学医学部附属病院 脳神経外科)
  • 田原 良雄(国立研究開発法人国立循環器病研究センター)
  • 西村 邦宏(独立行政法人国立循環器病研究センター・研究開発基盤センター 予防医学・疫学情報部 EBM・リスク情報室)
  • 有村 公一(九州大学病院 脳神経外科)
  • 山上 宏(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
  • 今中 陽子(国立循環器病研究センター 看護部 CCU)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
6,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
急性心筋梗塞・大動脈解離・脳卒中の治療には病院選定と到着後の迅速な治療が必須である。本研究は、全国消防本部と連携した全国アンケート調査から、プレホスピタル12誘導心電図実施率、大動脈緊急症の病院選定に資する臨床症状、および脳卒中病院前救護の現状調査を行う。この現状調査を通して病院前遅延の原因抽出を行い、さらに初期診療医と専門医の連携に関する現状把握のための文献システマティックレビューを行う。
研究方法
全国消防本部を対象としたアンケート調査を実施した。アンケート内容は、脳卒中病院前救護の現状と課題については2017年と2019年に行ったもの(合計30項目)を基本的に踏襲したが、今回は新たに新型コロナウイルスの脳卒中診療に及ぼす影響や、脳主幹動脈閉塞予測スケールに関する調査項目を付け加え、下記のような構成とした。
① 脳卒中病院前診断に関する項目(Prehospital Stroke Life Support(PSLS)や病院前脳卒中スケール及び脳主幹動脈閉塞予測スケールの活用状況)
② 脳卒中診療施設の受け入れ状況
③ 搬送手段に関する項目(Drip & Shipやヘリ搬送などの活用状況)
④ ICTの活用状況(タブレット端末、telemedicine)
⑤ 医師の指導・助言に関する項目(急性期再開通療法の脳卒中最新治療の周知状況
⑥ 事後検証・再教育体制
プレホスピタル12誘導心電図記録・大動脈緊急症の病院選定に資する臨床指標を把握すするアンケート調査に関しては、吹田市消防本部が2021年に行った全国中核市消防本部(60市)に対する①実施12誘導心電図及び12誘導心電図伝送システムの運用状況、②12誘導心電図に対する各地域での考え方について実態調査と比較した。本アンケートによって、12誘導心電図及び12誘導心電図伝送システムに対する地域の実情を考察した。さらに、今回は急性大動脈症候群を疑う病歴と臨床所見を新たな項目として追加した。
結果と考察
病院前脳卒中スケールの使用率は、59.9(2017年)、63.6%(2019年),76.4%(2022年)と経時的に増加しており、さらに大血管閉塞診断スケールの使用率は、12%(2019年)から28%(2022年)と著明に増加していた。また、脳卒中搬送のon-scene timeは著変なかったが、COVID-19の影響でon-scene timeが延長した消防本部が全体の72%だった。さらにCOVID-19対応で搬送を断られた消防本部が全体の67%にみられた。

 これにより病院前脳卒中スケールの使用率は経時的に増加しており、さらに大血管閉塞診断スケールの使用率が著明に増加していた。これにより血栓回収療法が可能な施設に適応患者を効率的に搬送することが可能となるため、更なる普及が望まれる。
 12誘導心電図の導入率は91%と高値であるが、12誘導心電図伝送システムの導入率は31%と依然低値で普及していないことが判明した。また、非常用救急車を含む全救急車への100%積載率は全国平均で57%に留まり、100%積載率が低い地域ほど、現場での12誘導心電図の装着率も低いことがわかった。ACSプロトコルでの12誘導心電図装着の取り決めがある地域は全国的に22%と低く、救急隊が独自の判断で12誘導心電図または12誘導心電図伝送をおこなって搬送連絡していることから、ACSプロトコルの整備が必要である。
結論
全国消防本部に脳卒中病院前救護、プレホスピタル12誘導心電図記録・大動脈緊急症の病院選定に資する臨床指標に関するアンケート調査を行い、現状と課題が明らかになった。本研究の結果は脳卒中・急性冠症候群・急性大動脈証症候群に対する急性期医療の質の向上及び均てん化に資するものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2023-07-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-07-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202209046Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,000,000円
(2)補助金確定額
7,484,000円
差引額 [(1)-(2)]
516,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,957,347円
人件費・謝金 1,932,673円
旅費 419,190円
その他 1,329,044円
間接経費 1,846,000円
合計 7,484,254円

備考

備考
自己資金 254円

公開日・更新日

公開日
2023-09-12
更新日
-