地域・職域連携推進ガイドラインを活用した保健事業の展開に関する評価及び連携強化のための研究

文献情報

文献番号
202209042A
報告書区分
総括
研究課題名
地域・職域連携推進ガイドラインを活用した保健事業の展開に関する評価及び連携強化のための研究
課題番号
22FA1013
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
津下 一代(丹羽 一代)(女子栄養大学 栄養学部)
研究分担者(所属機関)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 渡井 いずみ(浜松医科大学 医学部看護学科)
  • 都筑 千景(大阪府立大学 看護学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
6,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「地域・職域連携推進ガイドライン」(令和元年版)では、地域保健と職域保健の幅広い連携事業の促進、小規模事業場等への対応、そのための地域・職域連携推進協議会の効果的運営と柔軟なPDCA サイクルが示されているが、全国的な普及には至っていない。一方、高齢労働者の急速な増加や社会のデジタル化等の動きに伴い、新たな健康課題への対応が必要であり、ICT の活用等新たな保健事業手法への転換が求められているところである。
本研究の目的は、地域・職域連携推進事業の課題を把握し、必要な情報提供、しくみ構築のための研究を行うことである。具体的には、①協議会運営や保健事業の推進状況を評価し、課題と対策を検討する。②連携推進におけるICT 活用の状況やその進展に向けての方策を検討する。③NDB オープンデータベースを活用して健康課題を可視化し、自治体・関係者が理解しやすいアウトプットと活用法を検討する。
これらを通じ、中小企業、協会けんぽ等職域と自治体との連携の在り方を研究することを目的とした。
研究方法
①全国自治体(都道府県、二次医療圏)の地域・職域連携推進担当者に対し、協議会や連携事業の現状と課題に関するアンケート調査を実施した。調査項目は、令和3 年度、4 年度の協議会および連携推進事業の実施状況(計画を含む)、先行研究班で作成した手引書「地域・職域連携推進事業の進め方」の活用状況と意見、健康課題の見える化、健康増進事業等におけるICT の活用状況、とくに地域・職域連携推進事業におけるICT 活用についての設問から構成した。
②自治体、協会けんぽ担当者に対するワークショップを開催した。第1 部では①のアンケートの速報値を示すとともに、研究班からの情報提供、事例紹介を実施した。事例は滋賀県、宇都宮市、全国健康保険協会に発表を依頼した。第2 部では、協議会の活用、健康課題把握やデータ活用のというテーマをもとにグループワークを実施、ワークシートにディスカッションした内容を記録した。
③好事例に対するヒアリング調査(協議会運営、ICT 活用をテーマ)を実施した。
④NDB オープンデータを活用した健康課題の見える化(標準化該当比、全国都道府県、二次医療圏単位)し、自治体へ提供した。
結果と考察
研究班作成の手引きの活用状況:担当者の知識として役立つ(約8 割)、協議会運営に役立つ(約4 割)、事業計画作成に役立つ(約3 割)であった。自治体で可変可能な協議会進捗チェックリストについて、都道府県、二次医療圏の約8 割で利用予定であった。
協議会運営について;協議会担当者が協議会を活用できていると回答した自治体は、連携推進事業の実施率も高かった。協議会活用のためのポイントとして、健康課題や協議会参加団体同士の情報共有、発出先のニーズに合う情報の発信、ICT の活用などが行われていた。
ICT 活用について;会議や健康講座への参加率の向上、時間や作業の効率化、参加型の健康づくり事業に一定の効
果がみられた。一方、ICT 環境の整備や対象となる事業所等のICT スキル、アプリ活用にかかるコストなどの課題があった。ICT 活用推進には、自治体全体のICT 推進と支援部署の存在、ICT 活用の難しい事業所や労働者にも配慮した事業計画、計画的な予算確保、評価指標の開発等の必要性が示唆された。
健康課題の可視化について;第7 回NDB オープンデータを用いて、全ての都道府県・二次医療圏別に、特定健診の検査値と標準的な質問票に関する計43 項目について標化該当比を算出し、自治体・関係者が理解しやすいように図で可視化した。欠損値の補完方法について検討した。
結論
地域・職域連携推進担当者の抱く課題を把握、好事例を収集した。協議会の在り方、ICT 活用、健康課題分析のためのNDB オープンデータの解析について研究を進めた。研究班からの情報提供は自治体に前向きに受け止められていることがアンケート等から把握できた。これからのヘルスプロモーションの中での地域・職域連携推進の意義を再確認することができた。

公開日・更新日

公開日
2023-07-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-07-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202209042Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,400,000円
(2)補助金確定額
7,400,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,200,698円
人件費・謝金 1,119,803円
旅費 320,725円
その他 3,758,774円
間接経費 1,000,000円
合計 7,400,000円

備考

備考
自己資金 0円

公開日・更新日

公開日
2023-09-14
更新日
-