慢性閉塞性肺疾患患者における加熱式たばこの経年的な肺機能への影響に関する前向き観察研究

文献情報

文献番号
202209040A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性閉塞性肺疾患患者における加熱式たばこの経年的な肺機能への影響に関する前向き観察研究
課題番号
22FA1011
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
横山 彰仁(高知大学 教育研究部医療学系臨床医学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 平井 豊博(国立大学法人京都大学 大学院医学研究科)
  • 室 繁郎(奈良県立医科大学 呼吸器内科学講座)
  • 柴田 陽光(福島県立医科大学 呼吸器内科学講座)
  • 田坂 定智(弘前大学大学院 呼吸器内科学)
  • 井上 博雅(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 川山 智隆(久留米大学 医学部 内科学講座 呼吸器・神経・膠原病内科部門)
  • 髙松 和史(高知大学 教育研究部医療学系臨床医学部門)
  • 杉浦 久敏(東北大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
7,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:COPD)はたばこ煙を主とする有害物質を長期曝露する事で生じ、正常に復す事のない気流閉塞を来す事で定義される疾患である。COPDの原因としてたばこ煙の影響が大きいのは知れ渡っているが、2013年頃から発売されている加熱式たばこは、紙巻たばこに比べて有害成分が少ないと謳われているが、発がん性物質をはじめ、多くの種類の有害成分が含まれており、長期的な曝露により身体へどのような影響をもたらすか明らかになっていない。そのため、今回、慢性閉塞性肺疾患の患者を対象に肺機能検査や急性増悪の有無などが加熱式タバコによりどのような影響を受けるか、また紙巻きたばこと比べて影響は異なるのか明らかにする目的で前向きに観察研究を行う。
研究方法
研究デザインは多施設共同前向き観察研究であり、対象はCOPDのため研究参加施設に通院中で同意の得られた患者とした。目標症例数は600例とした。(内訳 禁煙群:300例、紙巻きたばこ群:150例、加熱式たばこ群:150例)
主要評価項目はCOPD患者における気管支拡張薬吸入後の喫煙群別の肺機能(肺活量、努力性肺活量、一秒量、一秒率)の推移とCOPD増悪の割合と程度である。
副次評価項目は①自覚症状(咳嗽、喀痰、呼吸困難、胸部不快感・違和感・新規の併存症)、②臨床スコア:COPDアセスメントテスト(CAT)、mMRC、③胸部CT:気腫化スコア(Goddardスコア)とした。
登録された患者は半年毎に外来を受診し、上記の項目についてフォローする。
結果と考察
3年計画の1年目である令和4年度は倫理員会承認後、COPDを多く診察している8大学とその関連施設において対象患者がどれくらいいるか調査した。COPD患者では禁煙が治療の基本であり、喫煙を継続している患者は少ないが、実際にさらに喫煙者でも紙巻たばこ使用者より加熱式たばこ使用者が非常に少ないことが分かった。施設によっては約1000人のCOPD患者のうち、加熱式たばこを使用している患者は3人程度であった。地域差もあるが、COPD患者の加熱式たばこ使用者は0.3%-2%程度であった。加熱式たばこ使用者150例の登録を目標としており、8施設およびその関連施設だけでは目標達成が困難と判断し、web会議など重ね日本呼吸器学会の協力を得て、20施設まで参加施設を増加させた。令和5年1月に変更申請に対し倫理審査が終了し、4月末までに19症例(うち加熱式たばこ使用者11例)の登録を行った。
結論
実際に対象症例の集積が著しく困難であることが明らかとなった。今後、さらなる参加施設の増加とともに、さらにCOPDと病態が同じCOPD予備群を含めるプロトコールの改定で症例登録の促進を進めていく必要がある。2023年6月現在、倫理委員会の変更承認を得て以下のような新たな基準で参加を募っているところである。
①COPD(気管支拡張薬吸入後の一秒率が70%未満もしくはLower Limit of normal未満)で通院中の患者(気管支喘息合併も含む)
②PRISM(一秒率 70%以上、%FEV1<80%)の患者
③気管支拡張薬吸入後の一秒率が70-75%であっても、喫煙歴があり下記の条件を満たせばCOPDとして登録可
・慢性気管支炎症状もしくはCAT10点以上
・胸部CTによる気腫性変化(Goddard1点以上)

公開日・更新日

公開日
2023-07-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-07-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202209040Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,000,000円
(2)補助金確定額
10,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 943,609円
人件費・謝金 2,279,883円
旅費 69,540円
その他 4,399,968円
間接経費 2,307,000円
合計 10,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-10-05
更新日
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