行動経済学を用いた健康無関心層の類型化に基づく効果的な保健指導手法の確立

文献情報

文献番号
202209025A
報告書区分
総括
研究課題名
行動経済学を用いた健康無関心層の類型化に基づく効果的な保健指導手法の確立
課題番号
21FA1009
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
山本 精一郎(公立大学法人静岡社会健康医学大学院大学 社会健康医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 平井 啓(大阪大学 コミュニケーションデザイン・センター/大学院医学系研究科生体機能補完医学講座/人間科学研究)
  • 水野 篤(聖路加国際大学 急性期看護学)
  • 岡 浩一朗(早稲田大学 スポーツ科学学術院)
  • 佐々木 敏(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 中谷 英仁(静岡社会健康医学大学院大学)
  • 佐藤 洋子(静岡社会健康医学大学院大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
3,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特定保健指導の無関心者に対して健康行動を促すために、無関心者の類型化を試み、類型ごとに行動経済学的アプローチを中心とした行動変容方法を開発・評価することが本研究の目的である。
研究方法
(1)過去研究のレビュー
初年度に行った。
(2)インターネット調査による類型化
本研究では、特定保健指導に対する無関心と考えられる層に対し、インターネット調査を行い、その対象者に対し、「無関心層」の再定義、ならびにそれに基づく下位類型(セグメント)の分類を行った。類型化には、ヘルス・ビリーフ・モデルなどのこれまでの行動変容の理論に加えて、行動経済学的概念を用いた。
(3)類型の特徴の記述
インターネット調査の結果や研究班内の議論に基づき、それぞれの類型がどのような特徴を持ったペルソナか仮説を構築した。さらに、ペルソナに沿って、行動変容を促すメッセージ案を作成した。
(4)類型のペルソナとメッセージ案の検証
類型の妥当性を検証するために、新たにインターネット調査を行い、対象者を類型に分類した。さらに、それぞれの類型の対象者に対し、各類型に対して作ったメッセージをランダムに読んでもらい、その前後で行動変容のステージの変化するかどうかを調べることにより、類型とメッセージの妥当性を検証した。
(5)類型の再現性の確認
(2)の調査で構築した類型の分類方法の再現性があるかどうか調べるために、別のインターネット調査で類型化を行い、他の要因との関連が類似しているかどうか調べる(併存妥当性)ことによって類型の再現性を調べた。
(6)類型化に基づく保健指導マニュアル骨子の作成
(2)(3)で作成した類型のペルソナとメッセージを(4)(5)の研究結果をもとに修正し、類型化とそれに対するメッセージに基づく保健指導マニュアルの骨子を作成した。骨子は、対象者に応じた保健指導のアプローチのベースとなるものであり、今後、現場で保健指導を実施し、それに基づいてより具体的なマニュアルを作成する予定である。
結果と考察
システマティックレビューの結果やインタビューなどをもとに、類型化の仮説を立て、それを確認するために昨年度行ったインターネット調査結果に対し、対象者の類型化のために、因子分析の結果などを用い、クラスタリングを行ったところ、26項目により7つの類型(セグメント)に分けることができた。26項目によるクラスタリングでは現場での利用が困難なため、できるだけ項目を減らし、かつ再現性の高い類型化として、9項目による類型化を開発した。9項目による類型化により、26項目による類型化を50.7%の予測精度で分類することができた。
 7つのセグメントに対して、健康行動や健康に関する取り組みに対する動機付けを高めるメッセージ開発し、その効果を検証することを目的とした調査を実施したところ、メッセージの有効性については明確に明らかにすることはできなかったが、2つのセグメントにおいてそのセグメントを対象としたメッセージが有効であることが確認された。一方で、セグメントによって、健康行動や健康に関する取り組みに対する動機付けが一貫して異なることが示され、健康行動や健康に関する取り組みに対する動機付けに関しては、健康信念・リテラシーに関して7つの対象者セグメントに分類するセグメンテーションは妥当なものであることが確認された。
これらの結果をもとに、、7種類の類型に対し、その特徴と効果的と考えられるメッセージおよび効果的な動作指示を含んだ保健指導マニュアルの骨子を作成した。本マニュアル骨子による保健指導はは、研究で開発した、対象者の類型化に基づく保健指導方法の特徴は、対象者に9つの質問を答えてもらうことによって類型化を行い、それぞれの類型に適切なネーミング(あるいはペルソナ)を与えることによって、対象者並びに指導者がその類型の特徴を理解し、類型に合った指導方法を議論し、行っていくというまったく新しい指導方法である。
結論
7類型をさらにまとめるかも含め、今後、現場で保健指導を実施し、それに基づいてより具体的なマニュアルを作成する予定である。

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202209025B
報告書区分
総合
研究課題名
行動経済学を用いた健康無関心層の類型化に基づく効果的な保健指導手法の確立
課題番号
21FA1009
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
山本 精一郎(公立大学法人静岡社会健康医学大学院大学 社会健康医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 平井 啓(大阪大学 コミュニケーションデザイン・センター/大学院医学系研究科生体機能補完医学講座/人間科学研究)
  • 水野 篤(聖路加国際大学 急性期看護学)
  • 岡 浩一朗(早稲田大学 スポーツ科学学術院)
  • 佐々木 敏(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 中谷 英仁(静岡社会健康医学大学院大学 社会健康医学研究科)
  • 佐藤 洋子(静岡社会健康医学大学院大学 社会健康医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特定保健指導の無関心者に対して健康行動を促すために、無関心者の類型化を試み、類型ごとに行動経済学的アプローチを中心とした行動変容方法を開発・評価することが本研究の目的である。
研究方法
(1)過去研究のレビュー
特定保健指導の無関心層の特徴および無関心層の特徴および行動意図に影響を与える行動経済学的アプローチについて検討するため、この領域におけるシステマティックレビューを実施し、統合的な知見を集積する。
(2)インターネット調査による類型化
本研究では、特定保健指導に対する無関心と考えられる層に対し、インターネット調査を行い、その対象者に対し、「無関心層」の再定義、ならびにそれに基づく下位類型(セグメント)の分類を行う。類型化には、ヘルス・ビリーフ・モデルなどのこれまでの行動変容の理論に加えて、行動経済学的概念を用いることとする。
(3)類型の特徴の記述
インターネット調査の結果や研究班内の議論に基づき、それぞれの類型がどのような特徴を持ったペルソナか仮説を立てる。さらに、ペルソナに沿って、行動変容を促すメッセージ案を作成する。
(4)類型のペルソナとメッセージ案の検証
類型の妥当性を検証するために、新たにインターネット調査を行い、対象者を類型に分類する。さらに、それぞれの類型の対象者に対し、各類型に対して作ったメッセージをランダムに読んでもらい、その前後で行動変容のステージの変化するかどうかを調べることにより、類型とメッセージの妥当性を検証する。
(5)類型の再現性の確認
(2)の調査で構築した類型の分類方法の再現性があるかどうか調べるために、別のインターネット調査で類型化を行い、他の要因との関連が類似しているかどうか調べる(併存妥当性)ことによって類型の再現性を調べる。
(6)類型化に基づく保健指導マニュアル骨子の作成
(2)(3)で作成した類型のペルソナとメッセージを(4)(5)の研究結果をもとに修正し、類型化とそれに対するメッセージに基づく保健指導マニュアルの骨子を作成する。骨子は、対象者に応じた保健指導のアプローチのベースとなるものであり、今後、現場で保健指導を実施し、それに基づいてより具体的なマニュアルを作成する予定である。
結果と考察
まず最初に、行動経済学的アプローチが有効とされる類型化についてシステマティックレビューを実施した。システマティックレビューの結果では、大きく3つの要素:対象・チャンネル・背景理論が重要であり、これらを複合的に考慮した類型化が行動経済学的アプローチを有効に活用できると考えられた。
システマティックレビューの結果やインタビューなどをもとに、類型化の仮説を立て、それを確認するためにインターネット調査を行った。対象者の類型化のために、因子分析の結果などを用い、クラスタリングを行ったところ、26項目により7つの類型(セグメント)に分けることができた。26項目によるクラスタリングでは現場での利用が困難なため、できるだけ項目を減らし、かつ再現性の高い類型化として、9項目による類型化を開発した。9項目による類型化により、26項目による類型化を50.7%の予測精度で分類することができた。
 7つのセグメントに対して、健康行動や健康に関する取り組みに対する動機付けを高めるメッセージ開発し、その効果を検証することを目的とした調査を実施したところ、メッセージの有効性については明確に明らかにすることはできなかったが、2つのセグメントにおいてそのセグメントを対象としたメッセージが有効であることが確認された。一方で、セグメントによって、健康行動や健康に関する取り組みに対する動機付けが一貫して異なることが示され、健康行動や健康に関する取り組みに対する動機付けに関しては、健康信念・リテラシーに関して7つの対象者セグメントに分類するセグメンテーションは妥当なものであることが確認された。
これらの結果をもとに、、7種類の類型に対し、その特徴と効果的と考えられるメッセージおよび効果的な動作指示を含んだ保健指導マニュアルの骨子を作成した。本マニュアル骨子による保健指導はは、研究で開発した、対象者の類型化に基づく保健指導方法の特徴は、対象者に9つの質問を答えてもらうことによって類型化を行い、それぞれの類型に適切なネーミング(あるいはペルソナ)を与えることによって、対象者並びに指導者がその類型の特徴を理解し、類型に合った指導方法を議論し、行っていくというまったく新しい指導方法である。
結論
7類型をさらにまとめるかも含め、今後、現場で保健指導を実施し、それに基づいてより具体的なマニュアルを作成する予定である。

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202209025C

成果

専門的・学術的観点からの成果
システマティックレビューの結果やインタビューなどをもとに、特定保健指導の無関心者の類型化の仮説を立て、それを確認するためにインターネット調査を行った。対象者の類型化のために、因子分析の結果などを用い、クラスタリングを行ったところ、26項目により7つの類型(セグメント)に分けることができた。26項目によるクラスタリングでは現場での利用が困難なため、できるだけ項目を減らし、かつ再現性の高い類型化として、9項目による類型化を開発した。別のデータを用いて類型化の再現性も確認した。
臨床的観点からの成果
本研究は、臨床現場で用いることを想定したものではなく、公衆衛生現場で用いることを想定したものである。この点については、行政的観点からのところに記述するが、臨床現場においても保健指導をする場合には用いることができる。
ガイドライン等の開発
研究結果をもとに、7種類の類型に対し、その特徴と効果的と考えられるメッセージおよび効果的な動作指示を含んだ保健指導マニュアルの骨子を作成した。本マニュアル骨子は、特定健診等実施計画における、類型化に基づいた効果的な指導方法等に関する「標準的な健診・保健指導プログラム」において、対象者に応じた保健指導を行うための科学的根拠に基づいた方法を提示することができる。
その他行政的観点からの成果
本研究で作成したマニュアル骨子による保健指導は、研究で開発した、対象者の類型化に基づく保健指導方法の特徴は、対象者に9つの質問を答えてもらうことによって類型化を行い、それぞれの類型に適切なネーミング(あるいはペルソナ)を与えることによって、対象者並びに指導者がその類型の特徴を理解し、類型に合った指導方法を議論し、行っていくというまったく新しい指導方法である。7類型をさらにまとめるかも含め、今後、現場で保健指導を実施し、それに基づいてより具体的なマニュアルを作成する予定である。
その他のインパクト
特にありません。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-06-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
202209025Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,940,000円
(2)補助金確定額
4,091,000円
差引額 [(1)-(2)]
849,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 21,194円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 2,929,850円
間接経費 1,140,000円
合計 4,091,044円

備考

備考
差額の44円は自己資金である。

公開日・更新日

公開日
2023-09-07
更新日
-