文献情報
文献番号
202209011A
報告書区分
総括
研究課題名
糖尿病の実態把握と環境整備のための研究
課題番号
20FA1016
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
山内 敏正(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 山田 祐一郎(秋田大学 医学部)
- 菊池 透(埼玉医科大学病院 小児科)
- 村田 敏規(信州大学 医学部)
- 田中 哲洋(東京大学 医学部腎臓・内分泌内科)
- 赤澤 宏(大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学)
- 東 尚弘(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 がん登録センター)
- 後藤 温(国立がん研究センター 社会と健康研究センター 疫学研究部 代謝疫学研究室)
- 野田 龍也(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
- 山口 聡子(東京大学 大学院医学系研究科 糖尿病・生活習慣病予防講座)
- 笹子 敬洋(東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科)
- 大杉 満(国立国際医療研究センター糖尿病情報センター)
- 田宮 菜奈子(国立大学法人筑波大学 医学医療系 / ヘルスサービス開発研究センター)
- 横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
10,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
糖尿病とその合併症の実態を把握し、重症化予防の課題と解決策を見つけることを目的とする。
研究方法
大規模データベースを利用した糖尿病診療の質や検査の実施割合などに関する研究が実施された。また、患者の視点も含めた医療提供体制の課題と解決策についても考察された。
結果と考察
【1. 糖尿病及び合併症の実態把握に関する研究】
(1)レセプト情報・特定健診等情報データベースを用いた研究
NDBを用いた日本のデータがLancet Diabetes & Endocrinologyにおける国際比較に使用され、昨年度に発表した本邦における初回外来糖尿病薬処方の実態を明らかにした結果が日本糖尿病における2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズムのコンセンサスステートメントの作成に貢献しており、今後の我が国におけるレセプト研究の発展につながる成果となった。
(2)糖尿病に対する適切な医療提供体制や指標の検討
第8次医療計画における“糖尿病の医療体制構築に係る現状把握のための指標案”については、本研究が提案した指標が、厚生労働省医政局地域医療計画課長より発出された“疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について”の作成へ貢献した。
(3)国民健康・.栄養調査による糖尿病有病者数推計について
厚生労働省健康局からの要請があり、平成24年~令和元年国民健康・栄養調査結果に基づいて、令和2年の「糖尿病有病者等」の人数の推計を本研究班で試行した。「糖尿病が強く疑われる者」は1,150万人と推計され、策定時に予測された1,270万人に比べると少ないが、目標値の1,000万人(令和元年は980万人)よりは多かった。本結果は健康日本21(第二次)最終評価報告書における、「糖尿病有病者の増加の抑制」の参考値として貢献した。
【2. 糖尿病をもつ人からの視点に関する研究】
(1)糖尿病の診療や生活の体験に関する調査研究
患者会(日本糖尿病協会)を通じたアンケート調査は約7,000枚配布し、2,500枚以上が回収された(同意あり回収率39.3%)。つくば市での生活習慣関連のアンケート調査については、1,000人に配布し有効回答は約450件(回収率約45%)であった。様々な背景の糖尿病患者の声を診療の改善や政策立案に活かすため、今後も詳細な解析を進める予定である。
(2)1型糖尿病患者に関する研究
2018年3月から4年間の小児思春期1型糖尿病の治療状況について、縦断的に検討した。インスリン投与方法では、MDIが約55%、CSIIが約40%であり、明らかな変化はなかった。しかし、小学校高学年以降では幼児、小学校低学年に比し、CSII使用率が低かった。isCGMは全ての年齢階級で普及し、使用率は従来方法よりも高くなった。特に思春期の患者の気持ちに寄り添いながら、進歩した技術を適切に生かせるように、支援していくことが重要と考えられる。
(1)レセプト情報・特定健診等情報データベースを用いた研究
NDBを用いた日本のデータがLancet Diabetes & Endocrinologyにおける国際比較に使用され、昨年度に発表した本邦における初回外来糖尿病薬処方の実態を明らかにした結果が日本糖尿病における2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズムのコンセンサスステートメントの作成に貢献しており、今後の我が国におけるレセプト研究の発展につながる成果となった。
(2)糖尿病に対する適切な医療提供体制や指標の検討
第8次医療計画における“糖尿病の医療体制構築に係る現状把握のための指標案”については、本研究が提案した指標が、厚生労働省医政局地域医療計画課長より発出された“疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について”の作成へ貢献した。
(3)国民健康・.栄養調査による糖尿病有病者数推計について
厚生労働省健康局からの要請があり、平成24年~令和元年国民健康・栄養調査結果に基づいて、令和2年の「糖尿病有病者等」の人数の推計を本研究班で試行した。「糖尿病が強く疑われる者」は1,150万人と推計され、策定時に予測された1,270万人に比べると少ないが、目標値の1,000万人(令和元年は980万人)よりは多かった。本結果は健康日本21(第二次)最終評価報告書における、「糖尿病有病者の増加の抑制」の参考値として貢献した。
【2. 糖尿病をもつ人からの視点に関する研究】
(1)糖尿病の診療や生活の体験に関する調査研究
患者会(日本糖尿病協会)を通じたアンケート調査は約7,000枚配布し、2,500枚以上が回収された(同意あり回収率39.3%)。つくば市での生活習慣関連のアンケート調査については、1,000人に配布し有効回答は約450件(回収率約45%)であった。様々な背景の糖尿病患者の声を診療の改善や政策立案に活かすため、今後も詳細な解析を進める予定である。
(2)1型糖尿病患者に関する研究
2018年3月から4年間の小児思春期1型糖尿病の治療状況について、縦断的に検討した。インスリン投与方法では、MDIが約55%、CSIIが約40%であり、明らかな変化はなかった。しかし、小学校高学年以降では幼児、小学校低学年に比し、CSII使用率が低かった。isCGMは全ての年齢階級で普及し、使用率は従来方法よりも高くなった。特に思春期の患者の気持ちに寄り添いながら、進歩した技術を適切に生かせるように、支援していくことが重要と考えられる。
結論
【1. 糖尿病及び合併症の実態把握に関する研究】
(1)レセプト情報・特定健診等情報データベースを用いた研究
我が国における初回外来糖尿病薬の処方実態が日本糖尿病学会発行のステートメントに貢献しており、今後も診療ガイドラインや診療手引き、医療連携のあり方など、糖尿病診療の質を向上する方策につながること、またレセプト研究が益々発展することが期待される。
(2)糖尿病に対する適切な医療提供体制や指標の検討
第8次医療計画の糖尿病対策指標議論への貢献し、今後47都道府県における糖尿病対策への展開が期待される。
(3)国民健康・.栄養調査による糖尿病有病者数推計について
健康日本21(第二次)最終評価)や各種計画の進捗フォローのために代替の算出方法に貢献し、今後の糖尿病対策を検討する上での基礎情報として活用されることが期待される。
【2. 糖尿病患者からの視点に関する研究】
(1)糖尿病の診療や生活の体験に関する調査研究
糖尿病の診療や生活の体験について、既存データではアプローチが困難な患者の主観的意見・生活の実態や困難について調査し課題を抽出することで、様々な背景の糖尿病患者の声を診療の改善や政策立案への貢献が期待される。
(2)1型糖尿病患者に関する研究
思春期の1型糖尿病患者の血糖コントロールには、少なからず心理社会的障害が影響していると考えられるため、将来、その心理社会的障害の影響を受けないような技術革新が実現することを期待する。
(1)レセプト情報・特定健診等情報データベースを用いた研究
我が国における初回外来糖尿病薬の処方実態が日本糖尿病学会発行のステートメントに貢献しており、今後も診療ガイドラインや診療手引き、医療連携のあり方など、糖尿病診療の質を向上する方策につながること、またレセプト研究が益々発展することが期待される。
(2)糖尿病に対する適切な医療提供体制や指標の検討
第8次医療計画の糖尿病対策指標議論への貢献し、今後47都道府県における糖尿病対策への展開が期待される。
(3)国民健康・.栄養調査による糖尿病有病者数推計について
健康日本21(第二次)最終評価)や各種計画の進捗フォローのために代替の算出方法に貢献し、今後の糖尿病対策を検討する上での基礎情報として活用されることが期待される。
【2. 糖尿病患者からの視点に関する研究】
(1)糖尿病の診療や生活の体験に関する調査研究
糖尿病の診療や生活の体験について、既存データではアプローチが困難な患者の主観的意見・生活の実態や困難について調査し課題を抽出することで、様々な背景の糖尿病患者の声を診療の改善や政策立案への貢献が期待される。
(2)1型糖尿病患者に関する研究
思春期の1型糖尿病患者の血糖コントロールには、少なからず心理社会的障害が影響していると考えられるため、将来、その心理社会的障害の影響を受けないような技術革新が実現することを期待する。
公開日・更新日
公開日
2023-08-01
更新日
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