重層的・定量的トキシコモディフィコーム解析を用いた安全性バイオマーカーの探索

文献情報

文献番号
200909011A
報告書区分
総括
研究課題名
重層的・定量的トキシコモディフィコーム解析を用いた安全性バイオマーカーの探索
課題番号
H20-バイオ・若手-006
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
足立 淳(京都大学 地球環境学堂)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、安全性バイオマーカーの探索対象として、蛋白質の“質”の変化に注目し、システイン酸化
・ユビキチン化・リン酸化の3種の蛋白質翻訳後修飾を同時に解析し、解析データを一体化した重
層翻訳後修飾マップを作成し、安全性バイオマーカーや毒性シグナルネットワークを推定することを研
究目的とする。
研究方法
前年度までに確立した、SILAC法を用いたリン酸化プロテオーム、システイン酸化プロテオーム解析手法を用いて、ダイオキシン受容体リガンドかつ、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤でもあるインディルビンがリン酸化、システイン酸化に与える影響を定量した。またリジンアセチル化、ユビキチン化蛋白質の定量解析手法の検討を行った。同時に、バイオインフォマティクス基盤整備も行った。
結果と考察
リン酸化プロテオーム解析では、酸化チタンビーズを用いた濃縮法とチロシンリン酸化抗体による濃縮法を併用した結果、それぞれの手法で3個、4個、計7個の蛋白質のリン酸化が変動することを確認した。酸化チタンを用いてリン酸化ペプチドを濃縮する手法は、リン酸化サイトを直接同定・定量することが出来る反面、そのペプチドがうまくフラグメント化しなかったり、イオン化効率が低いなどの理由で同定できなかった場合も多かった。一方で蛋白質を濃縮する方法では、1次元のゲルによって、細かく分離することができ、分子量情報も得られるが、リン酸化サイトまで同定できることはまれであった。システイン酸化プロテオーム解析では変動した蛋白質は検出されなかった。アセチル化リジンプロテオーム解析においては、免疫沈降で効率よくアセチル化ペプチドを濃縮することができなかったため、新たに、重要な翻訳後修飾の一つであるユビキチン化プロテオーム解析を実施し、プロテアソーム阻害剤MG132によって0.75倍以下に減少する蛋白質を185個、1.33倍以上に増加する蛋白質を66個同定した。次年度以降、ユビキチン化プロテオーム解析もトキシコモディフィコーム解析システムに取り入れて、解析を進める予定である。
結論
トキシコモディフィコーム解析システムを試行し、運用できることを確認した。同時にシステムの定量精度・感度・効率性を向上させた。また本研究の基盤技術となる、リン酸化、システイン酸化に加えてユビキチン化蛋白質を定量する手法を新たに確立した。

公開日・更新日

公開日
2011-05-19
更新日
-