小児・AYA世代のがん患者等に対する妊孕性温存療法のエビデンス確立を目指した研究―安全性(がん側のアウトカム)と有効性(生殖側のアウトカム)の確立を目指して

文献情報

文献番号
202208049A
報告書区分
総括
研究課題名
小児・AYA世代のがん患者等に対する妊孕性温存療法のエビデンス確立を目指した研究―安全性(がん側のアウトカム)と有効性(生殖側のアウトカム)の確立を目指して
課題番号
21EA2004
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 直(聖マリアンナ医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 森重 健一郎(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター)
  • 高井 泰(埼玉医科大学総合医療センター産婦人科)
  • 古井 辰郎(岐阜大学大学院 医学系研究科)
  • 小野 政徳(東京医科大学)
  • 渡邊 知映(昭和大学 保健医療学部)
  • 湯村 寧(横浜市立大学附属市民総合医療センター)
  • 清水 千佳子(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター がん総合診療センター / 乳腺・腫瘍内科)
  • 片岡 伸介(名古屋大学 医学部)
  • 宮地 充(京都府立医科大学大学院医学研究科小児発達医学)
  • 山本 哲哉(横浜市立大学 医学部脳神経外科)
  • 中山 タラントロバート(慶應義塾大学 医学部)
  • 中島 貴子(京都大学 医学部附属病院 次世代医療・iPS細胞治療研究センター (Ki-CONNECT))
  • 藤井 伸治(岡山大学病院 輸血部)
  • 菊地 栄次(聖マリアンナ医科大学 腎泌尿器外科学)
  • 梶山 広明(名古屋大学 大学院医学系研究科 産婦人科学)
  • 堀江 昭史(京都大学 産科婦人科)
  • 原田 美由紀(東京大学 医学部附属病院)
  • 真部 淳(国立大学法人 北海道大学大学院 医学研究院 小児科学教室)
  • 安岡 稔晃(愛媛大学 医学部)
  • 前沢 忠志(三重大学 医学部)
  • 桂木 真司(宮崎大学医学部附属病院)
  • 銘苅 桂子(琉球大学 周産母子センター)
  • 高江 正道(聖マリアンナ医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
2,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
令和3年4月1日より開始した、国の小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業の一環として研究を統括する。① 国の小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業の円滑な牽引と国民への周知、② 全国の自治体における経済的支援の実態(実数等)の把握、③ 日本産科婦人科学会又日本泌尿器科学会と連携して、本事業に参加する各々の学会が認定する認定施設(学会認定施設)の把握、④ 日本がん・生殖学会が管理するJOFRへの登録制度(国からの委託事業)との密な連携(特に、学会認定施設のJOFRへの登録状況を共有し、必要時に認定施設の代表者への登録の催促等を行う)、となる。特に本年度は、日本がん・生殖医療学会と協力して、令和3年度内に学会認定された施設を有していない自治体の実情を把握し、これら地域のがん患者にとっての不利益に繋がらない様、地域を超えたブロックでのがん・生殖医療連携の可能性を模索し、施策を講じる(⑤)
研究方法
①1)研究班のwebsiteの「妊孕性温存実施施設(研究協力施設)を探す」(http://outcome2021.org/)のページの更新業務を実施する。並びに、②で得られた情報の一部を研究成果の公開を行う。
①2)研究班参加施設の認定事業を実施する。なお、R4年度から温存後生殖補助医療に対して経済的支援が追加されることになったため、研究班参加施設の認定に係る申請書類の改訂と、温存後生殖補助医療に関する国民への周知(ポスターとリーフレット作成並びにwebsite更新)を実施する。
②厚労省がん・疾病対策課より協力をいただき、前年度(R3年度)の各自治体の助成実績の情報を把握する。把握する内容1)治療を実施した施設数、2)助成人数、3)助成回数、4)助成回数の内訳、5)施設数の内訳。なお、国、国民(websiteを通じて)、全国のがん診療若しくは生殖医療に係る施設、自治体に報告書として情報を開示する。
③1)日本産科婦人科学会臨床倫理監理委員会のがん・生殖医療施設認定小委員会、2)日本泌尿器科学会、3)日本がん・生殖医療学会JOFR管理運営委員会と連携し、研究促進事業に参加する施設情報を共有する。適宜「妊孕性温存実施施設(研究協力施設)を探す」のページの更新を行う。なお、R4年度から、温存後生殖補助医療に対して経済的支援が追加されることになったため、温存後生殖補助医療に関する情報の追加「妊孕性温存実施施設(研究協力施設)を探す」追加する。
④日本がん・生殖医療学会JOFR管理運営委員会と連携して、JOFRへの登録状況を把握する。FSリンク(患者アプリ)に関する情報のページを新たに設ける。
⑤ 地域格差解消に向けた施策:日本がん・生殖医療学会が管理する、がん・生殖医療ネットワーク: (OCjpn)が主催する、がん・生殖医療ネットワーク構築に課題を有する自治体をサポートするワークショップ等の協力を行う(富山県と宮崎県)。
結果と考察
目的である5つの研究を予定通り進めることができた。
前年度(R3年度)の各自治体における助成実績の情報を把握したものの、1自治体が個人情報保護の観点から詳細な情報提供をいただくことができなかった。がん・疾病対策課の担当者とも情報と今後の対策等を共有している。日本がん・生殖医療学会のJOFR管理運営委員会による確実な登録データ管理体制の継続を期待する。 
本研究促進事業への参加施設は、当初の予想通りの施設数で推移しているが、引き続き、日本がん・生殖医療学会が管理するOCjpnと密な連携を継続し、地域の患者の不利益とならないようがん・生殖医療ネットワーク構築に向けた施策を講じる必要性があると考えられた。
研究促進事業としては、「がん・生殖医療における妊孕性温存療法に関するエビデンス創出」がその目的となっているが、本研究班が臨床データを利用した研究を行うものではない。今後は、JOFRのデータ集積が進んだ後に、臨床データを用いた研究を遂行する予定である。
結論
日本産科婦人科学会、日本泌尿器科学会、そして日本がん・生殖医療学会と協力しつつ、本研究班が本研究促進事業を牽引することで、本邦における小児・AYA世代がん患者等に対する妊孕性温存療法に係る研究促進事業により収集した臨床データ等を解析し、本邦におけるがん・生殖医療における安全性(がん医療側のアウトカム)と有効性(生殖医療側のアウトカム)に繋がるエビデンスの集積に向けた体制を構築することができた。さらに、新たに追加支援となった、温存後生殖補助医療に関する情報発信を行うこともできた。
引き続き、厚生労働省、全国の自治体、関連学術団体と密な連携を進めることで、エビデンス創出を目指した国の小児・AYA世代がん患者等に対する妊孕性温存療法研究促進事業を推進していく。

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202208049Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,990,000円
(2)補助金確定額
2,990,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 214,387円
人件費・謝金 715,000円
旅費 0円
その他 1,370,613円
間接経費 690,000円
合計 2,990,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-05-23
更新日
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