がん関連苦痛症状の体系的治療の開発と実践および専門的がん疼痛治療の地域連携体制モデル構築に関する研究

文献情報

文献番号
202208044A
報告書区分
総括
研究課題名
がん関連苦痛症状の体系的治療の開発と実践および専門的がん疼痛治療の地域連携体制モデル構築に関する研究
課題番号
22EA1004
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
里見 絵理子(国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院 緩和医療科)
研究分担者(所属機関)
  • 田上 恵太(東北大学大学院 医学系研究科 緩和医療学分野)
  • 松本 禎久(公益財団法人がん研究会有明病院)
  • 森 雅紀(聖隷三方原病院 緩和支持治療科)
  • 今井 堅吾(聖隷三方原病院 ホスピス科)
  • 曽根 美雪(国立がん研究センター中央病院 放射線診断科)
  • 高橋 健夫(埼玉医科大学総合医療センター 放射線腫瘍科)
  • 浜野 淳(筑波大学 医学医療系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
7,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班ではがん患者の苦痛症状の緩和により患者のQOL向上につながる方策を明らかにする。
Ⅰ.がん患者の苦痛の体系的治療に関する研究
①がん疼痛について、がん治療期・療養期において体系的治療を活用し苦痛緩和を促進することを目的として体系的治療の実装について検証をおこなう。
②呼吸困難について、より有効かつ安全に体系的治療を用いて緩和できることを目的として、これまで集積されたデータを解析し、緩和ケアの専門家の有無にかかわらず利用可能な体系的治療について更新して開発する。
③終末期過活動せん妄について、より有効かつ安全に体系的治療を用いて緩和できることを目的として、これまで集積されたデータを解析し、特にがん疼痛を有する過活動せん妄の緩和を推進するための体系的治療の開発する。
④在宅療養の場面での終末期がん患者の苦痛のうち過活動せん妄の緩和を促進するための体系的治療の開発する。
Ⅱ.専門的がん疼痛治療に関する拠点病院を中心とした地域連携体制モデルの構築に関する研究
がん患者の治療・療養の場面に関わらない難治性がん疼痛の苦痛緩和が促進することを目的とし、放射線治療や神経ブロックなど専門的がん疼痛治療に関する拠点病院を中心とした地域連携体制のモデル構築を行う。
研究方法
Ⅰ.がん患者の苦痛の体系的治療
① がん疼痛の体系的治療の検証立案
 多施設共同研究として、緩和ケア専門家以外が体系的治療を利用してがん疼痛治療を実践する観察研究及び医療者への質的研究を実施し、体系的治療を確立する。
② 呼吸困難の体系的治療の分析
③終末期過活動せん妄の体系的治療の分析とがん疼痛を有するせん妄の日常診療の分析
 「がん患者の療養生活の最終段階における体系的な苦痛緩和法の構築に関する研究(19EA1011)」班で収集したデータ及び関連研究の分析を行い安全性・有効性等に関する情報を収集し公表する。
④在宅医療におけるがん患者の終末期過活動せん妄の診療に関して関係団体で意見交換を行い体系的治療の開発を行い実施可能性を調査のうえ、在宅における終末期過活動せん妄の緩和に関するガイドを作成する。
上記を経て、関係団体と連携して医療者向け普及啓発を実施する。 ホームページにて公開し、医療者が利用可能な環境とする。
Ⅱ.専門的がん疼痛治療の地域連携体制モデルの構築
緩和的放射線治療、画像下治療、神経ブロック等について地域連携体制の基盤として、コンサルテーションシステムを構築するとともに、好事例収集を行い、モデルの在り方を検討、実施可能性、予備的な有用性に関する研究をする。
結果と考察
①  がん疼痛の体系的治療
 オピオイド注射によるがん疼痛治療の体系的治療(アルゴリズム)の見直しを行い構築した
・がん疼痛治療アルゴリズムのユーザビリティ調査に向け準備を行っている
 同調査は、がん治療ユニット、プライマリ・ケアユニット、在宅医療、僻地・離島の医療者を対象に施行する予定である。
② 呼吸困難の体系的治療
③終末期過活動せん妄の体系的治療
 「がん患者の療養生活の最終段階における体系的な苦痛緩和法の構築に関する研究(19EA1011)」班で収集したデータ(呼吸困難 5施設108例、2施設200例)の分析を行い安全性・有効性等に関する情報を解析し、体系的治療を用いた呼吸困難、せん妄の緩和は実施可能性が高く、有効性・安全性とも認められることが示唆された。
④ 在宅医療におけるがん患者の終末期過活動せ
ん妄の診療に関して在宅医療専門医を対象に薬物治療の実態調査を行った。その結果、在宅医療においては、患者の全身状態や保険適用、介護者負担を考慮した薬剤選択、用量設定が行われている可能性が考えられた。
Ⅱ.専門的がん疼痛治療の地域連携体制モデルの構築
専門的がん疼痛治療の適応や難治性がん疼痛について医師から相談できる地域連携体制の基盤として、web上でコンサルテーション可能なシステムを構築開始した。好事例収集を開始した。また、遠隔にて専門的がん疼痛治療としての画像下治療支援を行うためのシステムの構築を開始した。
結論
計画通り研究が開始された。苦痛緩和のための体系定期治療開発は、安全性、有効性について、実臨床に有用なデータが得られた。在宅がん患者の終末期過活動せん妄診療の実態について調査が完了し、在宅における終末期過活動せん妄に対する薬物療法の体系的治療のドラフトが完成した。普及のためホームページ構築を開始し、本研究版での成果を掲載していく予定である。また、専門的がん疼痛治療地域連携体制の構築はコンサルテーションシステム完成後のパイロット運用にむけて、手順書の確定、学術団体や都道府県を通じた周知案内などを行い実践する。がん疼痛治療の専門家がいない地域でも、がん疼痛患者の苦痛が緩和することができるようにDtoDのシステムとして運用し、学術団体と連携して進めていきたい。

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202208044Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,010,000円
(2)補助金確定額
9,481,000円
差引額 [(1)-(2)]
529,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,327,981円
人件費・謝金 1,469,717円
旅費 228,540円
その他 3,145,222円
間接経費 2,310,000円
合計 9,481,460円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-05-23
更新日
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