がん研究に患者・市民参画を実現するための患者・市民に対する教育カリキュラム・プログラムの開発に関する研究

文献情報

文献番号
202208041A
報告書区分
総括
研究課題名
がん研究に患者・市民参画を実現するための患者・市民に対する教育カリキュラム・プログラムの開発に関する研究
課題番号
22EA1001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
有賀 悦子(帝京大学医学部 緩和医療学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 江口 英利(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 勝俣 範之(日本医科大学武蔵小杉病院)
  • 三森 功士(九州大学病院)
  • 大滝 純司(東京医科大学 医学教育学分野)
  • 渡邊 清高(帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科)
  • 片山 佳代子(国立大学法人 群馬大学 情報学部)
  • 片野田 耕太(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策研究所)
  • 桜井 なおみ(キャンサー・ソリューションズ株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
7,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 医療の質の向上、特に、がん研究に患者・市民が参画することを実現するためには効果的な研修の実施が求められている。
 本研究では、多方面で開催されている研修会が体系的にリンケージできること、長期におよぶ育成や受講者の多様性に対応できることを目指し、アウトカム(目標)、コンピテンシー(資質・能力)を明らかにした患者・市民参画の系統化カリキュラムの開発を目的とする。
研究方法
1.文献検索
2.カリキュラム作成
 1) 対象とするがん研究の種類:研究班内アンケート調査を実施する。
 2) アウトカム、コンピテンシーの抽出:KJ法にて2回調査を実施し抽出後、カテゴリー化する。
 3) 体系的カリキュラム第1版:2)をカリキュラムとして整理し、デルファイ法にて中央値7点以上、上位・下位評価差5点以内となるよう合意会議を開催し、修正後確定する。
3.用語集の作成準備
 追加した研究計画で、カリキュラム第1版のカリキュラムに基づき用語の抽出を行う。
4.Webサイト作成
 カリキュラム等の一般公開、用語集の校正作業、カリキュラムを活用した研修プログラムの集計とアンケート調査、動画サイトの自己学習者に対するアンケート調査、これらが可能な構造を持つシステムを稼働させる。
5.カリキュラム第1版に評価
 カリキュラムに対する患者体験者または市民によるフォーカス・インタビューを実施する。

(倫理面への配慮)
今年度の研究の中で、1~4については倫理面の配慮が必要な内容を含んでいない。5.フォーカス・インタビューについて、神奈川県立がんセンター研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。その他、個人情報の管理は厳重に行った。
結果と考察
結果
1.文献検索
先行研究について、計68本の原著論文を収集した。
2.カリキュラム作成
1) 対象がん研究の絞り込み
基礎研究、臨床研究(治験含む)、社会医学研究を対象とすることとした。
2) カリキュラム第1版
コンピテンシー152が抽出され、アウトカム6に対し、それぞれコンピテンシーが整理された。医学教育のタキソノミーに従った動詞を選択し医学教育の専門家を含む、3名の研究分担者によるレビューを実施た。
このカリキュラム案を研究班内でのデルファイ法にて全項目中央値7点以上、上位・下位評価差が5点を超えたものは「腫瘍学・社会医学」のアウトカム、コンピテンシーであった。これに対し、合意形成会議を経て、第1版を確定した。
3) 研修モデル作成
基礎研究、臨床研究、社会医学研究において、カリキュラムを用いた研修プログラムモデルを作成した。
3.用語集
450ワードが抽出された。
4.フォーカス・インタビュー
4名のがん体験者に対し実施され、カリキュラム第1版の初見、患者の役割、教育プログラム評価について意見を得ることができた。

考察
 国内既存の研修会は時事的な興味を主体とした偏りが指摘されてきた。これを繋ぐカリキュラムの作成は、海外においても報告はない。
 研究班内においても参画に関する意識、医学教育や研修のあり方には、多彩な価値観の潜在により評価が分散的変化をすることがあり、意見を集束することが困難な場面があった。
 したがって、開発プロセスにおいて、一旦の確定版を置き、それに対する評価結果に基づく改定を重ねることが実効性のあるカリキュラムの修練につながると考えた。
 研究計画を修正しフォーカス・インタビューを前倒して実施した。患者・市民にとってカリキュラムは、直感的印象ではタキソノミーに準拠した動詞は、「難しい」困難感を生じることがわかった。一方、十分に読み込み、内容の理解がすすむと患者・市民にとっても、第1版は構造的で平易、妥当と感じることができることがわかった。
 このような直観と論理の乖離を埋めるためのカリキュラムの公開、運用方法を検討することが次の課題に含まれると考えている。
結論
アンケート調査を基にしたがん研究における患者・市民参画カリキュラムは、デルファイを経て、第1版を開発した。これに対するフォーカス・インタビュー結果やさらなる評価調査を踏まえ、改定を重ね、公開のあり方の議論を進める。

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202208041Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,010,000円
(2)補助金確定額
10,010,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,342,164円
人件費・謝金 835,691円
旅費 234,765円
その他 5,287,380円
間接経費 2,310,000円
合計 10,010,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-04-04
更新日
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