トキシコゲノミクス研究の臨床への展開

文献情報

文献番号
200909003A
報告書区分
総括
研究課題名
トキシコゲノミクス研究の臨床への展開
課題番号
H20-バイオ・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
藤村 昭夫(自治医科大学 薬理学講座臨床薬理学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 安藤 仁(自治医科大学 薬理学講座臨床薬理学部門)
  • 牛島 健太郎(自治医科大学 薬理学講座臨床薬理学部門)
  • 輿水 崇鏡(自治医科大学 薬理学講座分子薬理学部門)
  • 簑田 清次(自治医科大学 アレルギー膠原病学)
  • 鈴木 光明(自治医科大学 産婦人科学)
  • 森田 辰男(自治医科大学 腎泌尿器科学)
  • 草間 幹夫(自治医科大学 歯科口腔外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
34,790,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬物療法の安全性バイオマーカーを見出すこと、さらに、薬物の安全性を従来の毒性試験よりも正確かつ詳細に予測するシステムを開発することを目的として、これまでに得られたトキシコゲノミクス研究の成果を利用して臨床研究を開始した。
研究方法
重篤な有害反応をきたすことが知られている10 種類の薬物(メトトレキサート、ブシラミン、エタネルセプト、レフルノミド、リトドリン、リュープロレリン、フルタミド、ビカルタミド、エストラムスチン、イトラコナゾール)を選択し、倫理面に十分配慮した上で、いずれかの薬物を使用する患者よりその使用前後で末梢血を採取した。また、実際に有害反応をきたした患者からも末梢血をサンプリングした。採取した血液細胞よりRNAを抽出し、GeneChipを用いて網羅的遺伝子発現解析を行った。さらに、臨床検体における遺伝子発現情報を適切に解析するため、培養細胞および動物の遺伝子発現におよぼすそれらの薬物の影響を調べた。
結果と考察
平成22年3月19日までに392の臨床検体を収集し、臨床検体の遺伝子発現データベースを拡充した。また、このデータベースを用い、フルタミドによる肝障害発現を投与前に予測するインデックスを作成した。現在、このインデックスの有用性を検証中であり、有用性が示唆された場合には確認のための臨床試験を開始する予定である。
 基礎実験では、ブシラミンやリトドリンの臓器障害機序を解析し、さらに、これまでの解析結果をもとに亜ヒ酸の心毒性予防法を見出した。
 今後は、臨床検体遺伝子発現データベースのさらなる拡充を図るとともに、それらのデータと基礎実験のデータとの照合を行い、ヒト(臨床)における、有用な安全性バイオマーカーの確立、有害反応発現機序の解明、および有害反応軽減法の開発を進めていく予定である。
結論
患者の末梢血を用いたトキシコゲノミクス研究により、安全性バイオマーカーの同定、および有害反応機序の解明、有害反応軽減法の開発を実施中である。

公開日・更新日

公開日
2011-05-19
更新日
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