全ゲノム解析を基盤としたがんゲノム医療の実装に向けた患者還元、解析・データセンター、ELSI体制構築についての研究

文献情報

文献番号
202208038A
報告書区分
総括
研究課題名
全ゲノム解析を基盤としたがんゲノム医療の実装に向けた患者還元、解析・データセンター、ELSI体制構築についての研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21EA1011
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
中釜 斉(国立研究開発法人 国立がん研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 河野 隆志(国立研究開発法人国立がん研究センター 研究所 ゲノム生物学研究分野)
  • 井元 清哉(東京大学 医科学研究所)
  • 横野 恵(早稲田大学 社会科学部)
  • 織田 克利(東京大学大学院医学系研究科統合ゲノム学分野)
  • 白石 友一(国立がん研究センター 研究所 ゲノム解析基盤開発分野)
  • 田代 志門(東北大学 大学院文学研究科)
  • 青木 一教(独立行政法人国立がん研究センター 研究所分子細胞治療研究分野)
  • 徳永 勝士(国立国際医療研究センター ゲノム医科学プロジェクト(戸山))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
526,839,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は、がん全ゲノム解析等の推進に向けた患者還元、解析・データセンター、ELSI(倫理的・法的・社会的課題)等についての専門的、技術的な検討を行い、また、実際の全ゲノム先行解析の実施状況を踏まえつつ必要な課題について検討し、報告資料として取りまとめることを目的とする。本報告資料を取りまとめ、厚生労働省厚生科学審議会の科学技術部会のもとに設置された「全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会」における検討のために提出する。
研究方法
①患者還元、②解析・データセンター、③ELSI④事業実施組織の4つの専門的検討グループを構成し、AMED研究で実施される全ゲノム先行研究課題での課題等を踏まえつつ、様々な分野の専門家、関係学会、患者団体、データ利活用団体と意見交換を行い、報告資料を取りまとめる。
結果と考察
【研究結果】患者還元、解析・データセンター、ELSIのそれぞれについて、検討・解決すべき課題を挙げ、関係者へのヒアリングや意見交換を行うとともに、研究班内で議論を行い、報告資料を取りまとめた。報告資料については、第9回(令和4年5月13日)、第10回(令和4年7月7日)、第11回(令和4年8月19日)、第12回(令和4年11月15日)、第13回(令和5年2月9日)、第14回(令和5年3月9日)、第15回(令和5年5月25日)、第16回(令和5年7月26日)、第17回(令和5年10月3日)、第18回(令和5年11月13日)、第19回(令和5年12月4日)、第20回(令和6年3月18日)の全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会での資料として提出され、議論の題材として用いられた。また、適宜、委員会の議論の結果にもとづき、修正などの対応も行った。本議論の結果に基づき、全ゲノム解析等実行計画 2022が厚生労働省により策定され、また、それに基づいたがんゲノム医療の実装への検討が進められた。令和5年度への繰越分として、事業実施組織準備室の体制の下、臨床・患者還元支援チーム、利活用支援チーム、解析・データセンター運営チーム、ELSIチーム、総務チームを組織し、全ゲノム解析に基づくがんゲノム医療の実装のためのグランドデザインや事業実施組織設立のための計画立案を進めた。具体的な検討事項としては、患者還元に関しては、全ゲノム解析等を実施する機関の要件について、出口戦略について、ゲノム解析のSOPとQC、アカデミア・産業界によるデータ共有の在り方などであった。解析・データセンターに関しては、QC項目・方針の検討ととりまとめ、ゲノムデータベース構築、臨床情報DB構築、レポート作成システム、研究支援システム、集中管理システム、データ利活用のシステム開発や環境構築、バイオインフォマティシャン等の人材育成についてなどであった。また、ELSIに関連しては、モデルICF文案の作成、患者・市民参画(PPI)の推進、2次所見・結果還元のあり方などであった。事業実施組織については、全ゲノム解析等の推進に係る事業実施組織準備室の発足に必要な項目、具体的には、事業実施組織の目指す将来の姿、達成目標、産業・アカデミアフォーラムの設立準備、患者還元や利活用推進における事業実施組織が果たす機能等について検討を行った。事業実施組織準備室は令和4年度3月に発足した。また、令和5年度への繰越分として、事業実施組織発足に向けた、全ゲノム情報・臨床情報等を解析する企画・運用・ガバナンス体制、規程の策定、人材要件/人材確保計画の策定等について検討を行った。

【考察】令和4年度に発足した事業実施組織準備室の運用が本格化し、令和7年度より事業実施組織として、全ゲノム情報・臨床情報等の解析、患者還元、利活用が稼働する予定である。発足においては、本研究で策定された企画・運用・ガバナンス体制案や規程が活かされると期待する。また、全ゲノム解析等を実施する機関が追加されるとともに、実造血器腫瘍における前向き解析の方針が決まり、令和6年度以降の全ゲノム研究の拡大に活かされていくと期待する。
結論
患者還元、解析・データセンター、ELSI、事業実施組織についての専門的、技術的な検討を行い、取りまとめた資料は、厚生労働省厚生科学審議会の科学技術部会のもとに設置された「全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会」において検討された。その議論を受け、事業実施組織準備室が運用され、令和7年度より開始される事業実施組織による医療実装への道筋ができた。

公開日・更新日

公開日
2024-07-18
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-07-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202208038Z