がんリハビリテーションの均てん化に資する効果的な研修プログラム策定のための研究

文献情報

文献番号
202208034A
報告書区分
総括
研究課題名
がんリハビリテーションの均てん化に資する効果的な研修プログラム策定のための研究
課題番号
21EA1007
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
辻 哲也(慶應義塾大学)
研究分担者(所属機関)
  • 酒井 良忠(国立大学法人神戸大学)
  • 幸田 剣(和歌山県立医科大学)
  • 岡村 仁(国立大学法人広島大学)
  • 阿部 恭子(東京医療保健大学)
  • 増島 麻里子(国立大学法人千葉大学)
  • 高倉 保幸(埼玉医科大学)
  • 小林 毅(日本医療科学大学)
  • 櫻井 卓郎(国立がん研究センター)
  • 神田 亨(静岡県立静岡がんセンター)
  • 杉森 紀与(東京医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
8,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん患者では治療の影響や病状の進行に伴い、日常生活動作に障害を来し、著しく生活の質が低下することから、がん領域でのリハビリテーション(以下、リハビリ)診療の重要性が指摘されている。しかし、がん診療連携拠点病院等における対策はいまだ十分ではなく、社会復帰の観点も踏まえ、外来や地域の医療機関等と連携し、がんリハビリを実施する必要がある。
そこで、H30年~R2年度に「厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業)がんリハビリテーションの均てん化に資する効果的な研修プログラムの策定のための研究」が実施され、がんのリハビリ研修プログラムの立案、学習目標設定、e-learningシステムによる研修プログラムの教材を作成し、一定の成果が得られた。
本研究課題では、がん診療やがんリハビリ関連学協会、がん有識者と協力体制をとり、がん患者の社会復帰や社会協働の観点を踏まえて、がんリハビリを効果的に実施するために開発した標準的な研修プログラムを普及させる体制を構築し、その研修プログラムによる(厚労省後援)がんのリハビリ研修を全国で実施し、その評価と更新および臨床現場における有用性を踏まえた検証を行うこと、がん専門医療機関での入院リハビリとともに外来や地域における適切ながんリハビリ診療やリンパ浮腫診療の実施に向けた提案を行うことを目的とする。
研究方法
2年間の計画で、開発された研修プログラムを実施し、がんのリハビリ研修プログラムの評価と更新、臨床現場における有用性を踏まえた検証を実施、適切な、がんリハビリ診療の実施に向けた提案を行うことにより、がん患者がリハビリを受けられる体制を拠点病院等に普及させる。研究の全体計画は、以下のとおりである。
・令和3年:開発した研修プログラムでの研修の実施・評価と更新・検証
・令和4年:適切ながんのリハビリ診療実施に向けた提案
令和4年度には、以下①~④の年次計画を立案した。
①開発したプログラム(がんリハビリ研修:E-CAREER)による研修の実施・評価と更新
②開発したプログラム(リンパ浮腫研修:E-LEARN)による研修の実施・評価と更新
③開発した研修プログラムの臨床現場における有用性を踏まえた検証
④適切ながんリハビリ診療の実施に向けた提案
結果と考察
令和4年度の研究成果を以下の①~④に示した。
①開発した研修プログラム(がんリハビリ研修:E-CAREER)による研修の実施・評価と更新
E-CAREERの進捗や学術面での情報共有を行い、各地方で開催されているE-CAREERへ円滑に導入できるように、連携体制を構築した。普及啓発の一貫として、ホームページの更新、地域や外来でのがんリハビリ診療に関する動画コンテンツを作成し公開した。視聴者対象のアンケートでは理解度・満足ととも良好であった。
②開発した研修プログラム(リンパ浮腫研修:E-LEARN)による研修の実施・評価と更新
E-LEARNの進捗や学術面での情報共有を行い、プログラムの見直し・更新を行った。また、リンパ浮腫研修協力団体との意見交換会、オンライン視察、交流研修会を実施した。さらに、普及啓発の一貫として、ホームページの更新、地域や外来でのリンパ浮腫診療に関する動画コンテンツを開発し公開した。
③開発した研修プログラムの臨床現場における有用性を踏まえた検証
研修終了後に、開発された研修プログラムの効果の検証を行うため研修直後のアンケートを実施した。また、研修終了6か月後のアンケートも令和4年1月から12月まで実施し、分析を行った。
④適切ながんリハビリ診療の実施に向けた提案
がんのリハビリ・リンパ浮腫診療に携わる有識者やがん患者団体の委員を対象としたグループワークを実施し、今後のがん診療連携拠点病院等のがん専門医療機関におけるリハビリや研修のあり方を検討、適切ながんリハビリ・リンパ浮腫診療の実施に向けた提案書を作成した。
以上、研究は交付申請時の計画どおり、遅滞なく実施され終了した。
第3期がん対策基本計画では、がんのリハビリ診療は重点課題とされ、がん医療におけるリハビリ診療の重要性は益々増している。本研究により、普及性の高いリハビリ研修プログラムの開発・実施を行い、各地域の拠点病院等でのがんのリハビリ診療の普及や均てん化を図ることは、国の施策の方向性と合致している。
結論
令和4年度には、開発した研修プログラムによる研修を実施し、その評価と更新を行った。普及啓発の一環として、ホームページ作成、地域や外来でのがんリハビリやリンパ浮腫診療に関するコンテンツの作成を開始した。開発された研修プログラムの効果の検証を行うため研修直後とともに研修終了6か月後のアンケートを実施し分析を行った。さらに、適切ながんリハビリ・リンパ浮腫診療の実施に向けた提案書を作成した。
研究は交付申請時の計画どおり、遅滞なく実施され終了した。

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202208034B
報告書区分
総合
研究課題名
がんリハビリテーションの均てん化に資する効果的な研修プログラム策定のための研究
課題番号
21EA1007
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
辻 哲也(慶應義塾大学)
研究分担者(所属機関)
  • 酒井 良忠(神戸大学)
  • 幸田 剣(和歌山県立医科大学)
  • 岡村 仁(広島大学)
  • 阿部 恭子(東京医療保健大学)
  • 増島 麻里子(千葉大学)
  • 高倉 保幸(埼玉医科大学)
  • 小林 毅(千葉県立保健医療大学)
  • 櫻井 卓郎(国立がん研究センター)
  • 神田 亨(静岡県立静岡がんセンター)
  • 杉森 紀与(東京医科大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん患者では治療の影響や病状の進行に伴い、日常生活動作に障害を来し、著しく生活の質が低下することから、がん領域でのリハビリテーション(以下、リハビリ)診療の重要性が指摘されている。しかし、がん診療連携拠点病院等における対策はいまだ十分ではなく、社会復帰の観点も踏まえ、外来や地域の医療機関等と連携し、がんリハビリを実施する必要がある。
そこで、H30年度~R2年度に「厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業)がんリハビリテーションの均てん化に資する効果的な研修プログラムの策定のための研究」が実施され、がんのリハビリ研修プログラムの立案、学習目標設定、e-learningシステムによる研修プログラムの教材を作成し、一定の成果が得られた。
本研究課題では、がん診療やがんリハビリ関連学協会、がん有識者と協力体制をとり、がん患者の社会復帰や社会協働の観点を踏まえて、がんリハビリを効果的に実施するために開発した標準的な研修プログラムを普及させる体制を構築し、その研修プログラムによる(厚労省後援)がんのリハビリ研修を全国で実施し、その評価と更新および臨床現場における有用性を踏まえた検証を行うこと、がん専門医療機関での入院リハビリとともに外来や地域における適切ながんリハビリ診療やリンパ浮腫診療の実施に向けた提案を行うことを目的とした。
研究方法
2年間の計画で、開発された研修プログラムを実施し、がんのリハビリ研修プログラムの評価と更新、臨床現場における有用性を踏まえた検証を実施、適切な、がんリハビリ診療の実施に向けた提案を行うことにより、がん患者がリハビリを受けられる体制を拠点病院等に普及させる。研究の全体計画は、以下のとおりである。
・令和3年:開発した研修プログラムでの研修の実施・評価と更新・検証
・令和4年:適切ながんのリハビリ診療実施に向けた提案
結果と考察
①開発した研修プログラム(がんリハビリ研修:E-CAREER)による研修の実施・評価と更新
E-CAREERが、各地方で円滑に導入できるように、地方研修の企画者用の研修マニュアルを作成し、E-CAREER説明会や研修会を実施し、双方向の情報共有が可能な連携体制を構築した。また、普及啓発の一貫として、ホームページ作成・更新、がんリハビリ講演会を実施、地域や外来でのがんリハビリ診療に関する動画コンテンツを作成し、ホームページ上で公開した。視聴者対象アンケートでは理解度・満足ととも良好であった。
②開発した研修プログラム(リンパ浮腫研修:E-LEARN)による研修の実施・評価と更新
E-LEARNの進捗や学術面での情報共有を行い、プログラムの見直し・更新を行った。また、普及啓発の一貫として、地域でのリンパ浮腫診療に関する講演会を実施、地域や外来でのリンパ浮腫診療に関する動画コンテンツを作成し、ホームページ上で公開した。また、リンパ浮腫研修協力団体との意見交換会、交流研修会を実施した。
③開発した研修プログラムの臨床現場における有用性を踏まえた検証
研修終了後に、開発された研修プログラムの効果の検証を行うため研修直後のアンケートを実施、研修終了6か月後のアンケートを実施し分析を行った。
④適切ながんリハビリ診療の実施に向けた提案
がんのリハビリ・リンパ浮腫診療に携わる有識者やがん患者団体の委員を対象としたグループワークを実施し、今後のがん診療連携拠点病院等のがん専門医療機関におけるリハビリのあり方や研修のあり方を検討、適切ながんリハビリ・リンパ浮腫診療の実施に向けた提案書を作成した。
以上、研究は交付申請時の計画どおり、遅滞なく実施され終了した。第3期がん対策基本計画では、がんのリハビリ診療は重点課題とされ、がん医療におけるリハビリ診療の重要性は益々増している。本研究の成果により、各地域の拠点病院等でのがんのリハビリ診療が普及し均てん化が促進した。
結論
本研究課題では、がん診療やがんリハ関連の学協会、がん有識者(患者会代表等)と協力体制をとりつつ、1)開発した研修プログラムでの研修の実施し、その効果を検証し、全国のがんのリハビリ研修で導入すること、2)がん専門医療機関での入院リハビリとともに、外来や地域における適切ながんのリハビリ診療やリンパ浮腫診療の実施に向けた提案を行うことを目的とした。研究期間中、研究は一貫して交付申請時の計画どおりに遅滞なく研究は実施され、一定の成果が得られた。CAREER 研修のように全国的に標準化された研修が展開されている国はほかにはなく、我が国の研修システムは世界最先端である。欧米のみならず、今後がんが重要な社会問題となっていくアジア諸国を先導する立場にあり、その役割は重要である。

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202208034C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究課題では、がんリハビリを効果的に実施するために開発した標準的な研修プログラムを普及させる体制を構築し、開発した研修プログラムによる(厚労省後援)がんのリハビリ研修を全国で実施し、研修後の経時的なアンケート調査により、効果的な研修であることが検証された。また、がん専門医療機関や地域において適切ながんリハビリ診療やリンパ浮腫診療の実施に向けた提案や普及啓発の取り組みを行った。本研究成果や研修プログラムの有用性の検証に関して、国際的な学術誌への投稿や学会での発表を準備中である。
臨床的観点からの成果
がんリハビリを効果的に実施するために開発した研修プログラムを普及させる体制を構築し、開発した研修プログラムによる(厚労省後援)がんのリハビリ研修を全国で実施した。また、がん専門医療機関や地域における適切ながんリハビリ診療の実施に向けた提案や普及啓発の取り組みを行った。本研究の成果により、がんリハビリ専門家が増加し、入院・外来や地域でのリハビリプログラムが提供されることで、社会復帰と自宅療養の促進が見込まれる。さらに、がんの後遺症減少によりQOL向上や健康寿命延伸、医療資源効率化も期待される。
ガイドライン等の開発
特記すべきものなし。
その他行政的観点からの成果
(厚労省後援)がんのリハビリテーション研修、リンパ浮腫研修は、「がん患者リハビリテーション料」や「リンパ浮腫複合的治療料」の算定要件を満たす研修であり、本研究課題のそれらの研修のクオリティーの担保(内容のアップデート、研修方法の改訂など)に寄与した。また、第4次がん対策基本計画の策定においては、厚労省健康増進・がん対策推進課の担当技官との面談を通じて、本研究班の活動実績を報告し、基本計画の中での、がんリハビリテーションやリンパ浮腫診療の記載の参考資料となった。
その他のインパクト
研究成果が分かるホームページの作成を行った(https://lpc.or.jp/cre/)
がんのリハビリテーション講演会を2回(2021年10月30日・11月20日)、地域でのリンパ浮腫診療に関する講演会を1回(2022年3月5日)実施した。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
36件
その他論文(和文)
8件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
50件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
4件
講演会3件、ホームページ1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
2024-05-30

収支報告書

文献番号
202208034Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,375,000円
(2)補助金確定額
11,375,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 164,560円
人件費・謝金 3,121,879円
旅費 0円
その他 5,464,525円
間接経費 2,625,000円
合計 11,375,964円

備考

備考
自己充当のため、収入と支出額に差異を認める。

公開日・更新日

公開日
2024-04-04
更新日
-