ヒト組織・細胞の研究資源としての高度化と公共ヒト組織・細胞バンクの利用促進に関する研究

文献情報

文献番号
200908019A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト組織・細胞の研究資源としての高度化と公共ヒト組織・細胞バンクの利用促進に関する研究
課題番号
H21-政策創薬・一般-008
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
後藤 雄一(国立精神・神経センター 神経研究所疾病研究第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 西野 一三(国立精神・神経センター 神経研究所疾病研究第一部)
  • 小林 真一(聖マリアンナ医科大学 薬理学 )
  • 熊井 俊夫(聖マリアンナ医科大学 薬理学 )
  • 大段 秀樹(広島大学大学院 先進医療開発科学講座外科学)
  • 橋本 有弘(国立長寿医療センター 研究所再生再建医学研究部)
  • 清野 透(国立がんセンター研究所ウィルス部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
20,544,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、ヒト組織を公共バンクに分譲し、広く研究者に利用してもらうことが目的である。国立精神・神経センターに登録されている筋芽細胞から代表的な疾患の不死化細胞を構築し、公共バンクに分譲する。また将来我が国の各医療機関でも構築が可能なヒト組織提供機関としてのモデルシステムを完成させるとともに、提供施設間のネットワークなどを通じて本事業の効率化や省力化を図ることを目的としている。
研究方法
1)骨格筋及び筋芽細胞提供医療施設内の試料と情報の管理システム整備(国立精神・神経センター)
2)筋芽細胞の不死化及び分化能の検討(国立精神・神経センター)
3)肝組織等提供医療施設の試料と情報の管理システムの整備(聖マリアンナ医大、広島大学)
4)ヒト肝細胞の公的資源化(広島大学)
結果と考察
1)平成21年12月末現在で、総凍結筋は11,469検体に達し、このシステムを基盤にして患者骨格筋から筋芽細胞を樹立し、その数は1034検体に達した。これらの試料を用いて、遠位型ミオパチー等の筋疾患の病態、治療研究の成果が上がった。
2)代表的な筋疾患患者由来筋芽細胞に、変異CDK4+Cyclin D1+hTERTを導入して細胞を不死化させた。さらに不死化した細胞の筋分化能、染色体安定性を検討し、分化能を保持したまま不死化されることを確認した。この不死化細胞樹立の方法は、従来の従来の方法に比べ優れており、研究上で優先度の高い筋芽細胞に対してこの方法を応用した不死化筋芽細胞パネルを樹立し、公共バンクへの細胞株提供を行うことが可能となった。
3)聖マリアンナ大学では今年度は47例の肝、小腸組織が、学内、HSRRBへ提供された。本事業における同意取得率は87%と高く、研究資源が効率的に得られていることを示している。CRCと組織採取にかかわる人員をそれぞれ増員して、教育・研修を行った。また広島大学では、肝組織検体2検体をHS財団に提供した。
5)広島大学では、日本人の肝細胞を本邦で初めて公的資源化することに成功し、今年度は1検体をHS財団に提供した。
結論
本研究により、筋レポジトリーの高度化を推進した。また試料提供施設の運営に必要なノウハウが獲得できた。ヒト肝細胞の資源化が実現し、肝組織と合わせHSRRBへの試料提供を着実に行った。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-