がん診療連携拠点病院等の施設間の支持療法の均てん化の実現に資する研究

文献情報

文献番号
202208033A
報告書区分
総括
研究課題名
がん診療連携拠点病院等の施設間の支持療法の均てん化の実現に資する研究
課題番号
21EA1006
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
全田 貞幹(国立研究開発法人国立がん研究センター 東病院 放射線治療科)
研究分担者(所属機関)
  • 佐伯 俊昭(埼玉医科大学 国際医療センター乳腺腫瘍科)
  • 内富 庸介(国立研究開発法人 国立がん研究センター 中央病院 支持療法開発部門)
  • 島津 太一(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 行動科学研究部)
  • 渡邊 清高(帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科)
  • 秋山 暢(帝京大学 医学部)
  • 奥山 絢子(聖路加国際大学 看護学研究科)
  • 中田 千博(国立研究開発法人 国立がん研究センター 東病院 薬剤部)
  • 吉田 陽一郎(福岡大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究の目的:我々は「実地臨床における支持療法の実装実態及び普及阻害/促進要因に関する研究(19EA1009)」の中で、抗がん剤による悪心嘔吐(CINV)や発熱性好中球減少(FN)対策といった単職種で出来る単一介入(Single intervention)の普及状況についてCINVについては半構造化インタビュー調査を用い都市部のがん専門病院における実装の仕組みを明らかにし、FNではJASCC/JSMO/日本乳癌学会/日本血液学会の協力を得て量的調査を行い実態把握した。一方せん妄対策などの複合的介入では普及の前段階での検証的試験が不足していることが明らかになった。
それらを踏まえ、今回の研究では支持療法の普及実装のセンサーを単一介入に限定し
① CINVにおいて一般病院、地方部での半構造化インタビューを実施し都市部がん専門病院での結果と併せて解析する。
② FNにおいては実態調査で明らかになった費用面やガイドラインの解釈の乖離について半構造化インタビューを用いて実装普及の阻害/促進要因について明らかにする。
研究方法
CINVに関して
本研究は、半構造化面接を用いた病院ベースの質的研究をおこなった。対象者は、病院長、がん化学療法部・薬剤部・看護部の管理者(代理を含む)で、合目的的サンプリングにより抽出する。化学療法レジメンに含まれる制吐剤、制吐剤のルーチン使用、ガイドラインの認知度などについて、事前アンケートで情報を収集した。
FNに関して
国立がん研究センター東病院を対象としたFNに関するインタビュー調査(pilot study)
対象職種:医師(腫瘍内科、血液内科、外来看護師、薬剤師)
インタビュー項目:実装研究のための統合フレームワーク(Consolidated Framework for Implementation Research、CFIR)のうち必要な項目/FNガイドラインの認知、G-CSFの使用に関する事項、FN高リスクレジメンの外来での使用に関する事項
日本がんサポーティブケア学会ならびに日本臨床腫瘍学会、日本乳癌学会、日本肺がん学会、日本血液学会の協力を得て各学会会員にアンケート参加を呼び掛けた。日本がんサポーティブ学会FN部会においてアンケートを作成し、SurveyMonkeyTMを用いてwebを介した無記名アンケートを実施した。アンケートは回答者の属性に関する7つの質問とGLに関する21の質問より構成され、質問には四肢一択(1いつも実施、2おおむね半分以上実施、3おおむね半分未満実施、4全く実施していない)と自由記載欄を設定した。回答の統計解析とコメントのテキストマイニングを、それぞれStatcel 3とKH coderで行った。
結果と考察
結果
CINVに関して
CINV班よりCFIRを用いたインタビュー調査の結果が報告された
FNに関して
日本臨床腫瘍学会(JSMO)は2017年に『発熱性好中球減少症(FN)に関するガイドライン(改訂第2版)』(GL)を発表した。本研究の目的は、化学療法に携わる医師を対象にGLの周知・使用ならびに推奨項目の遵守状況をアンケートにより調査し、GL勧告を遵守するための促進因子と阻害因子を明らかにすることである。
(方法)
2020年に日本がんサポーティブケア学会および日本臨床腫瘍学会、日本血液学会、日本乳癌学会の医師会員を対象にSurveyMonkeyTMによるアンケート調査を実施した。
(結果のサマリー)
GLの周知・使用ならびに推奨項目の遵守に関する質問21問、回答者の属性に関する質問7問について回答を求めた。
800件の回答が得られ分析可能な788件を解析した。
主な回答者は10年以上の経験を持つ専門家で、内科系医師が54%、外科系医師が46%であった。GLの周知・使用率ならびにGL推奨項目の遵守率を報告した。回答者の87%がGLを知っており、使用していた。
女性、JSMO会員、学会認定がん薬物療法専門医で、完全+部分遵守率が高かった。

考察
CINVに関して
支持療法はがん治療のレジメン登録の際に一緒に登録されていることが多く、登録されたレジメンを定期的に更新している施設は支持療法の部分もup-dateされている。

FNに関して
女性は男性に比べGLの遵守率が高い点については、複数の先行研究で同様の結果が示されている。JSMO会員やがん薬物療法専門医の遵守率が高かったのはJSMOの教育的側面がうまく機能していることを示唆していると考えられた。
結論
CINVに関して
レジメン登録とその更新をしっかり行っているかどうかが支持療法への関心を反映していることは明らかである。施設要件として提案してよいと思われる。

FNに関して
女性は男性に比べGLの利用率、遵守率が高かった。JSMO会員やがん薬物療法専門医でGLの遵守率が高かった。

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202208033B
報告書区分
総合
研究課題名
がん診療連携拠点病院等の施設間の支持療法の均てん化の実現に資する研究
課題番号
21EA1006
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
全田 貞幹(国立研究開発法人国立がん研究センター 東病院 放射線治療科)
研究分担者(所属機関)
  • 佐伯 俊昭(埼玉医科大学 国際医療センター乳腺腫瘍科)
  • 内富 庸介(国立研究開発法人 国立がん研究センター 中央病院 支持療法開発部門)
  • 島津 太一(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 行動科学研究部)
  • 渡邊 清高(帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科)
  • 秋山 暢(帝京大学 医学部)
  • 奥山 絢子(聖路加国際大学 看護学研究科)
  • 中田 千博(国立研究開発法人 国立がん研究センター 東病院 薬剤部)
  • 吉田 陽一郎(福岡大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究の目的:我々は「実地臨床における支持療法の実装実態及び普及阻害/促進要因に関する研究(19EA1009)」の中で、抗がん剤による悪心嘔吐(CINV)や発熱性好中球減少(FN)対策といった単職種で出来る単一介入(Single intervention)の普及状況についてCINVについては半構造化インタビュー調査を用い都市部のがん専門病院における実装の仕組みを明らかにし、FNではJASCC/JSMO/日本乳癌学会/日本血液学会の協力を得て量的調査を行い実態把握した。一方せん妄対策などの複合的介入では普及の前段階での検証的試験が不足していることが明らかになった。
それらを踏まえ、今回の研究では支持療法の普及実装のセンサーを単一介入に限定し
① CINVにおいて一般病院、地方部での半構造化インタビューを実施し都市部がん専門病院での結果と併せて解析する。
② FNにおいては実態調査で明らかになった費用面やガイドラインの解釈の乖離について半構造化インタビューを用いて実装普及の阻害/促進要因について明らかにする。
研究方法
CINVに関して
本研究は、半構造化面接を用いた病院ベースの質的研究をおこなった。対象者は、病院長、がん化学療法部・薬剤部・看護部の管理者(代理を含む)で、合目的的サンプリングにより抽出する。化学療法レジメンに含まれる制吐剤、制吐剤のルーチン使用、ガイドラインの認知度などについて、事前アンケートで情報を収集した。
FNに関して
国立がん研究センター東病院を対象としたFNに関するインタビュー調査(pilot study)
対象職種:医師(腫瘍内科、血液内科、外来看護師、薬剤師)
インタビュー項目:実装研究のための統合フレームワーク(Consolidated Framework for Implementation Research、CFIR)のうち必要な項目/FNガイドラインの認知、G-CSFの使用に関する事項、FN高リスクレジメンの外来での使用に関する事項
日本がんサポーティブケア学会ならびに日本臨床腫瘍学会、日本乳癌学会、日本肺がん学会、日本血液学会の協力を得て各学会会員にアンケート参加を呼び掛けた。日本がんサポーティブ学会FN部会においてアンケートを作成し、SurveyMonkeyTMを用いてwebを介した無記名アンケートを実施した。アンケートは回答者の属性に関する7つの質問とGLに関する21の質問より構成され、質問には四肢一択(1いつも実施、2おおむね半分以上実施、3おおむね半分未満実施、4全く実施していない)と自由記載欄を設定した。回答の統計解析とコメントのテキストマイニングを、それぞれStatcel 3とKH coderで行った。
結果と考察
CINVに関して
CINV班よりCFIRを用いたインタビュー調査の結果が報告された
FNに関して
日本臨床腫瘍学会(JSMO)は2017年に『発熱性好中球減少症(FN)に関するガイドライン(改訂第2版)』(GL)を発表した。本研究の目的は、化学療法に携わる医師を対象にGLの周知・使用ならびに推奨項目の遵守状況をアンケートにより調査し、GL勧告を遵守するための促進因子と阻害因子を明らかにすることである。
(方法)
2020年に日本がんサポーティブケア学会および日本臨床腫瘍学会、日本血液学会、日本乳癌学会の医師会員を対象にSurveyMonkeyTMによるアンケート調査を実施した。
(結果のサマリー)
GLの周知・使用ならびに推奨項目の遵守に関する質問21問、回答者の属性に関する質問7問について回答を求めた。
800件の回答が得られ分析可能な788件を解析した。
主な回答者は10年以上の経験を持つ専門家で、内科系医師が54%、外科系医師が46%であった。GLの周知・使用率ならびにGL推奨項目の遵守率を報告した。回答者の87%がGLを知っており、使用していた。
女性、JSMO会員、学会認定がん薬物療法専門医で、完全+部分遵守率が高かった。

考察
CINVに関して
支持療法はがん治療のレジメン登録の際に一緒に登録されていることが多く、登録されたレジメンを定期的に更新している施設は支持療法の部分もup-dateされている。

FNに関して
女性は男性に比べGLの遵守率が高い点については、複数の先行研究で同様の結果が示されている。JSMO会員やがん薬物療法専門医の遵守率が高かったのはJSMOの教育的側面がうまく機能していることを示唆していると考えられた。
結論
CINVに関して
レジメン登録とその更新をしっかり行っているかどうかが支持療法への関心を反映していることは明らかである。施設要件として提案してよいと思われる。

FNに関して
女性は男性に比べGLの利用率、遵守率が高かった。JSMO会員やがん薬物療法専門医でGLの遵守率が高かった。

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202208033C

収支報告書

文献番号
202208033Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,400,000円
(2)補助金確定額
6,942,644円
差引額 [(1)-(2)]
3,457,356円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,156,105円
人件費・謝金 1,744,938円
旅費 86,356円
その他 555,245円
間接経費 2,400,000円
合計 6,942,644円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2024-05-23
更新日
-