造血器腫瘍における遺伝子パネル検査の提供体制構築およびガイドライン作成

文献情報

文献番号
202208028A
報告書区分
総括
研究課題名
造血器腫瘍における遺伝子パネル検査の提供体制構築およびガイドライン作成
課題番号
20EA1029
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
赤司 浩一(国立大学法人九州大学 医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 前田 高宏(国立大学法人 九州大学 医学研究院)
  • 加留部 謙之輔(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 南谷 泰仁(東京大学医科学研究所)
  • 坂田 麻実子(柳元 麻実子)(筑波大学医学医療系)
  • 清井 仁(名古屋大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学)
  • 遠西 大輔(岡山大学病院 ゲノム医療総合推進センター)
  • 飯田 真介(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科 生体総合医療学講座 血液・腫瘍内科学分野)
  • 高折 晃史(京都大学 医学研究科)
  • 伊豆津 宏二(国立がん研究センター中央病院)
  • 三谷 絹子(獨協医科大学 医学部 内科学(血液・腫瘍)講座)
  • 鈴木 達也(国立研究開発法人 国立がん研究センター がんゲノム情報管理センター)
  • 片岡 圭亮(国立がん研究センター研究所 分子腫瘍学分野)
  • 村松 秀城(名古屋大学医学部附属病院小児科)
  • 吉田 輝彦(独立行政法人国立がん研究センター 研究所 遺伝医学研究分野)
  • 大賀 正一(国立大学法人九州大学 医学研究院成長発達医学分野)
  • 真田 昌(国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター高度診断研究部)
  • 加藤 元博(東京大学)
  • 李 政樹(名古屋市立大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
10,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1. 造血器腫瘍パネル検査の本邦における提供体制のあるべきかた 研究目的 ちの提案
2. 造血器腫瘍分野におけるパネル検査の使用ガイドラインの作成
研究方法
以下の6つの小班を設け、各班の課題に沿って研究を遂行した。
A班. 造血器腫瘍のパネル検査実施体制に関する検討班
B班. 造血器腫瘍に関連した生殖細胞系列の病的バリアントに関す研究方法 研究方法る検討班
C班. 治療薬アクセスに関する検討班
D班. データに関する検討班
E班. ガイドライン作成班
F班. ゲノム医療教育班
結果と考察
A班:造血器腫瘍及びその類縁疾患におけるパネル検査の有用性と意義、本邦における造血器腫瘍診療の現状とパネル検査臨床実装に向けた課題、造血器腫瘍に対するがんゲノム医療提供体制に関する問題点を検討し、指針に取りまとめた。また、海外における造血器腫瘍パネル検査の実施状況を外部調査機関に依頼し取りまとめた。
B班:造血器腫瘍及びその類縁疾患に関連した生殖細胞系列の病的バリアントについて総合的に検討し、その特性、バリアントの由来の判断基準、病的バリアントの開示について、生殖細胞系列の病的バリアントの特性をふまえた造血器腫瘍パネル検査のあり方、造血器分野の遺伝カウンセリング体制のあり方、同種造血細胞移植ドナーに認めた生殖細胞系列バリアントの取り扱いについて検討し指針に取りまとめた。
C班:本邦における治療薬のアクセスに関する現状と課題、治験情報の集約・公開方法についての課題、小児患者への対応、リアルワールドデータの活用に付いて検討し指針に取りまとめた。
D班:パネル検査から得られるゲノム情報の管理と活用について、造血器腫瘍パネル検査のシークエンスデータ・臨床情報の収集について、造血器腫瘍パネル検査のC-CAT調査結果のあり方について、造血器腫瘍パネル検査における倫理的・法的・社会的課題(ELSI)に付いて検討し指針に取りまとめた。また、パネル検査の臨床実装に向けて、C-CAT側と問題点を洗い出し、造血器腫瘍臨床の特性に即したデータ管理のあり方に関して検討した。
E班:パネル検査実施ガイドライン作成のため、既存の遺伝子検査との位置づけ、パネル検査に使用する検体の取り扱いに関して検討し、指針に取りまとめた。さらに、保険診療下で造血器腫瘍パネル検査を実施するにあたって、日本血液学会の推奨度にくわえて、1)造血器腫瘍のゲノム医療に対応可能な検査体制・施設体系; 2)パネル検査に対応可能なEP開催の実現可能性・想定される各施設における実務的負荷; 3)医療経済に及ぼす影響、等を考慮し、保険診療下での造血器腫瘍パネル検査使用指針を取りまとめた。
F班:造血器腫瘍分野におけるゲノム医療教育と人材育成について血液内科医のゲノム医療に関する理解と認識の現状を把握し、ゲノム医療教育のあり方、造血器分野におけるゲノム医療人材育成のあり方に関して検討し指針に取りまとめた。また、日本血液学会、リンパ網内系学会等と協力し年次総会における教育セミナーを開催した。
結論
固形がん臨床においては、分子標的薬の適応決定がパネル検査の主目的である。一方で、造血器腫瘍臨床で は、分子標的薬の適応決定のみならず、「診断」、「予後予測」、「治療法選択」の各観点からパネル検査が有用 であり、造血器腫瘍及びその類縁疾患患者を対象としたパネル検査の最適な使用方法、運用方法は、固形がん のそれとは必ずしも同様でない。本研究班では、保険診療下での造血器腫瘍遺伝子パネル検査のあるべき姿 を提示すべく、パネル検査の実施施設体系、造血器腫瘍臨床におけるパネル検査の臨床的有用性、データ管理 のあり方、薬剤到達性、造血器腫瘍に特徴的な生殖細胞系列の病的バリアントへの対応、ゲノム医療教育・人 材育成等、様々な観点から検討を重ねた。さらに、日本血液学会が提唱する科学的エビデンスに基づいた推奨 度にくわえて、1)造血器腫瘍のゲノム医療に対応可能な検査体制・施設体系; 2)造血器腫瘍パネル検査に 対応可能な EP 開催の実現可能性・想定される各施設における実務的負荷; 3)医療経済に及ぼす影響等をふ まえ、「保険診療下での造血器腫瘍パネル検査使用指針」を発表した。

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202208028B
報告書区分
総合
研究課題名
造血器腫瘍における遺伝子パネル検査の提供体制構築およびガイドライン作成
課題番号
20EA1029
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
赤司 浩一(国立大学法人九州大学 医学研究院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.造血器腫瘍パネル検査の本邦における提供体制のあるべきかたちの提案
2.造血器腫瘍分野におけるパネル検査の使用ガイドラインの作成
研究方法
以下の6つの小班を設け、各班の課題に沿って研究を遂行した。 A班. 造血器腫瘍のパネル検査実施体制に関する検討班
B班. 造血器腫瘍に関連した生殖細胞系列の病的バリアントに関す 研究方法 研究方法る検討班
C班. 治療薬アクセスに関する検討班
D班. データに関する検討班
E班. ガイドライン作成班
F班. ゲノム医療教育班
結果と考察
A班:造血器腫瘍及びその類縁疾患におけるパネル検査の有用性と意義、本邦における造血器腫瘍診療の現状とパネル検査臨床実装に向けた課題、造血器腫瘍に対するがんゲノム医療提供体制に関する問題点を検討し、指針に取りまとめた。また、海外における造血器腫瘍パネル検査の実施状況を外部調査機関に依頼し取りまとめた。
B班:造血器腫瘍及びその類縁疾患に関連した生殖細胞系列の病的バリアントについて総合的に検討し、その特性、バリアントの由来の判断基準、病的バリアントの開示について、生殖細胞系列の病的バリアントの特性をふまえた造血器腫瘍パネル検査のあり方、造血器分野の遺伝カウンセリング体制のあり方、同種造血細胞移植ドナーに認めた生殖細胞系列バリアントの取り扱いについて検討し指針に取りまとめた。
C班:本邦における治療薬のアクセスに関する現状と課題、治験情報の集約・公開方法についての課題、小児患者への対応、リアルワールドデータの活用に付いて検討し指針に取りまとめた。
D班:パネル検査から得られるゲノム情報の管理と活用について、造血器腫瘍パネル検査のシークエンスデータ・臨床情報の収集について、造血器腫瘍パネル検査のC-CAT調査結果のあり方について、造血器腫瘍パネル検査における倫理的・法的・社会的課題(ELSI)に付いて検討し指針に取りまとめた。また、パネル検査の臨床実装に向けて、C-CAT側と問題点を洗い出し、造血器腫瘍臨床の特性に即したデータ管理のあり方に関して検討した。
E班:パネル検査実施ガイドライン作成のため、既存の遺伝子検査との位置づけ、パネル検査に使用する検体の取り扱いに関して検討し、指針に取りまとめた。さらに、保険診療下で造血器腫瘍パネル検査を実施するにあたって、日本血液学会の推奨度にくわえて、1)造血器腫瘍のゲノム医療に対応可能な検査体制・施設体系; 2)パネル検査に対応可能なEP開催の実現可能性・想定される各施設における実務的負荷; 3)医療経済に及ぼす影響、等を考慮し、保険診療下での造血器腫瘍パネル検査使用指針を取りまとめた。
F班:造血器腫瘍分野におけるゲノム医療教育と人材育成について、血液内科医のゲノム医療に関する理解と認識の現状を把握し、ゲノム医療教育のあり方、造血器分野におけるゲノム医療人材育成のあり方に関して検討し、指針に取りまとめた。また、日本血液学会、リンパ網内系学会等と協力し、年次総会における教育セミナーを開催した。
結論
固形がん臨床においては、分子標的薬の適応決定がパネル検査の主目的である。一方で、造血器腫瘍臨床では、分子標的薬の適応決定のみならず、「診断」、「予後予測」、「治療法選択」の各観点からパネル検査が有用であり、造血器腫瘍及びその類縁疾患患者を対象としたパネル検査の最適な使用方法、運用方法は、固形がんのそれとは必ずしも同様でない。本研究班では、保険診療下での造血器腫瘍遺伝子パネル検査のあるべき姿を提示すべく、パネル検査の実施施設体系、造血器腫瘍臨床におけるパネル検査の臨床的有用性、データ管理のあり方、薬剤到達性、造血器腫瘍に特徴的な生殖細胞系列の病的バリアントへの対応、ゲノム医療教育・人材育成等、様々な観点から検討を重ねた。さらに、日本血液学会が提唱する科学的エビデンスに基づいた推奨度にくわえて、1)造血器腫瘍のゲノム医療に対応可能な検査体制・施設体系; 2)造血器腫瘍パネル検査に対応可能なEP開催の実現可能性・想定される各施設における実務的負荷; 3)医療経済に及ぼす影響等をふまえ、「保険診療下での造血器腫瘍パネル検査使用指針」を発表した。

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202208028C

成果

専門的・学術的観点からの成果
日本血液学会のゲノム医療委員会委員を中心とした、造血器腫瘍の基礎・臨床の専門家、造血器腫瘍のゲノム研究の専門家からなる班員の活動により、造血器腫瘍を対象とした遺伝子パネル検査の臨床実装に向けたガイドラインを作成した。
臨床的観点からの成果
固形がん分野における遺伝子パネル検査の実施状況(施設体系、検査対象疾患、検査提出時期など)に鑑み、造血器腫瘍臨床の特殊性、本邦における造血器腫瘍臨床体系の現状をふまえ、造血器腫瘍の遺伝子パネル検査のあるべき姿を提言した。
ガイドライン等の開発
「造血器腫瘍における遺伝子パネル検査体制のあり方とその使用指針」を作成した。本指針は2022年10月、日本血液学会を通じて広く造血器腫瘍臨床に携わる医療関係者に周知した。造血器腫瘍臨床に携わる多くの医療従事者にとって、ゲノム医療に関する理解を深める一助となると考えられる。
その他行政的観点からの成果
今後保険診療下での造血器腫瘍パネル検査の適用を検討する際には、本指針がその基盤となる知見を提供する。
その他のインパクト
「造血器腫瘍における遺伝子パネル検査体制のあり方とその使用指針」は、造血器腫瘍臨床・研究に携わる医療関係者、患者とその家族にとって、造血器腫瘍のゲノム医療への理解を深めるうえで基盤となる知見を提供する。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

収支報告書

文献番号
202208028Z