文献情報
文献番号
202208014A
報告書区分
総括
研究課題名
がん患者の個々のニーズに応じた質の高い相談支援の体制整備のあり方に関する研究
課題番号
20EA1015
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
高山 智子(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所 がん情報提供部)
研究分担者(所属機関)
- 塚本 憲史(群馬大学医学部附属病院)
- 石井 亜矢乃(岡山大学病院 総合患者支援センター)
- 鈴宮 淳司(島根大学医学部附属病院腫瘍センター)
- 藤 也寸志(国立病院機構 九州がんセンター)
- 内村 祐之(東京医科歯科大学 医学部附属病院医療情報部)
- 近藤 まゆみ(北里大学病院 看護部)
- 八巻 知香子(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所 がん情報提供部)
- 品田 雄市(東京医科大学 八王子医療センター 総合相談・支援センター)
- 清水 奈緒美(地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター 看護局)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
7,360,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、がん患者の個々のニーズに応じた質の高い相談支援を提供するために環境整備が不可欠であることから、以下3つの観点から検討し提言を行うことを目的とした。1)迅速な情報作成と活用につなげるため、全国のがん相談支援センター(以下、相談支援センター)における相談内容の定期的・継続的な収集方法を確立する。2)医療環境の変化に対応できる相談支援センターの地域や病院内のがん情報支援拠点としての機能を充実させるがん専門相談員(以下、相談員)の教育・研修プログラムを開発・評価し、継続的かつ効果的・効率的に実施するために必要な体制を策定する。3)相談支援センターの効果的な周知方法を確立する。
研究方法
目的1)の相談内容の定期的・継続的な収集方法の確立に向けた検討では、(1)相談支援内容の分析と分類のプログラム開発、(2)相談支援内容の分析と分類のがん相談対応施設での検証、(3)相談支援活動の見える化(ベンチマーク測定)に向けた検討を行った。また目的2)の教育・研修プログラムの開発・評価および実施に必要な体制や方策の検討では、(1)研修プログラムの評価、(2)相談員が求める教育・研修の検討、(3)他スタッフの支援状況と相談支援センターの活動に関する検討を行った。目的3)の相談支援センターの効果的な周知方法の検討では、(1)医師へのインタビュー調査、(2)がん関連学会の医師を対象としたがん相談支援センターの認識調査、(3)拠点病院内での効果的な相談支援センターの情報資材(冊子)配布方法の検討、(4)拠点病院内での効果的な冊子の実践事例による検討を行った。
結果と考察
目的1)過去のがん相談内容と対応内容のデータ(1施設)をもとに行った頻出語のWordCloudによるビジュアル化と単語の出現回数の可視化により、臨床に即した結果の提示や、教育や相談の質保証に応用可能であると考えられた。一方で、相談記録の記載方法の共通化や臨床現場での対応負荷の軽減が課題であり、そのための活用条件の整理や支援の検討が必要であると考えられた。目的2)2日間の地域展開用「情報支援研修」のうち1日のプログラムを地域主体の複数県で開催した。研修は実施可能で、満足度、知識、行動の観点からも有用であると評価された。相談員の教育・研修受講全般に対する意向は高く、組織の理解やサポート等が得られるよう継続教育の環境を整備が求められる。また院内外のスタッフによる相談支援センターに対する支援があることが、拠点病院内の相談支援活動の充実にもつながる可能性が示唆された。目的3)医師をはじめとする拠点病院内スタッフに相談支援センターの活動内容を周知することで、拠点病院として求められる全人的な相談対応の充実を目指し、患者や家族等が相談しやすい環境を整えていくことにもつながると考えられた。
結論
本研究で行った3つの観点での検討いずれにおいても、個々のプログラムの実践による効果が期待される結果であった。相談員の学習意欲は高い。一方で、相談記入シートをはじめとする情報収集/提供に伴う現場の負荷は高く、外部からの支援等を含めた検討も持続可能な相談支援の整備には不可欠であると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2023-07-04
更新日
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