文献情報
文献番号
202208012A
報告書区分
総括
研究課題名
がん患者のディーセント・ワーク実現のための就労継続・職場復帰プログラムの実用化研究
課題番号
20EA1013
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
土井 俊彦(国立研究開発法人 国立がん研究センター 東病院 先端医療科)
研究分担者(所属機関)
- 西田 俊朗(独立行政法人 地域医療機能推進機構 大阪病院)
- 坂本 はと恵(国立研究開発法人国立がん研究センター東病院 サポーティブケア室)
- 坪井 正博(国立がん研究センター 東病院呼吸器外科)
- 立道 昌幸(東海大学医学部)
- 堀之内 秀仁(独立行政法人国立がん研究センター中央病院 呼吸器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、がん確定診断前後からの離職予防、治療開始後の仕事と治療の両立支援を目的として、先行研究で確立した「『仕事とがん治療の両立 お役立ちノート』(以下、お役立ちノート)を用いた両立支援プログラム ver1.0」(以下、両立支援プログラム)」の最適化、最良化、普及と社会実装化を目指す。
研究方法
(1)お役立ちノート及び介入マニュアルの妥当性検証と改良
(2)お役立ちノートを用いて行う両立支援プログラムの社会実装化に向けた有用性検証
(3)新しい地域包括型両立支援プログラムおよび就労支援プラットフォームの開発を行う。
(2)お役立ちノートを用いて行う両立支援プログラムの社会実装化に向けた有用性検証
(3)新しい地域包括型両立支援プログラムおよび就労支援プラットフォームの開発を行う。
結果と考察
1.“仕事とがん治療の両立 お役立ちノート”(お役立ちノート)および介入マニュアルの妥当性検証と改良
1)追加コンテンツの作成と運用
2020年度に実施したヒアリング(事業所および医療機関、患者)の結果で追加情報として高いニーズが示された、がん治療の概略・スキンケア・がん治療と食事等の情報に関し、2021年度に引き続き動画の作成を作成しYouTubeにて公開した。また、疼痛緩和や周囲とのコミュニケーション等、体系的な情報提供と理解が必要と考えられる事柄に関しては2021年9月から運用を開始したオンラインセミナー形式を継続開催した。
2)改良版お役立ちノート(WEB版)を用いた両立支援プログラムに対応可能な介入マニュアル作成
2020年度に実施した医療機関対象のヒアリングにおいて、両立支援に携わる、がん専門相談員らの「就労支援に関する実践経験に乏しく自信がない」といった実践上の課題や、がん治療が社会生活に及ぼす影響・ケアのあり方を体系的に学びの場へのニーズが明らかになっている。
このニーズに対応すべく、2022年度は介入マニュアルの補遺版として実践研修の構築に向けた協議を行った。
2.お役立ちノートを用いて行う両立支援プログラムの社会実装化に向けた有用性検証
研究1.1)追加コンテンツの有用性検証を行った。2022年度は25動画公開と5本のオンラインセミナーを5回開催、動画視聴は月平均11,530回の再生回数(前年度比263.9%)と拡大、オンラインセミナーは5回開催し、利用者居住地は全国47都道府県よりのべ3,434名参加、内訳として参加者のうち事業主は11.2%と、本試験運用の評価指標である事業主の参加率向上、AYA世代参加率が19%向上、広域からの参加実現、の点において一定の効果が得られている。尚、各セミナーの対象者は患者・家族、事業主、その他支援者、としたが、43.4%が医療従事者を占める結果となった。医療従事者のうち約9割が相談支援部門職員であり、相談員自身の学びの場としての活用実績がみられたほか、参加者である医療従事者が情報の媒体者となる形で参加者が増加する地域が見られた。
3.新しい地域包括型両立支援プログラムおよび就労支援プラットフォームの開発
本研究では、従来の事業所に勤務する患者を主たる支援対象者とした両立支援プログラムに加え、これまで十分に支援されてこなかった、就労未経験者・自営業や家内労働の人材を含むあたらしい地域包括型両立支援プログラムやプラットフォーム構築を目指している。
実証フィールドとして、“メタジョブ”プロジェクトチーム(Moon Creative Lab)が有するバーチャル空間を用いた就労マッチングおよびキャリア支援プログラムを展開することとし、2023年3月より試験運用を開始した。
4.両立支援プログラムの付加価値の検討
両立支援プログラムの普及には、就労支援の基幹となるがん拠点病院等医療機関、産業保健総合支援センター、事業所間のトライアングルサポートの情報共有と協調的支援が重要である。本課題をクリアすべく、2021年10月より個人情報が配慮され、かつPCやタブレット等端末を選ばすにデータアクセス可能なクラウド環境を有する企業のヘルスデータバンクとの連動について協議を開始している。引き続き協議を重ね、IoTプラットフォーム構築を目指す予定である。
1)追加コンテンツの作成と運用
2020年度に実施したヒアリング(事業所および医療機関、患者)の結果で追加情報として高いニーズが示された、がん治療の概略・スキンケア・がん治療と食事等の情報に関し、2021年度に引き続き動画の作成を作成しYouTubeにて公開した。また、疼痛緩和や周囲とのコミュニケーション等、体系的な情報提供と理解が必要と考えられる事柄に関しては2021年9月から運用を開始したオンラインセミナー形式を継続開催した。
2)改良版お役立ちノート(WEB版)を用いた両立支援プログラムに対応可能な介入マニュアル作成
2020年度に実施した医療機関対象のヒアリングにおいて、両立支援に携わる、がん専門相談員らの「就労支援に関する実践経験に乏しく自信がない」といった実践上の課題や、がん治療が社会生活に及ぼす影響・ケアのあり方を体系的に学びの場へのニーズが明らかになっている。
このニーズに対応すべく、2022年度は介入マニュアルの補遺版として実践研修の構築に向けた協議を行った。
2.お役立ちノートを用いて行う両立支援プログラムの社会実装化に向けた有用性検証
研究1.1)追加コンテンツの有用性検証を行った。2022年度は25動画公開と5本のオンラインセミナーを5回開催、動画視聴は月平均11,530回の再生回数(前年度比263.9%)と拡大、オンラインセミナーは5回開催し、利用者居住地は全国47都道府県よりのべ3,434名参加、内訳として参加者のうち事業主は11.2%と、本試験運用の評価指標である事業主の参加率向上、AYA世代参加率が19%向上、広域からの参加実現、の点において一定の効果が得られている。尚、各セミナーの対象者は患者・家族、事業主、その他支援者、としたが、43.4%が医療従事者を占める結果となった。医療従事者のうち約9割が相談支援部門職員であり、相談員自身の学びの場としての活用実績がみられたほか、参加者である医療従事者が情報の媒体者となる形で参加者が増加する地域が見られた。
3.新しい地域包括型両立支援プログラムおよび就労支援プラットフォームの開発
本研究では、従来の事業所に勤務する患者を主たる支援対象者とした両立支援プログラムに加え、これまで十分に支援されてこなかった、就労未経験者・自営業や家内労働の人材を含むあたらしい地域包括型両立支援プログラムやプラットフォーム構築を目指している。
実証フィールドとして、“メタジョブ”プロジェクトチーム(Moon Creative Lab)が有するバーチャル空間を用いた就労マッチングおよびキャリア支援プログラムを展開することとし、2023年3月より試験運用を開始した。
4.両立支援プログラムの付加価値の検討
両立支援プログラムの普及には、就労支援の基幹となるがん拠点病院等医療機関、産業保健総合支援センター、事業所間のトライアングルサポートの情報共有と協調的支援が重要である。本課題をクリアすべく、2021年10月より個人情報が配慮され、かつPCやタブレット等端末を選ばすにデータアクセス可能なクラウド環境を有する企業のヘルスデータバンクとの連動について協議を開始している。引き続き協議を重ね、IoTプラットフォーム構築を目指す予定である。
結論
両立支援プログラムのWEB化により利用者数・層ともに波及効果が確認された一方で、核となる医療者不在の地域では十分に向上が得られないこと、相談支援部門担当者の就労支援に関する実践経験や学習機会の乏しさ、就労未経験者・非正規雇用等の晩期合併症等による長期的活動制限に配慮した短時間勤務やワークシェアを含むオンライン就労システムの新たなニーズが確認された。
公開日・更新日
公開日
2023-07-04
更新日
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