文献情報
文献番号
200907011A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模発現解析より得られた新規酵素心臓特異的ミオシン軽鎖キナーゼ(cardiacMLCK)を利用した心不全治療薬・診断マーカーの開発
課題番号
H20-ゲノム・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
北風 政史(国立循環器病センター 臨床研究開発部)
研究分担者(所属機関)
- 高島 成二(大阪大学大学院 医学系研究科)
- 南野 哲男(大阪大学大学院 医学系研究科)
- 朝倉 正紀(国立循環器病センター 心臓血管内科)
- 小室 一成(千葉大学大学院 医学研究院)
- 筒井 裕之(北海道大学大学院 医学系研究科)
- 室原 豊明(名古屋大学大学院 医学系研究科)
- 浅沼 博司(近畿大学 医学部附属病院 救急診療科)
- 古川 秀比古(第一三共株式会社 抗体医薬研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(ヒトゲノムテーラーメード研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
38,185,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
心不全は高齢化社会の進行と共に急速に増加しており社会的にも重要な疾患である。しかし、いまだその病態は不明な点が多い。また治療法も限られており、新たな治療標的の同定が待たれている。
近年の遺伝子解析技術の進歩により、疾患をもつ臓器の遺伝子発現を網羅的に解析することが可能となった。その膨大なデータの中から創薬対象となる遺伝子を抽出し、詳細に解析を行うことが、これらの解析を臨床応用に結びつけるための重要な課題である。
本研究は、重症心不全患者心の遺伝子発現の詳細な解析から得られた情報をもとに新規の病態遺伝子を発見し、その物質を利用した心不全治療薬をめざす。研究期間内にそれらの遺伝子産物をもとにした新しい診断薬等の開発をめざすことを目的とする。
近年の遺伝子解析技術の進歩により、疾患をもつ臓器の遺伝子発現を網羅的に解析することが可能となった。その膨大なデータの中から創薬対象となる遺伝子を抽出し、詳細に解析を行うことが、これらの解析を臨床応用に結びつけるための重要な課題である。
本研究は、重症心不全患者心の遺伝子発現の詳細な解析から得られた情報をもとに新規の病態遺伝子を発見し、その物質を利用した心不全治療薬をめざす。研究期間内にそれらの遺伝子産物をもとにした新しい診断薬等の開発をめざすことを目的とする。
研究方法
重症心不全の心筋における遺伝子発現解析により、患者の病態と相関して発現変化する新規遺伝子cardiacMLCKを同定した。そこでcardiacMLCKの生体内および生体外における生化学的・生理学的役割を細胞および動物をもちいて検討した。さらにcardiacMLCKを心不全診断マーカーとして使用するためヒト血中測定法の確立をおこなった。
結果と考察
cardiacMLCKは極めて特異的に心臓に発現していた。また、培養細胞を用いた生体外および各種実験動物を使用した生体内での機能解析によって、cardiacMLCKは心臓における収縮構造蛋白の構築、心臓の収縮性の制御に重要な働きを示すことが示された。これらの作用の分子基盤を明らかにするためにcardiacMLCKによりリン酸化された基質とのみ結合する蛋白のスクリーニングを行いあらたな結合蛋白の同定にいたった。この蛋白は新たな心不全の治療・診断標的となると期待される。さらに血中のcardiacMLCKを測定する系を確立した。今後、心血管疾患の診断マーカーとしての応用を図る。
結論
重症心不全患者の協力のもとで行われた大規模な遺伝子発現解析により、新規心不全治療薬の標的候補であるcardiacMLCKを同定し、その機能解析を行った。その診断マーカーとしての応用に向けて血中濃度測定系を確立した。今後さらにcardiacMLCKの阻害剤、活性促進剤などの新たな心不全治療薬の開発に向けた研究を進める予定である。
公開日・更新日
公開日
2011-05-30
更新日
-