関節リウマチをモデルとした病型・病態進行予測ツールおよび遺伝子検査システムの開発

文献情報

文献番号
200907009A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチをモデルとした病型・病態進行予測ツールおよび遺伝子検査システムの開発
課題番号
H20-ゲノム・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
猪子 英俊(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 井ノ上 逸朗(東海大学 医学部)
  • 田中 正史(東海大学 医学部)
  • 岡 晃(東海大学 医学部)
  • 光永 滋樹(東海大学 医学部)
  • 木下 健司(武庫川女子大学 薬学部)
  • 太田 正穂(信州大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(ヒトゲノムテーラーメード研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
40,543,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
診療情報と遺伝子多型の情報を解析することにより関節リウマチ発症の初期に病型・病態進行を予測するアルゴリズムの開発と、アルゴリズムに必要な遺伝子多型のタイピングシステムの開発を行う。
研究方法
関節リウマチ感受性遺伝子領域のSNP解析、HLAタイピング、メタアナリシスと易罹患性モデルの構築、等温増幅法による遺伝子多型解析の開発を行った。
結果と考察
関節リウマチの病型をムチランス型、多関節進行型、少関節型に分け、SNPと病型との関連を調べたところ、5領域において病型との有意な関連が見出された。HLA classII 領域では少関節型、CD244遺伝子領域ではムチランス型、MRPL48遺伝子領域では少関節型、PRKCH遺伝子領域ではRF陰性、FTO遺伝子領域ではムチランス型との関連がそれぞれ認められた。HLAとの関連では、多関節進行型はDRB1*04:01、少関節型はDRB1*10:01、ムチランス型はA*24:02との関連を示した。HLA遺伝子型ではDRB1*04:05, 09:01 が多関節進行型との関連を示した。メタアナリシスの情報をデータベースから網羅的に収集しベイズの定理を用いて、11 SNPsおよびHLA-DRB1の情報による評価モデル、genomic profileを構築した。Genomic profileに基づく遺伝的予測の正確度をROC曲線とそのAUC値によって評価したところ、遺伝的マーカーのみを用いた場合AUCは0.70であり、性別の効果を加えると0.74であった。これは遺伝的多型と性別の情報だけでも比較的精度の高い易罹患性予測が可能であることを示唆する。LAMPを用いた等温増幅における非特異的反応の多くは、DNA中にランダムに存在するニックが原因であると推定された。反応液組成を再検討し、非特異的反応を低減して本法の分解精度・信頼性を高めた。同法によりHLAおよびSNPタイピングが可能であった。さらにプラスチック基板上に複数のプローブを固定しマルチプレックス化を行い、可能であることを示した。
結論
構築した易罹患性予測アルゴリズムに、関節リウマチ病型とSNPおよびHLAアリルとの関連、さらに診療情報を組み合わせることにより、病型・病態進行予測ツールの開発が可能であると考えられる。また、予測ツールで必要となるHLA-DRB1とSNPを同一のプラットホーム上でタイピングすることが可能となった。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-