小児・AYA世代がん患者に対する生殖機能温存に関わる心理支援体制の均てん化と安全な長期検体保管体制の確立を志向した研究-患者本位のがん医療の実現を目指して

文献情報

文献番号
202208003A
報告書区分
総括
研究課題名
小児・AYA世代がん患者に対する生殖機能温存に関わる心理支援体制の均てん化と安全な長期検体保管体制の確立を志向した研究-患者本位のがん医療の実現を目指して
課題番号
20EA1004
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 直(聖マリアンナ医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小泉 智恵(獨協医科大学 医学部)
  • 津川 浩一郎(聖マリアンナ医科大学 外科学 乳腺・内分泌外科)
  • 杉本 公平(獨協医科大学越谷病院 リプロダクションセンター)
  • 川井 清考(高木 清考)(亀田総合病院 生殖医療科)
  • 福間 英祐(亀田総合病院乳腺科)
  • 古井 辰郎(岐阜大学大学院 医学系研究科)
  • 二村 学(岐阜大学大学院医学系研究科・腫瘍制御学講座 腫瘍外科学分野)
  • 高井 泰(埼玉医科大学総合医療センター産婦人科)
  • 松本 広志(埼玉県立がんセンター乳腺外科)
  • 大野 真司(がん研有明病院)
  • 山内 英子(聖路加国際大学 聖路加国際病院 ブレストセンター 乳腺外科)
  • 木村 文則(滋賀医科大学 医学部 )
  • 西山 博之(筑波大学医学医療系臨床医学域腎泌尿器外科学)
  • 根来 宏光(筑波大学 医学医療系)
  • 湯村 寧(横浜市立大学附属市民総合医療センター)
  • 高江 正道(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 杉下 陽堂(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 池田 智明(国立大学法人三重大学 医学系研究科)
  • 大須賀 穣(国立大学法人 東京大学 医学部附属病院)
  • 杉山 隆(国立大学法人愛媛大学 大学院医学系研究科)
  • 松本 公一(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 小児がんセンター)
  • 太田 邦明(東京労災病院 産婦人科)
  • 平山 雅浩(三重大学大学院医学系研究科臨床医学系講座小児科学分野)
  • 滝田 順子(京都大学 医学部 小児科)
  • 渡邊 知映(昭和大学 保健医療学部)
  • 堀江 昭史(京都大学 産科婦人科)
  • 小野 政徳(東京医科大学 医学部)
  • 宮地 充(京都府立医科大学大学院医学研究科小児発達医学)
  • 真部 淳(国立大学法人 北海道大学大学院 医学研究院 小児科学教室)
  • 慶野 大(神奈川県立こども医療センター 血液・腫瘍科)
  • 岩端 秀之(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 原田 美由紀(東京大学 医学部附属病院)
  • 鈴木 達也(自治医科大学 医学部)
  • 前沢 忠志(三重大学 医学部)
  • 竹中 基記(岐阜大学 医学部)
  • 奈良 和子(亀田総合病院 臨床心理室)
  • 北野 敦子(聖路加国際大学 聖路加国際病院)
  • 片桐 由起子(東邦大学 医学部産科婦人科学講座)
  • 高橋 俊文(福島県立医科大学 ふくしま子ども女性医療支援センター)
  • 佐藤 美紀子(浅井 美紀子)(日本大学 医学部)
  • 洞下 由記(奥津 由記)(聖マリアンナ医科大学 産婦人科学)
  • 久慈 志保(聖マリアンナ医科大学 医学部産婦人科学)
  • 中村 健太郎(聖マリアンナ医科大学 医学部産婦人科学)
  • 坂本 はと恵(国立研究開発法人国立がん研究センター東病院 サポーティブケア室)
  • 伊東 雅美(富山大学 医学部産婦人科)
  • 岩谷 胤生(岡山大学病院 乳腺・内分泌外科)
  • 秋田 直洋(日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院 小児医療センター血液腫瘍科)
  • 米村 雅人(国立がん研究センター東病院 薬剤部)
  • 歌野 智之(国立成育医療研究センター 薬剤部)
  • 網野 一真(日本赤十字社 諏訪赤十字病院 薬剤部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
13,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がんサバイバーシップ(生殖機能)に主眼をおいて、「小児・AYA世代がん患者に対する生殖機能温存に関わる心理体制の均てん化と安全な長期保管体制の確立」目指した研究を行い、成果による政策提言を行う
研究方法
①-1 CONFRONT試験並びにRESPECT試験の継続。①-2がん・生殖医療専門心理士の研修プログラムを開発し、その効果を検証。がん・生殖医療専門心理士の資質向上に関する効果検証を行った。又、がん・生殖医療専門心理士による妊孕性温存に関する意思決定支援の質指標の策定を試みた。
②-1昨年度までに医療従事者向けの妊孕性温存に関する教育プログラムを開発した。質の高い支援や教材を提供することによって、「患者本位のがん医療の実現」に近づくことができると考え、教育プログラムの教育効果検証を行った。②-2遺伝カウンセラーの役割に関する実態調査を日本がん・生殖医学会に所属する医師を対象として、選択式アンケートをWEB上で行った。②-3人材育成に関する研究ー薬剤師:薬剤師と医師のがん・生殖医療における連携の実態を明らかにし、今後の連携の在り方について啓発していくことを目的として、性腺毒性の知識、妊孕性温存に関する知識、所属施設でのがん・生殖医療への関わり、他職種との連携等について全国調査を行う。②-4人材育成に関する研究ー看護師:完成した「がん・生殖医療ナビゲーター看護師教育プログラム」の効果検証を目的とした評価研究を実行する。
③-1 動画を用いて、小児がん拠点病院の医療従事者並びに患者とその家族を対象とした評価検証研究を実行する。③-2説明資材の認知度の向上及び小児がん診療施設と生殖医療施設との連携を深めるため、妊孕性温存セミナーを実施する。③-3小児科から産婦人科への移行医療の実態把握とその推進に関する研究:実態調査を解析し、本領域の啓発等に繋げる対策を検討する。
④-1半構造化面接によるインタビュー調査研究を実施し、並行してインタビュー内容の質的分析を進める。④-2がん・生殖医療の受療実態および経済的負担の実態調査の自由記載部分のデータを二次利用し、質的帰納的に分析する。
⑤-1長期検体保管体制に関する実態調査:コロナ禍で延期となった海外施設の長期保管体制に関する調査を実行し、研究⑤-2の成果を合わせて、国への提言をまとめる。⑤-2胚培養士を対象とした妊孕性温存療法の実施状況調査:がん・生殖医療における胚培養技術の実情を把握し、臨床的により有用性の高い妊孕性温存技術の手法を確立し、全国において均一かつ高水準の妊孕性温存技術を提供できる医療環境の構築に結びつけることを目的とした研究を進める。さらに、結果をもとに、妊孕性温存療法における凍結生殖細胞ならびに組織の適切な長期温存方法及び運用体制に関わる内容を提言する。
⑥ がん・生殖医療における里親制度・特別養子縁組制度の普及に向けた研究:4つの調査研究(①里親会への実態調査、②児童相談所へ意識調査、③がん治療医への里親制度・特別養子縁組制度に関する意識調査、④児童福祉界におけるがん教育プログラム作成に係る当事者調査)を進める。
⑦-1がんとの共生分野におけるがん相談支援センターの現状の課題抽出を志向した実態調査を、全国のがん診療病院及び労災病院を対象にWebアンケートにて実行する。⑦-2実態調査を通じて、アピアランスケアに関する医療者の認識や実践を明らかにするとともに啓発をさらに進め、がん患者の更なるQOL向上を目指す目的で、日本癌治療学会会員を対象に調査票を電子メールで送付し、情報を収集する
結果と考察
がん・生殖医療が本法に根付きつつあるものの、がん治療医が診断時に同時に正確ながん・生殖医療に関する情報提供を適格な時期に行う事は依然困難な現状があり、心理支援が無い状況で患者に説明する煩雑さがその問題点としてあげられる。本研究の成果によって、質の高い心理社会的支援が提供できるがん・生殖専門心理士や認定がん・生殖医療ナビゲーターが全国に配置され、厚生労働省が掲げる「患者本位のがん医療の実現」に近づくものと確信している。また、長期検体保存体制に関しては、本邦おける適切な長期保存運用体制の提案が期待できると確信している。
結論
1)がん診療拠点病院等において、「がんとの共生」を充実させる目的で、がん治療医から治療による不妊の影響に関する患者に対する情報提供不足解消に向けた、がん治療医に対する「がん・生殖医療」のさらなる啓発を要望する
2)がん診療拠点病院等において、がん・生殖医療における専門的な知識及び技能を有する医師以外の診療従事者を対象とした、がん・生殖医療に関わる人材育成を要望する
3)安全で適切な長期検体温存方法および運用体制の構築が急務である
4)がん・生殖医療における里親制度・特別養子縁組制度の普及が急務である

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202208003B
報告書区分
総合
研究課題名
小児・AYA世代がん患者に対する生殖機能温存に関わる心理支援体制の均てん化と安全な長期検体保管体制の確立を志向した研究-患者本位のがん医療の実現を目指して
課題番号
20EA1004
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 直(聖マリアンナ医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小泉 智恵(獨協医科大学 医学部)
  • 津川 浩一郎(聖マリアンナ医科大学 外科学 乳腺・内分泌外科)
  • 杉本 公平(獨協医科大学越谷病院 リプロダクションセンター)
  • 川井 清考(高木 清考)(亀田総合病院 生殖医療科)
  • 福間 英祐(亀田総合病院乳腺科)
  • 古井 辰郎(岐阜大学大学院 医学系研究科)
  • 二村 学(岐阜大学大学院医学系研究科・腫瘍制御学講座 腫瘍外科学分野)
  • 高井 泰(埼玉医科大学総合医療センター産婦人科)
  • 松本 広志(埼玉県立がんセンター乳腺外科)
  • 大野 真司(がん研有明病院)
  • 山内 英子(聖路加国際大学 聖路加国際病院 ブレストセンター 乳腺外科)
  • 木村 文則(滋賀医科大学 医学部 )
  • 西山 博之(筑波大学医学医療系臨床医学域腎泌尿器外科学)
  • 根来 宏光(筑波大学 医学医療系)
  • 湯村 寧(横浜市立大学附属市民総合医療センター)
  • 高江 正道(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 杉下 陽堂(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 池田 智明(国立大学法人三重大学 医学系研究科)
  • 大須賀 穣(国立大学法人 東京大学 医学部附属病院)
  • 杉山 隆(国立大学法人愛媛大学 大学院医学系研究科)
  • 松本 公一(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 小児がんセンター)
  • 太田 邦明(東京労災病院)
  • 平山 雅浩(三重大学大学院医学系研究科臨床医学系講座小児科学分野)
  • 滝田 順子(京都大学 医学部 小児科)
  • 渡邊 知映(昭和大学 保健医療学部)
  • 堀江 昭史(京都大学 産科婦人科)
  • 小野 政徳(東京医科大学)
  • 宮地 充(京都府立医科大学大学院医学研究科小児発達医学)
  • 真部 淳(国立大学法人 北海道大学大学院 医学研究院 小児科学教室)
  • 慶野 大(神奈川県立こども医療センター 血液・腫瘍科)
  • 岩端 秀之(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 原田 美由紀(東京大学 医学部附属病院)
  • 鈴木 達也(自治医科大学 医学部)
  • 前沢 忠志(三重大学 医学部)
  • 竹中 基記(岐阜大学 医学部)
  • 奈良 和子(亀田総合病院 臨床心理室)
  • 北野 敦子(聖路加国際大学 聖路加国際病院)
  • 片桐 由起子(東邦大学 医学部産科婦人科学講座)
  • 高橋 俊文(福島県立医科大学 ふくしま子ども女性医療支援センター)
  • 佐藤 美紀子(浅井 美紀子)(日本大学 医学部)
  • 洞下 由記(奥津 由記)(聖マリアンナ医科大学 産婦人科学)
  • 久慈 志保(聖マリアンナ医科大学 医学部産婦人科学)
  • 中村 健太郎(聖マリアンナ医科大学 医学部産婦人科学)
  • 坂本 はと恵(国立研究開発法人国立がん研究センター東病院 サポーティブケア室)
  • 伊東 雅美(富山大学 医学部産婦人科)
  • 岩谷 胤生(岡山大学病院 乳腺・内分泌外科)
  • 秋田 直洋(日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院 小児医療センター血液腫瘍科)
  • 米村 雅人(国立がん研究センター東病院 薬剤部)
  • 歌野 智之(国立成育医療研究センター 薬剤部)
  • 網野 一真(日本赤十字社 諏訪赤十字病院 薬剤部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がんサバイバーシップ(生殖機能)に主眼をおいて、「小児・AYA世代がん患者に対する生殖機能温存に関わる心理体制の均てん化と安全な長期保管体制の確立」目指した研究を行い、成果による政策提言を行う
研究方法
平成26-28年度厚生労働科学研究がん対策推進総合研究(研究代表者 鈴木直)、平成29-31年度厚生労働科学研究(研究代表者 鈴木直)等の厚生労働科学研究の成果と日本がん・生殖医療学会を中心とした関連学会との密接な連携実績を基盤として、本研究では3年間の期間で、7つの研究を計画立案した;研究① がん・生殖医療における心理教育プログラムの開発と介入の効果検証、研究② 認定がん・生殖医療ナビゲーターの教育プログラムと啓発による心理支援強化を目指した研究、研究③ 小児・AYA 世代がん患者ならびに家族に対するインフォームドコンセント(IC)およびインフォームドアセント(IA)の方法の検証に関する研究、研究④ 生殖機能温存を選択できなかった患者の心理支援のあり方に関する研究ならびに小児・AYA世代がんサバイバーを対象とした、がん・生殖医療に関する経済負担に関する実態調査、研究⑤ 安全で適切な長期検体温存方法および運用体制の構築を志向した研究、研究⑥ がん・生殖医療における里親制度・特別養子縁組制度の普及に向けた研究、研究⑦「がんとの共生」分野におけるAYA世代がん患者の課題解決に向けた研究。
結果と考察
全国47都道府県にがん治療医と生殖医療医並びに医療従事者によるがん・生殖医療ネットワークが着実に構築されつつある中、小児・AYA世代がん患者にとって、がん治療開始前に医師から治療による妊孕性の影響について説明がなされない限り、本事象を知る手段が限られてしまう不利益を被ることになる。3年間のコロナ禍により症例獲得等、研究の遂行に難渋したこともあったが、「がん治療医から治療による不妊の影響に関する患者に対する情報提供不足」の解消に向けて、がん治療医に対する本領域の啓発並びに相談支援センターの活用(患者目線)、がん領域並びに生殖医療域における医療従事者(看護師、薬剤師、心理師、ソーシャルワーカー、遺伝カウンセラー等)のがん・生殖医療に関する人材育成が進められたと考えている。今後も研究のさらなる継続を進める。
3年間の研究期間で得られた成果等から、がん対策推進を志向した政策提言まとめた。
結論
1)小児・AYA世代がん患者に対する妊孕性温存に関わる心理支援体制の均てん化の推進が急務である(妊孕性温存できなかった若しくは希望しなかったがん患者に対する心理社会的ケアを含む)
2)がん診療拠点病院等において、がん治療医から治療による妊孕性に与える影響や妊孕性温存療法に関して、的確なタイミングで確実な情報を患者に提供できる体制の構築を強く要望する
3)がん治療開始前後の妊孕性温存療法等に関する意思決定支援体制の構築を志向して、がん診療拠点病院等の医療従事者(看護師、薬剤師、心理師、ソーシャルワーカー、遺伝カウンセラー等)の人材育成に係る教育体制の構築を強く要望する(本研究班の成果物:がん・生殖医療専門心理士、認定がん・生殖医療ナビゲーター教育プログラム、がん・生殖ナビゲーター看護師(OFNN)教育プログラム等)
4)小児がん診療拠点病院等において、がん治療医から治療による妊孕性に与える影響や妊孕性温存療法に関して、的確なタイミングで確実な情報を医療従事者と共に患者に提供できる体制の構築を強く要望する(本研究班の成果物:意思決定支援の動画)
5)小児・思春期世代がん患者に対する、産婦人科医との女性ヘルスケアに関する移行期医療体制の構築が急務である
6)「がんとの共生」に関連のある、がんサバイバーシップ向上(がん相談支援センターの関わり、新しい家族の形(里親・特別養子縁組)の模索、アピアランスケアのサポート等)のさらなる推進を要望する
7)安全で適切な長期検体温存方法および運用体制の構築が急務である

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202208003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
全国の医療従事者を対象とした教育効果検証によって、医療従事者向けの妊孕性温存に関する知識および支援方法に関するe-learning教材を完成させた。がん・生殖医療における心理支援を強化することに寄与する人材育成として、有効性を検証することができ、がん・生殖ナビゲーター看護師の教育プログラムを開発した。小児思春期世代がん患者に対するがん・生殖医療における現状の課題を抽出し、課題を解決する一つの手段として2つの動画を完成させることができた。これら全ての成果物を臨床の現場へ展開すべく事業を継続している
臨床的観点からの成果
①がん・生殖医療における心理教育プログラムの開発と介入の効果検証②認定がん・生殖医療ナビゲーターの教育プログラムと啓発による心理支援強化を目指した研究③小児・AYA 世代がん患者ならびに家族に対するインフォームドコンセントおよびインフォームドアセントの方法の検証に関する研究④生殖機能温存を選択できなかった患者の心理支援のあり方に関する研究/小児・AYA世代がんサバイバーを対象としたがん・生殖医療に関する経済負担に関する実態調査は臨床の現場で本領域の均てん化に繋がる。現在も①④の研究を継続している
ガイドライン等の開発
がん・生殖医療においては、看護師、心理士、薬剤師、遺伝カウンセラー、がん相談員等の医療従事者の参画が必須となる。がん・生殖医療に携わる医療従事者の人材育成が急務となることから、本研究班では、がん・生殖医療における医療従事者向けの手引き等の作成に着手した。さらに、研究⑤ 安全で適切な長期検体温存方法および運用体制の構築を志向した研究の成果を継続して、がん・生殖医療における長期検体保管並びに運用体制の手引き開発に着手している。
その他行政的観点からの成果
がん診療拠点病院並びに小児がん拠点病院等において、「がんとの共生」を充実させる目的で、がん治療医からの情報提供不足解消に向けた、がん治療医に対する「がん・生殖医療」のさらなる啓発に繋がる研究成果を得ることができた。又、がん・生殖医療に関わる人材育成に関する成果を得ることができた。なお、第4期がん対策基本計画のがん医療のがん医療提供体制等に妊孕性温存療法についてが組み入れられた。今後は、持続可能性のあるがん・生殖連携の構築が必須となることから、がん治療医の参画を支えるための人材育成が急務となる。
その他のインパクト
がん・生殖医療領域においては、がんサバイバーに血縁に依らない家族形成のカタチがあることを伝え、豊かな人生設計の選択肢を増やすことが求められている。引き続き、がんサバイバーに対する里親制度・特別養子縁組制度の情報提供等、支援体制の構築が望まれる。研究班が関与した資材や公開講座は、がん・生殖医療における里親制度・特別養子縁組制度の普及に繋がるものと期待している。長期間にわたる凍結検体の安全な管理体制の構築が喫緊の課題となる。コロナ禍で実施できなかった海外現状等評価は課題解決のために大切な研究となる

発表件数

原著論文(和文)
30件
原著論文(英文等)
68件
その他論文(和文)
10件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
100件
学会発表(国際学会等)
7件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
8件
講演8件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Maezawa T, Takae S, Takeuchi H, et al
A Nationwide Survey Aimed at Establishing an Appropriate Long-Term Storage and Management System for Fertility Preserving Specimens in Japan
Journal of Adolescent and Young Adult Oncology , 12 (3) , 450-457  (2023)
doi: 10.1089/jayao.2021.0209
原著論文2
Maezawa T, Suzuki N, Takeuchi H, et al
Challenges to widespread use of fertility preservation facilities for pediatric cancer patients in Japan
Journal of Adolescent and Young Adult Oncology , 13 (1) , 197-202  (2024)
doi: 10.1089/jayao.2023.0059.
原著論文3
Takeuchi H, Maezawa T, Hagiwara K, et al
Investigation of an efficient method of oocyte retrieval by dual stimulation for patients with cancer
Reproductive Medicine and Biology , 22 (1) , e12534-  (2023)
doi: 10.1002/rmb2.12534
原著論文4
Ono M, Harada M, Horie A, et al
Effect of a web-based fertility preservation training program for medical professionals in Japan
International Journal of Clinical Oncology , 28 (9) , 1112-1120  (2023)
doi: 10.1007/s10147-023-02366-2
原著論文5
Iwahata Y, Takae S, Iwahata H, et al
A Nationwide Survey Aimed at Establishing an Appropriate Long-Term Storage and Management System for Fertility Preserving Specimens in Japan
Journal of Adolescent and Young Adult Oncology , 12 (6) , 835-842  (2023)
doi: 10.1089/jayao.2022.0154.
原著論文6
Takekawa Y, Sugimoto K, Masaki K, et al
Differences Between Cancer Survivors and Healthy Subjects in Factors that Facilitate and Obstruct the Use of the Foster Parent System and Special Adoption System: A Nationwide Cross-Sectional Study in Japan
Journal of Adolescent and Young Adult Oncology  (2024)
doi: 10.1089/jayao.2023.0088.
原著論文7
Nakamura K, Terashita Y, Manabe A, et al
Survey of Transitional Care Between Pediatrics and Obstetrics/Gynecology in Japan
Journal of Adolescent and Young Adult Oncology  (2024)
doi: 10.1089/jayao.2023.0017.

公開日・更新日

公開日
2023-07-04
更新日
2024-06-10

収支報告書

文献番号
202208003Z