文献情報
文献番号
202207022A
報告書区分
総括
研究課題名
生殖・周産期に係る倫理的・法的・社会的課題(ELSI : Ethical, Legal and Social Issues)の検討のための研究
課題番号
22DA2002
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
武藤 香織(国立大学法人東京大学 医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
- 倉澤 健太郎(横浜市立大学産婦人科学)
- 関沢 明彦(昭和大学医学部産婦人科講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
8,274,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医学技術の進歩により出生前検査や胎児超音波検査等で胎児期から早期に先天性疾患が発見されるようになっている。しかし、NIPT以外の出生前検査や胎児超音波検査等で妊娠経過中に先天性疾患が発見された際の、妊婦及び家族への告知の仕方、情報提供の在り方や意思決定支援については統一された見解はなく、更なる検討が必要と考えられる。そこで、①生殖補助医療の普及・進展を踏まえた生殖・周産期に関するELSI(Ethical, Legal and Social Issues)の課題を明らかにすること、②妊婦や家族への告知の在り方、情報提供の在り方について現状を明らかにすること、③全国的な先天異常についてモニタリングを行い、動向を把握することを目的とする。
研究方法
①「胎児超音波検査に関する米国および英国でのガイドラインにおける妊婦への配慮事項に関する検討」
英米の主な学会のガイドラインを精査し、特に妊婦への情報提供や配慮に関する事項を抽出した。
②「出生前検査や胎児超音波検査等により胎児の先天性疾患が見つかった際の産婦人科医療機関における対応に関する実態調査」
出生前検査の実施主体の産婦人科医、児の管理を担う小児科医、そして検査を受ける当事者である妊婦を対象にアンケート調査を行う予定であり、今年度は調査内容を検討した。
③「我が国の先天異常発生状況の推移とその影響因子に関する研究」
全国規模モニタリングを日本産婦人科医会先天異常モニタリング調査によるデータから収集し横浜市立大学内に設置されている国際先天異常モニタリングセンターでの解析検討を行った。
英米の主な学会のガイドラインを精査し、特に妊婦への情報提供や配慮に関する事項を抽出した。
②「出生前検査や胎児超音波検査等により胎児の先天性疾患が見つかった際の産婦人科医療機関における対応に関する実態調査」
出生前検査の実施主体の産婦人科医、児の管理を担う小児科医、そして検査を受ける当事者である妊婦を対象にアンケート調査を行う予定であり、今年度は調査内容を検討した。
③「我が国の先天異常発生状況の推移とその影響因子に関する研究」
全国規模モニタリングを日本産婦人科医会先天異常モニタリング調査によるデータから収集し横浜市立大学内に設置されている国際先天異常モニタリングセンターでの解析検討を行った。
結果と考察
①「胎児超音波検査に関する米国および英国でのガイドラインにおける妊婦への配慮事項に関する検討」
米国および英国における胎児超音波検査のガイドライン等を検討し、妊婦に対する情報提供や配慮に関する記載事項を確認した。米国・英国ともに、すべての妊婦への情報提供、妊婦の意思決定の尊重がルールとされていた。また、米国・英国ともに、胎児の健康状態を理由とする人工妊娠中絶の意思決定支援や中絶後の心身のケアについての指示事項が明記されていた。
②「出生前検査や胎児超音波検査等により胎児の先天性疾患が見つかった際の産婦人科医療機関における対応に関する実態調査」
妊娠中の胎児超音波検査についての情報提供や検査についての意思決定の在り方について、産婦人科医のみではなく、小児科医および妊婦の視点を含めて検討するための基礎資料を作成する。そのための準備として、令和4年度に妊婦に対しての情報提供の実情について以下のように調査内容を整理した。
③「我が国の先天異常発生状況の推移とその影響因子に関する研究」
2021年に対象となった105,901例における調査からは、先天異常児出産頻度は3,549児3.35%であり、心室中隔欠損は2021年も最も多かった。次いで耳瘻孔、ダウン症候群、動脈管開存、心房中隔欠損、口唇・口蓋裂、18トリソミー症候群などが高頻度であった。昨年の調査と比し、若干の順位の入れ替えはあるものの上位の高頻度異常はほぼ同様の傾向であった.また,福島県も含めて特段の変動は見られなかった。
米国および英国における胎児超音波検査のガイドライン等を検討し、妊婦に対する情報提供や配慮に関する記載事項を確認した。米国・英国ともに、すべての妊婦への情報提供、妊婦の意思決定の尊重がルールとされていた。また、米国・英国ともに、胎児の健康状態を理由とする人工妊娠中絶の意思決定支援や中絶後の心身のケアについての指示事項が明記されていた。
②「出生前検査や胎児超音波検査等により胎児の先天性疾患が見つかった際の産婦人科医療機関における対応に関する実態調査」
妊娠中の胎児超音波検査についての情報提供や検査についての意思決定の在り方について、産婦人科医のみではなく、小児科医および妊婦の視点を含めて検討するための基礎資料を作成する。そのための準備として、令和4年度に妊婦に対しての情報提供の実情について以下のように調査内容を整理した。
③「我が国の先天異常発生状況の推移とその影響因子に関する研究」
2021年に対象となった105,901例における調査からは、先天異常児出産頻度は3,549児3.35%であり、心室中隔欠損は2021年も最も多かった。次いで耳瘻孔、ダウン症候群、動脈管開存、心房中隔欠損、口唇・口蓋裂、18トリソミー症候群などが高頻度であった。昨年の調査と比し、若干の順位の入れ替えはあるものの上位の高頻度異常はほぼ同様の傾向であった.また,福島県も含めて特段の変動は見られなかった。
結論
①「胎児超音波検査に関する米国および英国でのガイドラインにおける妊婦への配慮事項に関する検討」
米国および英国における胎児超音波検査のガイドライン等を検討し、妊婦に対する情報提供や配慮に関する記載事項を確認した。今後、日本でも具体的な配慮事項や支援内容を検討すべきである。
②「出生前検査や胎児超音波検査等により胎児の先天性疾患が見つかった際の産婦人科医療機関における対応に関する実態調査」
出生前検査を取り巻く環境は次第に整備されてきている。今回、出生前検査について医療を提供する側の産婦人科医と障害のある児の医療を担う小児科医、さらに、実際に出生前検査を受ける妊婦の意識を調査し、統合的な解析を行うことで、より良い出生前検査についての情報提供の体制構築に向けた基礎資料が作成される見込みである。
③「我が国の先天異常発生状況の推移とその影響因子に関する研究」
2021年の外表奇形等調査においては、例年同様特定の先天異常が特定の地域に多発したという異常変動は認められなかった。
米国および英国における胎児超音波検査のガイドライン等を検討し、妊婦に対する情報提供や配慮に関する記載事項を確認した。今後、日本でも具体的な配慮事項や支援内容を検討すべきである。
②「出生前検査や胎児超音波検査等により胎児の先天性疾患が見つかった際の産婦人科医療機関における対応に関する実態調査」
出生前検査を取り巻く環境は次第に整備されてきている。今回、出生前検査について医療を提供する側の産婦人科医と障害のある児の医療を担う小児科医、さらに、実際に出生前検査を受ける妊婦の意識を調査し、統合的な解析を行うことで、より良い出生前検査についての情報提供の体制構築に向けた基礎資料が作成される見込みである。
③「我が国の先天異常発生状況の推移とその影響因子に関する研究」
2021年の外表奇形等調査においては、例年同様特定の先天異常が特定の地域に多発したという異常変動は認められなかった。
公開日・更新日
公開日
2024-03-01
更新日
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