関節リウマチにおけるテーラーメイド医療実証研究

文献情報

文献番号
200907003A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチにおけるテーラーメイド医療実証研究
課題番号
H19-ゲノム・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
鎌谷 直之(東京女子医科大学 附属膠原病リウマチ痛風センター)
研究分担者(所属機関)
  • 山中 寿(東京女子医科大学 附属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 谷口 敦夫(東京女子医科大学 附属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 斎藤 加代子(東京女子医科大学 附属遺伝子医療センター)
  • 三森 明夫(国立国際医療センター)
  • 高崎 芳成(順天堂大学医学部附属順天堂医院)
  • 上田 寛之(上田診療所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(ヒトゲノムテーラーメード研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
22,647,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチ(RA)における個別化医療を行うためには研究段階から臨床への橋渡しのロードマップ作りが重要である。関節リウマチに用いられる薬物、生物学的製剤、メトトレキサート、スルファサラジンなどのうち、生物学的製剤については遺伝的多型との関連を示唆する結果が得られたものの再確認されていない。メトトレキサート、スルファサラジンについては再確認が行われ、関連は間違いないものと確認された。しかし、実際に前向き研究で遺伝子解析がどの程度の有用性と関連するかの確認はまだ得られていない状況である。今年度は引き続き前向き研究によりRAの治療薬と遺伝子の関連を確認すること、メトトレキサート使用に遺伝子検査を行った場合の医療経済分析を行う事、東京女子医科大学以外の施設において実施できるかを確認することを目的とした。
研究方法
臨床現場で十分に倫理問題を考慮して研究の説明、遺伝子の解析、結果の解析などを行った。遺伝型決定は既存の確実な方法で品質管理を行いつつ実施した。
結果と考察
今年度の東京女子医科大学の研究では前向き研究によりスルファサラジンの投与をNAT2多型に基づいて行うことにより重症副作用が減少する事が示唆された。しかし、個人の遺伝的検査をランダム化して行う事は患者の納得が極めて得られにくい事がわかった。引き続き、MTHFR遺伝子によるメトトレキサートの副作用・投与量予測の医療経済分析を行ったところ検査費用の閾値は34000円であることが示された。また、東京女子医科大学の研究によりファーマコゲノミクスにおける患者への事前説明や遺伝カウンセリングの対応のための説明文書やDVDの有効性に関するデータが得られた。国立国際医療センターの研究によってスルファサラジン、メトトレキサート使用の脱落率、重要皮膚副作用とNAT2多型の関連等の有用なデータが得られた。順天堂大学の研究では高齢者における関節リウマチの特性が研究され、臨床検査値異常が多いため治療が不十分で抗リウマチ薬の投与が少なく、疾患活動性のコントロールも不良である事がわかった。また上田診療所の研究によると、一般診療所でもテーラーメイド医療が可能である事がわかった。
結論
関節リウマチに対する遺伝子検査によるオーダーメイド医療は個々の条件を注意深く考慮しつつ実施すれば有望である事がわかった。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

文献情報

文献番号
200907003B
報告書区分
総合
研究課題名
関節リウマチにおけるテーラーメイド医療実証研究
課題番号
H19-ゲノム・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
鎌谷 直之(東京女子医科大学 附属膠原病リウマチ痛風センター)
研究分担者(所属機関)
  • 山中 寿(東京女子医科大学 附属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 谷口 敦夫(東京女子医科大学 附属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 斎藤 加代子(東京女子医科大学 附属遺伝子医療センター)
  • 三森 明夫(国立国際医療センター)
  • 高崎 芳成(順天堂大学医学部附属順天堂医院)
  • 上田 寛之(上田診療所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(ヒトゲノムテーラーメード研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチ(RA)は関節に慢性の炎症を来たし、有効な治療を行わない場合は関節破壊や身体障害に至る疾患であるが、依然として大きな問題となっているのが副作用と非有効性である。これらの問題は一部の患者に起きるものであり、個人間の多様性が問題である。今回の研究目的はスルファサラジン、メトトレキサートについて、その副作用と有効性に関連する遺伝的多様性を調べオーダーメイド医療を行う事が有用であるかを確認し、その有用性の条件を調べる事である。
研究方法
遺伝型決定は既存の確実な方法で品質管理を行いつつ実施した。解析は信頼できる統計学的手法を用いた。遺伝子検査前の説明、結果の説明も十分倫理的配慮の上行った。
結果と考察
これまで確認されたスルファサラジン、メトトレキサート使用に関する遺伝子と薬物反応性の関連はおおむね再現された。前向き研究によりスルファサラジンの投与をNAT2多型に基づいて行うことにより重症副作用が減少する事が示唆された。しかし、個人の遺伝的検査をランダム化して行う事は患者の納得が極めて得られにくい事がわかった。NAT遺伝子によるスルファサラジンの副作用、MTHFR遺伝子によるメトトレキサートの副作用・投与量予測の医療経済分析を行ったところ検査費用の閾値はそれぞれ24000円、34000円であることが示された。また、東京女子医科大学の研究によりファーマコゲノミクスにおける患者への事前説明や遺伝カウンセリングの対応のための説明文書やDVDの有効性に関するデータが得られた。ファーマコゲノミクスにたいする倫理的配慮の必要性は単一遺伝子病に比較すると低いが、専門的な説明が必要な場合もある事がわかった。国立国際医療センターの研究によってスルファサラジン、メトトレキサート使用の脱落率、重要皮膚副作用とNAT2多型の関連等の有用なデータが得られた。順天堂大学の研究では高齢者における関節リウマチの特性が研究され、臨床検査値異常が多いため治療が不十分で抗リウマチ薬の投与が少なく、疾患活動性のコントロールも不良である事がわかった。また上田診療所の研究によると、一般診療所でもテーラーメイド医療が可能である事がわかった。
結論
関節リウマチに対する遺伝子検査によるオーダーメイド医療は個々の条件を注意深く考慮しつつ実施すれば有望である事がわかった。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200907003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
テーラーメイド医療について、その実施可能性についての条件が明らかになった点が重要である。テーラーメイド医療は大学病院だけでなく、大病院や診療所でも可能であるが説明、検体輸送、報告の方法、医療への応用の手法、各実施施設等の特殊事情等の配慮などについて注意が必要である。医療経済的分析がなされた事も重要であり、費用対効果について議論が可能となった。
臨床的観点からの成果
前向き研究によりスルファサラジンの投与をNAT2多型に基づいて行うことにより重症副作用が減少する事が示唆された。ファーマコゲノミクスにおける患者への事前説明や遺伝カウンセリングの対応のための説明文書やDVDの有効性に関するデータが得られた。国立国際医療センターの研究によってスルファサラジン、メトトレキサート使用の脱落率、重要皮膚副作用とNAT2多型の関連等の有用なデータが得られた。また上田診療所の研究によると、一般診療所でもテーラーメイド医療が可能である事がわかった。
ガイドライン等の開発
「ファーマコゲノミクス検査の指針」(日本人類遺伝学会、日本臨床検査医学会、日本臨床検査標準化協議会)において研究経過が参考にされている。
その他行政的観点からの成果
ファーマコゲノミクス検査を用いた先進医療、保険医療、あるいは副作用報告に伴う検討において有用と期待される。
その他のインパクト
東京12チャンネル:「ガイアの夜明け」など複数の機会に報道された。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
140件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
7件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Takahashi Y, Mizoue T, Suzuki A, et al.
Time of initial appearance of renal symptoms in the course of systemic lupus erythematosus as a prognostic factor for lupus nephritis.
Modern Rheumatol. , 19 (3) , 293-301  (2009)
原著論文2
Takahashi Y, Haga S, Ishizaka Y, Mimori A.
Autoantibodies to angiotensin converting enzyme 2 in patients with connective tissue diseases.
Arthritis Res Ther. , 12 (3) , 85-85  (2010)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-