3次元再生軟骨・骨組織における安全性と有効性の確立

文献情報

文献番号
200906022A
報告書区分
総括
研究課題名
3次元再生軟骨・骨組織における安全性と有効性の確立
課題番号
H21-再生・一般-009
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
高戸 毅(東京大学 医学部附属病院 )
研究分担者(所属機関)
  • 荒川 義弘(東京大学 医学部附属病院 )
  • 鄭 雄一(東京大学大学院 工学系研究科および医学系研究科)
  • 星 和人(東京大学 医学部附属病院)
  • 吉川 秀樹(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 中村 憲正(大阪大学 臨床医工学融合研究教育センター)
  • 名井 陽(大阪大学 医学部附属病院未来医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
49,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、3次元再生軟骨、TEC再生関節軟骨、PRP複合3次元骨の産業化を最終目標として、治験開始に必要な品質および安全性の確認を行い、確認申請承認を受けることを目的としている。
研究方法
平成21年度には、厚生労働省の指針に基づき、安全性・有効性のデータを収集した。
3次元再生皮下軟骨では、ポリ乳酸(PLLA)足場素材の製造方法を確定し、安全性試験(PLLA抽出方法確認試験、細胞毒性試験、細胞を用いる復帰突然変異試験)を行った。細胞の安全性に関して染色体検査(G band)を、有効性に関してビーグルを用いた自家軟骨細胞移植を行った。
TEC再生関節軟骨では、安定的にTECを供給できる自動培養技術を開発した。合わせて軟寒天培養・発熱性試験・急性全身毒性試験・刺激性/皮内反応試験・血液適合試験・細胞毒性試験を委託にて行った。
PRP複合3次元骨では、マウス骨芽様細胞株にPRP複合3次元骨を添加し、細胞増殖活性を評価した。またラット大腿骨骨幹端に作製した欠損にPRP複合3次元骨を埋植し、マイクロCT (SMX-90CT, 島津) および組織学的評価を行った。
結果と考察
3次元再生軟骨では、足場素材がGLP準拠で安全であることを確認した。また、細胞の染色体検査も安全であった。また、細胞プロセッシングセンターの設備、体制を整備した。自家軟骨細胞移植では、生体軟骨に遜色ない3次元形状や力学強度を得た。
TEC再生関節軟骨では、自動培養装置による間葉系幹細胞の培養4週間で100mgの組織から最大2x10^7cellsの増幅が可能であった。また、TECの安全性を確認し、良好な結果を得た。
PRP複合3次元骨に関しては、細胞増殖活性への効果を調査し、有効性を確認した。PRP複合3次元骨をラット大腿骨欠損モデルへと埋植し、骨新生の増加を確認した。
結論
3次元再生軟骨では、再生軟骨組織に用いる足場素材及び細胞の安全性を確認し、ビーグルを用いた自家軟骨細胞移植で有効性を示した。
TEC再生関節軟骨に関しては、滑膜間葉系幹細胞の増殖を亢進させる無血清培地の開発に成功した。また、安全性試験を行い良好な結果を得た。
PRP複合3次元骨の骨芽細胞増殖活性上昇効果及びラット骨欠損における骨新生促進効果が示された。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-