ヒトips細胞由来網膜色素上皮細胞移植の実用化研究

文献情報

文献番号
200906019A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒトips細胞由来網膜色素上皮細胞移植の実用化研究
課題番号
H21-再生・一般-006
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 政代(独立行政法人 理化学研究所 )
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
加齢黄斑変性は日本でも近年増加している疾患であり、効果的な治療法が存在しなかった。一部の症例で視力の向上が得られるようになったが視力低下の大きな要因を全て解決することはできず、大多数の症例は線維性瘢痕の除去とともに網膜色素上皮及び視細胞の再生を必要とする。我々はヒトES細胞およびiPS細胞から治療に必要な機能を持つ網膜色素上皮細胞を分化誘導することに成功しているが、網膜色素上皮細胞については他家移植で拒絶反応が起こることが知られており、ES細胞よりも患者由来のiPS細胞を用いることが望ましく、細胞の純化、安全性検証行い、臨床試験のプロトコル、SOPの作成を行うことを目的としている。
研究方法
本年度は、網膜変性患者の皮膚由来線維芽細胞から多数のiPS細胞株の作成に成功した。また、実際の治療用の細胞を作成管理するためのヒトiPS細胞由来網膜細胞専用のGMP準拠CPCが設計・建造され、その施設運営の準備を行った。CPCの管理文書(品質管理基書、製造管理基準書等)の1次バージョンを作成し、平成22年度以降のCPCの本格運用及び網膜色素上皮細胞純化の準備を行った。本研究においては最終年度までに患者iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞移植のプロトコル、SOPを検討し完成する予定である。
結果と考察
ヒトiPS細胞由来網膜細胞用CPCで必要となる管理文書の1次バージョンを作成し、平成22年度以降におけるCPCの本格運用及び網膜色素上皮細胞純化の準備を行った。
 ヒトiPS細胞由来網膜細胞用CPC稼動のために必要となる技術的、人的問題は解決したと判断しており、計画通りの達成度が得られたと考える。加齢黄斑変性やその他の網膜色素上皮障害に対するまったく新しい概念の治療が誕生するのみならず、世界に先駆けてiPS細胞の臨床応用を目指すという点で意義は大きいと考える。
結論
今年度の研究は計画通りに遂行できたと考えるが、次年度以降はこれらの結果をもとに「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」に適合するか、また、コストや安全性から考えて適当と思われる方法を決定し、臨床試験のプロトコル作成を開始する必要がある。ヒトiPS細胞由来網膜細胞用CPCを本格運用して実際の臨床試験と同じ条件でiPS細胞の樹立、維持、網膜色素上皮細胞の分化誘導、純化、移植細胞の調整を行う予定であり、完成度の高いプロトコルとSOPの作成が可能になると考える。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-12-01
更新日
-