実験的再生歯の臨床応用に関する研究

文献情報

文献番号
200906010A
報告書区分
総括
研究課題名
実験的再生歯の臨床応用に関する研究
課題番号
H21-再生・一般-002
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
山口 朗(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 春日井 昇平(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 )
  • 辻 孝(東京理科大学 総合研究機構)
  • 窪木 拓男(岡山大学 医歯薬学総合研究科)
  • 福本 敏(東北大学 歯学研究科)
  • 園山 亘(岡山大学 大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
34,732,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、今までに本研究班班員が確立してきた歯・骨の再生技術を基盤として、歯根・歯の再生に加えて顎骨の再生も含めた統合的な「歯の再生医療」技術を開発し、臨床応用に必要なエビデンスを創出することを目的とする。
研究方法
本研究では、1)器官原器法による臓器置換型再生歯の開発、2)歯根再生法の開発(、3)歯の数、大きさ、形態の制御機構の解析、4)歯の再生に適した顎骨造成法の開発、5)実験的再生歯の機能評価、6)ヒト由来細胞を利用した再生歯開発の基盤研究を実施する。本研究では、1)?6)の課題により歯の再生医療の実用化に向けた基盤技術開発を進めると共に、6)によりヒト由来細胞を利用した臨床応用へ向けた基盤研究を構築する。
結果と考察
本研究の推進により以下の結果を得た。①マウス歯胚を利用した器官原基法により形態学的及び機能的に天然歯に極めて近い臓器置換型再生歯の作成に成功した。②ビーグル犬胎仔の発生期歯胚を成犬の顎骨に移植し、臓器置換型再生歯を作成するために必要な移植部位を決定し、移植歯萌出モデルの検討を行ったが、さらに効率的な手法の開発が必要と考えられた。③ヒト第3大臼歯幼若歯胚を免疫不全マウスの腎皮膜下に移植することにより、これらの歯胚の歯関連硬組織形成能を検証できた。④ビーグル成犬から歯に関連した細胞を分離し、組織工学的な人工再生歯根技術の開発基盤を構築した。 ⑤再生歯作成に必要な新たな細胞シーズの探索として、iPS細胞から歯関連細胞誘導法と、歯髄幹細胞の大量調整法が有効であると考えられた。⑥歯の形態形成メカニズムの分子機構の一部を明らかできたため、再生歯への応用が期待される。⑦顎骨造成法に必要な骨形成と骨再生の分子基盤を構築した。⑧ビーグル成犬の頬粘膜線維芽細胞が細胞移植による骨再生療法に有効であると考えられた。⑨有効な骨造成法として、新規ナノゲル、繊維性のハイドロキシアパタイト材料、プラスミドベクターによる遺伝子導入法、alpha-TCPとシンバスタチンを組み合わせた骨補填材などを開発し、それらが有効と考えられた。今後、より臨床応用へ向けた研究の展開を推進する必要があると考えられた。
結論
歯根・歯の再生に加えて顎骨の再生も含めた統合的な「歯の再生医療」技術を開発し、臨床応用に必要なエビデンスを創出する基盤を構築することができた。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-