文献情報
文献番号
200906009A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科再生医療拠点を活用した次世代型歯周組織再生療法の開発
課題番号
H21-再生・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
村上 伸也(大阪大学 大学院歯学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 澤 芳樹(大阪大学医学部附属病院 未来医療センター)
- 李 千萬(大阪大学 大学院医学研究科)
- 橋川 智子(大阪大学 大学院歯学研究科)
- 山田 聡(大阪大学歯学部附属病院)
- 北村 正博(大阪大学 大学院歯学研究科)
- 大門 貴志(兵庫医科大学 医学部数学教室)
- 齋藤 正寛(東京理科大学 基礎工学部 生物工学科)
- 松下 健二(国立長寿医療センター 口腔疾患研究部)
- 阿久津 英憲(国立成育医療センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
38,084,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、「口と歯の機能」を脅かす重度歯周病に対応できる、次世代型歯周組織再生療法の開発を目指す。本学歯学部附属病院内に設置されたCell Processing Center(CPC)を活用し、脂肪組織由来間葉系体性幹細胞(ADSC)と足場材料を組み合わせた新規歯周組織再生療法を樹立する。本研究期間においては、in vitroにてADSCの有用性と安全性の確認を行い、ビーグル犬重度歯周病モデルを用いて、ADSCの移入による歯周組織再生誘導実験を行い、適切な足場材候補の選定と本治療の安全性・有効性を検討・確認することを目的とした。
研究方法
Ⅰ.ADSCの硬組織形成能および安全性の解析
ヒトADSCの分化能を検討するために、ヒトADSCを石灰化誘導培地にて長期培養を行い、硬組織誘導関連遺伝子の発現、ALPase活性、石灰化ノジュール形成について解析した。硬組織形成細胞への分化誘導における硬組形成のマスター遺伝子であるRUNX-2および歯根膜特異的マーカーであるPLAP-1 mRNAの発現を解析した。増殖能は、増殖曲線により解析し、さらに増殖能が消失するまで継代を続けた後、染色体検査を行った。
Ⅱ.ビーグル犬を用いた歯周組織再生療法の検討
ビーグル犬実験的2壁性骨欠損モデルを作製し、実験群としてADSC含有フィブリンゲルを移植し、対照群にはフィブリンゲルのみを移植した。移植後6週目にマイクロCTにより歯槽骨再生の評価を行い、さらに、組織切片を作成して組織学的に歯周組織再生効果を評価した。
ヒトADSCの分化能を検討するために、ヒトADSCを石灰化誘導培地にて長期培養を行い、硬組織誘導関連遺伝子の発現、ALPase活性、石灰化ノジュール形成について解析した。硬組織形成細胞への分化誘導における硬組形成のマスター遺伝子であるRUNX-2および歯根膜特異的マーカーであるPLAP-1 mRNAの発現を解析した。増殖能は、増殖曲線により解析し、さらに増殖能が消失するまで継代を続けた後、染色体検査を行った。
Ⅱ.ビーグル犬を用いた歯周組織再生療法の検討
ビーグル犬実験的2壁性骨欠損モデルを作製し、実験群としてADSC含有フィブリンゲルを移植し、対照群にはフィブリンゲルのみを移植した。移植後6週目にマイクロCTにより歯槽骨再生の評価を行い、さらに、組織切片を作成して組織学的に歯周組織再生効果を評価した。
結果と考察
ヒトADSCを硬組織形成細胞へと分化誘導した際にALPase活性の上昇、著明な石灰化ノジュール形成を認め, RUNX-2およびPLAP-1 mRNA発現が経時的に増加した。また、ヒトADSCは継代8代目まで高い増殖能を示し、さらに継代を重ねると継代14代目まで培養可能であった。継代14代目においても染色体に異常は認めなかった。
イヌ2壁性骨欠損においてADSC移植側に歯槽骨の新生、有意なセメント質新生を認め、同セメント質にはコラーゲン線維束の埋入を認めた。 さらに、ADSC移植側に歯肉上皮下方増殖の有意な抑制を認めた。
イヌ2壁性骨欠損においてADSC移植側に歯槽骨の新生、有意なセメント質新生を認め、同セメント質にはコラーゲン線維束の埋入を認めた。 さらに、ADSC移植側に歯肉上皮下方増殖の有意な抑制を認めた。
結論
ADSCが歯周組織構成細胞への高い分化能を有し、同ADSCの移植により歯槽骨、セメント質の新生、および歯肉上皮下方増殖の抑制を含む歯周組織再生が誘導され得ることが示唆された。
公開日・更新日
公開日
2011-05-30
更新日
-