オールハザード対応の危機管理能力強化に向けた教育・研修プログラムの開発と実装に資する研究

文献情報

文献番号
202206031A
報告書区分
総括
研究課題名
オールハザード対応の危機管理能力強化に向けた教育・研修プログラムの開発と実装に資する研究
課題番号
22CA2031
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
冨尾 淳(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 齋藤 智也(国立感染症研究所 感染症危機管理研究センター)
  • 近藤 久禎(独立行政法人国立病院機構本部 DMAT事務局)
  • 丸山 嘉一(日本赤十字社医療センター 国内医療救護部)
  • 立石 清一郎(産業医科大学  両立支援科学)
  • 吉村 健佑(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
  • 奥田 博子(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
17,928,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
行政機関における人材の育成について国内外の知見を収集・整理してとりまとめるとともに、厚生労働省本省や検疫所等における、国レベルの災害や健康危機に対応できる人材を育成するための研修プログラムおよびコンテンツのモデルを開発・試行することを目的とする。さらに、国内外の知見及び専門家の知見を踏まえて中長期的に危機・災害対応に強い人材を計画的に育成していくための体制についての提案も行う。
研究方法
1. 国内外の知見の収集・整理
1)国内の災害・健康危機管理に関する研修・訓練等のうち、歴史と実績を有し社会的に普及している主要なプログラムについて情報収集し整理した。
2)関係機関の教育研修体制に関する調査
国内の災害・健康危機管理に関する研修・訓練等について、厚労省所管外の研修・訓練、自治体や教育研究機関、非営利組織等が実施する研修・訓練について情報収集し整理した。
3)世界保健機関(WHO)、欧州疾病予防管理センター(ECDC)をはじめとする国際機関、および災害・危機管理に係る教育研修制度が整備されている主要国の担当機関等の研修・訓練プログラムについて、厚生労働省感染症危機管理専門家(IDES) 関係者と連携して情報収集し整理した。
2. 研修プログラム・コンテンツの開発
上記1、2で収集・整理した国内外の情報をもとに、研修プログラム・コンテンツの開発を試みた。
3. 検疫所における健康危機管理と今後の人材育成のあり方
検疫所における危機管理体制や新型コロナウイルス感染症等の健康危機への対応の現状と課題について、主要国際空港およびクルーズ船対応を行った海港を所管する検疫所または支所の担当者に対してヒアリング調査を行った。ヒアリング結果から、よかった点と課題を抽出し、今後に向けた改善点として挙げられた意見を整理した。これらを踏まえて研究班内で検討し、検疫所職員(管理監督者および全職員)を対象とした健康危機管理研修に含めるべき内容を整理した。
結果と考察
国内での既存の研修としては、DMATやDHEATなどの災害時の保健医療活動の支援に関する研修のほか、感染症危機管理、原子力災害に関する研修プログラムなどが実施されていた。海外では米国、カナダ、英国などにおいて、あらゆるハザードを対象とした職位やレベルに応じた研修プログラムが数多く提供されていた。以上から、健康危機管理の基本要素をカバーしつつ、受講者の職位・レベルに応じたプログラムを構成すること、eラーニングやオンライン研修など異なる形式を組み合わせて学習効果を高める工夫などが重要と考えられた。これらの知見をもとに、わが国の行政職員向けの研修プログラム案を考案した。プログラムの目的は、災害等の健康危機発生時に特に厚生労働省に求められる役割を理解するとともに、緊急時の組織マネジメントに必要な知識と考え方を習得することとし、下記で構成されるeラーニング向けのカリキュラムを作成した(①災害・健康危機関連の計画・指針の概要、②災害・健康危機の基本原則、③厚生労働省対策本部の役割、④緊急時のリソース(人員・物資等)マネジメントの考え方、⑤災害・健康危機における情報収集・分析・共有、⑥職員の安全管理・健康管理、⑦現地対策本部・派遣(リエゾン)職員に求められる役割、⑧ 実際の災害・健康危機対応経験からの教訓)。カリキュラムは、防災業務計画や業務継続計画に沿ったものであり、災害対策本部の運用や自治体支援を効果的に行うための必須項目をカバーした内容となっているが、より実効性の高い人材育成体制構築のためには、継続的な研修機会の提供、訓練(演習)による効果の検証、職位や緊急時の役割に応じたカリキュラムの開発なども求められる。
検疫所における危機管理体制や健康危機への対応の現状と課題を整理し、これを踏まえて検疫所職員向けの健康危機管理に関する研修内容を提案した。検疫所においても、平時より必要な研修・訓練を行い、有事に備えた検疫所の体制強化を目指していく必要がある。
結論
国内外の危機管理関連研修の調査、新型コロナウイルス感染症対応等の課題抽出を通じて、行政職員向けの研修プログラムの開発・提案を行った。より実効性の高い人材育成体制構築のためには、継続的な研修機会の提供、訓練(演習)による効果の検証、職位や緊急時の役割に応じたカリキュラムの開発なども求められる。

公開日・更新日

公開日
2024-07-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-07-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202206031C

成果

専門的・学術的観点からの成果
行政職員を対象とした健康危機に関する国内外の研修について情報収集を行い、これを踏まえて行政職員向けの研修プログラムを作成した。これにより、行政職員の危機管理能力の向上と、国と地方の連携の強化などが期待される。
臨床的観点からの成果
特記事項なし
ガイドライン等の開発
特記事項なし
その他行政的観点からの成果
厚生労働省職員向けのeラーニング教材を作成した。また、検疫所・検疫所支所のヒアリングを実施し、新型コロナウイルス感染症対応の課題と今後のパンデミック等を見据えた、検疫所職員に必要とされる能力・求められる研修案を明らかにした。
その他のインパクト
特記事項なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2024-07-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
202206031Z