我が国の歯科口腔保健の実態把握を継続的・安定的に実施する手法の開発のための調査研究

文献情報

文献番号
202206030A
報告書区分
総括
研究課題名
我が国の歯科口腔保健の実態把握を継続的・安定的に実施する手法の開発のための調査研究
課題番号
22CA2030
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
田口 円裕(東京歯科大学 歯科医療政策学)
研究分担者(所属機関)
  • 竹内 研時(東北大学大学院歯学研究科 国際歯科保健学分野)
  • 三浦 宏子(北海道医療大学 歯学部)
  • 福田 英輝(国立保健医療科学院)
  • 篠崎 智大(東京理科大学 工学部)
  • 古田 美智子(九州大学大学院歯学研究院口腔予防医学分野)
  • 大島 克郎(日本歯科大学東京短期大学)
  • 石塚 洋一(東京歯科大学 歯学部)
  • 田口 千恵子(日本大学 松戸歯学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
6,246,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、パンデミック等の状況においても、我が国の歯科口腔保健の実態把握を持続的・安定的に実施するための調査手法の確立に向け、歯科診療所の受診患者を対象とした調査手法について検討し、必要な基礎資料を得ることである。あわせて、基本的事項の最終評価を補足するためのデータや次期計画策定の際に活用可能なデータを取得することを目的とした。
研究方法
8都道府県(北海道・岩手県・東京都・岐阜県・京都府・広島県・高知県・長崎県)の県庁所在地とそれ以外の地域(人口が概ね3,000人~1万人の地域)の40の歯科診療所を受診する20歳以上の患者を対象とし、歯科保健医療に対する意識及び口腔内状況等の調査を実施した。調査期間は、令和5年11月6日から11月30日であり、調査期間中に各年齢区分(10歳刻みごとに79歳までと80歳以上)ごとに最初に受診された患者から順に最大4名まで(6区分)と80歳以上6名までの合計最大30名までを対象とし、合計9,600名とした。本解析では、6,183名(20歳以下、性別、年齢不明を除いた)を対象とした。
結果と考察
本研究で実施した調査結果は、
・う蝕有病者割合は、対象者全体では98.0%であった。未処置保有割合が31.1%であり、
喪失歯(インプラント含む)保有割合は、64.8%であった。1人平均う蝕歯数は、17.3本であった。これらの結果は、平成28年歯科疾患実態調査と近似していた。
 ・歯根面う蝕(未処置歯)を持つ者の割合は、高齢になるにつれ増加しており、60~64歳の年齢階級以上では5%を超えていた。
 ・歯周ポケット4mm以上を有していた者の年齢調整割合は64.6%であった。また、40歳代での同割合は65.8%、60歳代では70.6%であった。平成28年歯科疾患実態調査の結果では、20歳以上の歯周ポケット4mm以上を有していた者の年齢調整割合は46.5%であった。これは、歯科疾患実態調査よりも本調査の対象者のほうが進行した歯周炎を有する者が多かったことが示唆された。
 ・80歳で20本以上の歯を有する者(8020達成者)の割合は、75歳以上85歳未満の8020達成者の割合から、56.5%と推計される。また、男女を比較すると、80歳以上では20本以上の歯を有する者の割合は男性の方がやや高値を示した。
・調査対象者のうち,「噛めないものがある」と回答した者は9.9%,「飲み込みにくい」と回答した者は1.2%,「口がかわく」と回答した者は6.8であった。
結論
本研究では、歯科疾患実態調査を補完する調査として、歯科診療所の受診患者を対象とした新たな全国規模の調査を実施し、調査対象者の母集団をはじめサンプリングに技術的な課題は残るものの、調査を適切な回答率で完遂することができたことから、実施可能性の懸念はクリアできたと考えられる。今後は歯科疾患実態調査の結果との比較し、今後は歯科疾患実態調査の結果との比較を通して、より具体的な方法論の確立が求められる。

公開日・更新日

公開日
2023-12-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-12-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202206030C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究の結果から、パンデミック等で歯科疾患実態調査が中止となった場合に実施可能な調査手法として、歯科診療所の受診患者を対象とした調査手法が、一定の精度で歯科疾患実態調査を補完するデータを取得できることが示唆された。
臨床的観点からの成果
本研究は臨床に関する研究ではないことから、特になし。
ガイドライン等の開発
特になし。
その他行政的観点からの成果
本研究で得られた根面う蝕の罹患に関するデータは、2023年2月10日に開催された厚生科学審議会地域保険健康増進栄養部会歯科口腔保健の推進に関する専門委員会において資料として活用され、次期基本的事項の指標(告示項目)の策定に貢献した。
その他のインパクト
今後、関係学会にて論文を投稿する予定。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-12-04
更新日
-

収支報告書

文献番号
202206030Z