文献情報
文献番号
202206029A
報告書区分
総括
研究課題名
柔軟な拡張性と連携性を担保した現場起点の新たな災害医療関連情報システムの開発に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22CA2029
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
髙尾 洋之(東京慈恵会医科大学 先端医療情報技術研究部)
研究分担者(所属機関)
- 武田 聡(東京慈恵会医科大学 医学部 救急医学講座)
- 阿南 英明(藤沢市民病院)
- 近藤 久禎(独立行政法人国立病院機構本部 DMAT事務局)
- 佐藤 浩之(東京慈恵会医科大学 救急医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
6,080,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究において、現行のEMISの機能の整理と課題の明確化、災害危機対策という目的の観点から注意すべき事項・運用体制の整理、拡張性の検討などを行う。また、既存の他システムと柔軟に連携できる連携性にも配慮し、国が新たなシステムを開発・調達する際の仕様書上定めておくべき要素・要件などを専門的な視点から整理し、専門家と現場による評価を実施できるシステムのプロトタイプ、デザイン、基礎情報等を開発する。さらに、新たなシステムを本格的に開発・始動するための基礎資料、デザイン、アーキテクチャー、運用体制の想定案等を作成する。その上で、実際にDMAT等の現場危機管理担当者たちから評価を受けながら改善を加える。これらによって、既存のシステム・機能を移行して新たにシステムを構築することのリスクを最小限に抑制した上で、国が新たなシステムを始動し、運用体制を構築するための情報を整理することが、将来の効果的かつ円滑な災害医療の提供体制に資するものとする。
研究方法
ヒアリング調査
2022年10月~2023年3月にかけて、オンライン及び実地にてDMAT事務局担当者に対して、現行EMISの機能面及び運用面における実態ならびに課題などについてヒアリングを実施した。
モックアップの作成
民間のローコーディングツールであるサイボウズ株式会社の「kintone」、G-MISを構成する「Salesforce」、他の情報システムとの連携基盤としてG-MISの一部として提供されているアステリア株式会社の「ASTERIA Warp」を利用し、EMIS後継システムのモックアップを作成した。
2022年10月~2023年3月にかけて、オンライン及び実地にてDMAT事務局担当者に対して、現行EMISの機能面及び運用面における実態ならびに課題などについてヒアリングを実施した。
モックアップの作成
民間のローコーディングツールであるサイボウズ株式会社の「kintone」、G-MISを構成する「Salesforce」、他の情報システムとの連携基盤としてG-MISの一部として提供されているアステリア株式会社の「ASTERIA Warp」を利用し、EMIS後継システムのモックアップを作成した。
結果と考察
現行EMISは、さまざまな改修・実装が長期間を要し、首都直下地震や南海トラフ地震等の発生確率が高まっている中、EMISのあり方を抜本的に見直すべく、現行のEMISの課題を抽出し、様々な現場起点で求められる機能の拡張性、コスト面の保守性、及び既存他システム(G-MISなど)や他省庁の防災関連システム等との連携性を担保する仕組みを両立するべく、新たなシステム・仕組みを開発するための基礎調査・プロトタイピング(デザイン、アーキテクチャー、運用体制フロー、対象レジストリ整備など)を通した想定案等を作成した。現行EMISの実ユーザであるDMAT事務局・被災地の対策本部派遣経験者からのヒアリングにより現行EMISの課題を整理した。DMAT業務とEMISシステム機能の整理し、ローコードツール・汎用クラウドサービスを組み合わせ、EMISの機能を再現した。各医療機関からの被災報告はG-MISを拡張すること、データ連携は連携基盤のローコーディングツールサービスで実装が可能であることも示された。
災害時に都道府県を越えて医療機関の稼働状況など災害医療に関わる情報を共有し、被災地域での迅速且つ適切な医療・救護に関わる各種情報を集約・提供する「広域災害・救急医療情報システム(EMIS)」は、さまざまな改修・実装が長期間を要し、首都直下地震や南海トラフ地震等の発生確率が高まっている中、EMISのあり方を抜本的に見直すべく、現行のEMISの課題を抽出し、様々な現場起点で求められる機能の拡張性、コスト面の保守性、及び既存他システム(G-MISなど)や他省庁の防災関連システム等との連携性を担保する仕組みを両立するべく、新たなシステム・仕組みを開発するための基礎調査・プロトタイピング(デザイン、アーキテクチャー、運用体制フロー、対象レジストリ整備など)を通した想定案等を作成した。現行EMISの実ユーザであるDMAT事務局・被災地の対策本部派遣経験者からのヒアリングにより現行EMISの課題を整理した。DMAT業務とEMISシステム機能の整理し、ローコードツール・汎用クラウドサービスを組み合わせ、EMISの機能を再現した。各医療機関からの被災報告はG-MISを拡張すること、データ連携は連携基盤のローコーディングツールサービスで実装が可能であることも示された。
災害時に都道府県を越えて医療機関の稼働状況など災害医療に関わる情報を共有し、被災地域での迅速且つ適切な医療・救護に関わる各種情報を集約・提供する「広域災害・救急医療情報システム(EMIS)」は、さまざまな改修・実装が長期間を要し、首都直下地震や南海トラフ地震等の発生確率が高まっている中、EMISのあり方を抜本的に見直すべく、現行のEMISの課題を抽出し、様々な現場起点で求められる機能の拡張性、コスト面の保守性、及び既存他システム(G-MISなど)や他省庁の防災関連システム等との連携性を担保する仕組みを両立するべく、新たなシステム・仕組みを開発するための基礎調査・プロトタイピング(デザイン、アーキテクチャー、運用体制フロー、対象レジストリ整備など)を通した想定案等を作成した。現行EMISの実ユーザであるDMAT事務局・被災地の対策本部派遣経験者からのヒアリングにより現行EMISの課題を整理した。DMAT業務とEMISシステム機能の整理し、ローコードツール・汎用クラウドサービスを組み合わせ、EMISの機能を再現した。各医療機関からの被災報告はG-MISを拡張すること、データ連携は連携基盤のローコーディングツールサービスで実装が可能であることも示された。
結論
本研究では、現行EMISの実ユーザであるDMAT事務局・被災地の対策本部派遣経験者からのヒアリングにより現行EMISの課題を整理した。DMAT業務とEMISシステム機能の整理し、ローコードツールによりEMISの機能を再現した。各医療機関からの被災報告はG-MISを拡張すること、データ連携は連携基盤のローコーディングツールサービスで実装が可能であることも示された。
なお、サービス提供による運用モデルの場合、利用ニーズに応じた柔軟な対応も可能となる一方で、インシデント発生時の責任分解点は明確にしておく必要がある。また、新たに構築するEMISで収集されるデータをどのように政府防災システムや他システムと連携し、利活用に資するのかは政府内で省庁横断的な議論が必要である。
なお、サービス提供による運用モデルの場合、利用ニーズに応じた柔軟な対応も可能となる一方で、インシデント発生時の責任分解点は明確にしておく必要がある。また、新たに構築するEMISで収集されるデータをどのように政府防災システムや他システムと連携し、利活用に資するのかは政府内で省庁横断的な議論が必要である。
公開日・更新日
公開日
2023-06-23
更新日
-