文献情報
文献番号
202206028A
報告書区分
総括
研究課題名
人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインの改訂のための研究
課題番号
22CA2028
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
田宮 菜奈子(国立大学法人筑波大学 医学医療系 / ヘルスサービス開発研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 杉山 雄大(国立国際医療研究センター研究所糖尿病情報センター医療政策研究室)
- 柏木 聖代(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科)
- 井口 竜太(国立大学法人東京大学医学部附属病院 臨床工学部)
- Mayers Thomas(メイヤーズ トーマス)(筑波大学医学医療系)
- 羽成 恭子(筑波大学 ヘルスサービス開発研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
2,457,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、国民に対するアドバンス・ケア・プランニング(以下ACP)の普及啓発を推進するため、各自治体の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」の活用状況や、国民、医療介護従事者のACPの実施状況を把握し、また、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大によるACPへの影響も加味して、より我が国の現状に即した、そして今後にも効果的なガイドラインへの見直しを見据えた基礎資料を得ることを目的とした。
研究方法
1:「人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」データの分析
2022年12月に実施された「人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」データを用い、1-(1)COVID-19パンデミック下における人生の最終段階の医療やケアに関する話し合いの実施状況と話し合い実施に関連する要因、1-(2)人生の最終段階における医療・ケアを受けたい場所に関連する要因にて、国民におけるACPの現状を調査し、1-(3)アドバンス・ケア・プランニングの認識および実施状況と医師・看護師・介護支援専門員の属性との関連では、医療介護従事者におけるACPの現状を明らかとした。
2:各自治体におけるACPの普及等の取組状況やガイドラインの活用状況調査
2022年10月に自治体を対象とした質問紙調査データを用い、2-(1) 新型コロナウイルス感染拡大による全国の自治体におけるアドバンス・ケア・プランニングの普及・啓発活動への影響-全国調査より-、および2-(2) 自治体における人生の最終段階における医療・ケアの普及啓発の実態と課題 平成30年ガイドライン改訂後の全国調査にて、今後の自治体におけるACP普及啓発のあり方について検討した。
3:新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた海外のACPの動向や、国内外のACPの取り組みに関する文献レビュー
3-(1) COVID19パンデミック下の施設・医療スタッフにおけるアドバンス・ケア・プランニングの障壁と促進因子ーOverview of reviewーおよび3-(2) COVID-19がアドバンス・ケア・プランニングに与えた影響に関するシステマティックレビューにて、新型コロナウイルス感染症拡大後のACP推進のための知見や、今後への課題を明らかとした。
2022年12月に実施された「人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」データを用い、1-(1)COVID-19パンデミック下における人生の最終段階の医療やケアに関する話し合いの実施状況と話し合い実施に関連する要因、1-(2)人生の最終段階における医療・ケアを受けたい場所に関連する要因にて、国民におけるACPの現状を調査し、1-(3)アドバンス・ケア・プランニングの認識および実施状況と医師・看護師・介護支援専門員の属性との関連では、医療介護従事者におけるACPの現状を明らかとした。
2:各自治体におけるACPの普及等の取組状況やガイドラインの活用状況調査
2022年10月に自治体を対象とした質問紙調査データを用い、2-(1) 新型コロナウイルス感染拡大による全国の自治体におけるアドバンス・ケア・プランニングの普及・啓発活動への影響-全国調査より-、および2-(2) 自治体における人生の最終段階における医療・ケアの普及啓発の実態と課題 平成30年ガイドライン改訂後の全国調査にて、今後の自治体におけるACP普及啓発のあり方について検討した。
3:新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた海外のACPの動向や、国内外のACPの取り組みに関する文献レビュー
3-(1) COVID19パンデミック下の施設・医療スタッフにおけるアドバンス・ケア・プランニングの障壁と促進因子ーOverview of reviewーおよび3-(2) COVID-19がアドバンス・ケア・プランニングに与えた影響に関するシステマティックレビューにて、新型コロナウイルス感染症拡大後のACP推進のための知見や、今後への課題を明らかとした。
結果と考察
1:「人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」データの分析
1-(1)では人生の最終段階の医療・ケアに関する話し合いの実施に最も関連が強いのはACPを知っていることであり、話し合いは自身や家族の病気等がきっかけとなることが示された。1-(2)では人生の最終段階における医療・ケアを受けたい場所は、想定される疾患によって異なる可能性があること、1-(3)では診療所の医師・看護師ではACPの認知度や実施が少ないことが示された。
2:各自治体におけるACPの普及等の取組状況やガイドラインの活用状況調査
2-(1)では住民向けの普及事業はオンライン形式への変更が進んでおらず、2-(2)では普及啓発は63.6%の市町村で実施されており、普及啓発の目的や現状把握、目指す成果が具体化・明確化できていないことが示された。
3:新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた海外のACPの動向や、国内外のACPの取り組みに関する文献レビュー
3-(1) および3-(2)では、COVID-19パンデミック下では、ACPを進める上での障壁として患者との面会制限、病状の急速な進行による意思決定の困難さ、医療体制の逼迫、医療従事者間の連携不足が挙げられた。緩和ケアの短期的なトレーニングや患者情報共有のための遠隔医療の利用がACPの促進要因であることが示された。
一般国民では、今後も引き続きACPの普及啓発を進める必要がある。そして人生の最終段階における医療・ケアの話し合いに際しては、診療所の医師・看護師の活躍を期待したいが、ACPの認知度や実施が少ないため、診療所の医師・看護師へACPの普及を進める必要がある。自治体に対しては、ACPの普及啓発の目的と必要性、方向性が示されている「人生の最終段階における医療・ケアの普及・啓発の在り方に関する報告書」を活用できるよう周知し、取り組みの成果・実績を定量的に測定するための指標の設定・提示が必要である。そして今後は、遠隔医療を用いたACPの普及、新たなACP文書作成プロセスの構築や、医療介護従事者等へのACP実施の指導体制の構築等が重要と考えられた。
1-(1)では人生の最終段階の医療・ケアに関する話し合いの実施に最も関連が強いのはACPを知っていることであり、話し合いは自身や家族の病気等がきっかけとなることが示された。1-(2)では人生の最終段階における医療・ケアを受けたい場所は、想定される疾患によって異なる可能性があること、1-(3)では診療所の医師・看護師ではACPの認知度や実施が少ないことが示された。
2:各自治体におけるACPの普及等の取組状況やガイドラインの活用状況調査
2-(1)では住民向けの普及事業はオンライン形式への変更が進んでおらず、2-(2)では普及啓発は63.6%の市町村で実施されており、普及啓発の目的や現状把握、目指す成果が具体化・明確化できていないことが示された。
3:新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた海外のACPの動向や、国内外のACPの取り組みに関する文献レビュー
3-(1) および3-(2)では、COVID-19パンデミック下では、ACPを進める上での障壁として患者との面会制限、病状の急速な進行による意思決定の困難さ、医療体制の逼迫、医療従事者間の連携不足が挙げられた。緩和ケアの短期的なトレーニングや患者情報共有のための遠隔医療の利用がACPの促進要因であることが示された。
一般国民では、今後も引き続きACPの普及啓発を進める必要がある。そして人生の最終段階における医療・ケアの話し合いに際しては、診療所の医師・看護師の活躍を期待したいが、ACPの認知度や実施が少ないため、診療所の医師・看護師へACPの普及を進める必要がある。自治体に対しては、ACPの普及啓発の目的と必要性、方向性が示されている「人生の最終段階における医療・ケアの普及・啓発の在り方に関する報告書」を活用できるよう周知し、取り組みの成果・実績を定量的に測定するための指標の設定・提示が必要である。そして今後は、遠隔医療を用いたACPの普及、新たなACP文書作成プロセスの構築や、医療介護従事者等へのACP実施の指導体制の構築等が重要と考えられた。
結論
本研究で得たACPに関する知見を基に、我が国の現状に即した、そして今後にも効果的な「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」への見直しが進むことを期待する。
公開日・更新日
公開日
2023-05-01
更新日
2024-06-05